わか from STAR☆ANIS & るか,せな from AIKATSU☆STARS!『アイカツメロディ!』

「aug」と表記される、オーギュメントという和音(コード)が世の中には存在します。音楽理論的に言うと、根音・長3度・増5度で構成された和音なのですが、分かりにくいと思いますので、その昔「世界まる見え!テレビ特捜部」のクイズコーナーや「平成教育委員会」で使用されていた、スーパーマリオブラザーズ3のワールド6のBGMを思い出して頂ければ多少理解し易いかと思います。

不協和音では無いのですが、どこか不気味さと緊張感を感じさせる和音です。余談ですが、僕は便意の存在を認識し始めた時にこのBGMが頭の中で鳴り響きます。(大概は認識する前に既にピンチになっているのですが…)

さて、魅力的なのですが、使い勝手の悪いこの和音に取り憑かれた作曲・編曲家がいます。田中秀和氏です。
彼の楽曲では、ほぼ100%の確率でaug、又は更に発展形の分数aug(Blackadderコード、イキスギコードと呼ばれる)が組み込まれています。

そのaugを散りばめた難解なコード進行が注目されがちですが、彼の素晴らしい所はメロディのキャッチーさにあると個人的には考えています。
聴いていてコード進行に「?」と思う部分が多々あるのにも関わらず、肝となるメロディは一度聴くだけで耳に残り続ける楽曲ばかりなのです。これは中々出来る芸当ではありません。このメロディのキャッチーさと難解なコード進行のマリアージュが独特の中毒性を生んでいるのだと思います。

そしてこの「アイカツメロディ!」では、和音では飽き足らず、メロディにaugをぶち込んでしまっているのです。

サビのメインメロディに対する合いの手があるのですが、このメロディラインがガッツリaugで構成されています。なので非常に歯痒さを感じます。これが3回繰り返されます。鬼畜の寸止めです。
そんな焦らしを受けた後、最後の4回目のメロディラインは一転して7thっぽい音で構成されており、これがとんでもないカタルシスを感じさせてくれます。なんの語彙力もなくて恐縮なのですが、この瞬間がとても気持ち良いです。

また、Aメロのスプラッシュシンバルの入るタイミングが邦ロックあるあるだったり、間奏が無駄にエモかったり、完全に女児向けアニメの楽曲ではない点が盛り沢山で一味も二味も楽しめる曲です。

その昔、この曲の高音質版がどうしても聴きたくて、全ての恥を偲んでTSUTAYAでこの曲が入っているCDをレンタルした事がありましたが、現在ではApple Musicで聴けますので、堂々とこっそり聴いてみてください。同CDに収録されています「ドラマチックガール」も中々のイカれ&エモい曲なので、併せてお勧めしておきます。

※一応弁明しておきますが、アイカツ!シリーズのアニメは未視聴ですし、キャラクターの名前も誰一人知りません。

いいなと思ったら応援しよう!