#31【入院前夜】
そんな風に、おばあちゃん本人も
私たち周りの人間も辛い、2日間が
終わろうとしていた。
ほとんど眠れない、苦しい夜が
続いていた。
私の部屋は、祖母が寝泊まりしていた
部屋の真上の部屋だった。
だから、夜に祖母が呻いたり、
ガタガタする音がよく聞こえていた。
暑くなる前ぐらいから
母は祖母と一緒にその部屋で寝ていて
夜中に小声で2人が話す声も、
よく響いていた。
そしてその晩は、
私も、眠れなかった。
別に、祖母がもう明日安楽死させられる
とかいうことでも全くないのに、
入院する=帰ってこないということだから
もう、ものすごく遠くに行ってしまう気がして
悶々として寝られなかった。
実際のところは、毎日病院にお見舞いに行く
予定をしていたし、自転車で20分、
しかも行きは坂道という微妙な道のりを
自転車で毎日毎日、汗だくになりながら通っていた。
そうなることを知っていても。
それでも、その日は眠れなかった。
隣の妹の部屋でも
ガサゴソとずっと寝返りを打つ音が聞こえ、
なんなら心なしか、家全体が
そわそわしている雰囲気だった。
朝、リビングに降りてみると
みんな少し疲れきったような顔で。
いつも通り朝のアルバイトだけ行って、
事務のアルバイトはお休みさせてもらって
その時間帯に、入院することになった。