老いてゆくユーラシア(中国・ロシア・日本・西欧)と人口増加大国のアメリカ
●書評|『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』
「私たちは偶然にも人類史の折り返し地点に居合わせているんです」。そう語るのは『世界100年カレンダー(朝日新書 2021年9月刊行)』の著者、河合雅司氏。20世紀は人類史のエポック「人口爆発の世紀」でしたが、21世紀、今度は「人類人口大減少へ」、に私たちは遭遇するというのです。
河合雅司氏は元産経新聞論説委員で現在は一般社団法人「人口減少対策総合研究所」理事長。前の記事で紹介した『Empty Planet(邦題:『2050年 世界人口大減少』2020年刊)』では、解説文を書いていて、人口問題のエキスパート。
本書はその人口問題の権威のひとりである河合雅司氏が、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「人口統計資料(2021年版)」をはじめ、国連や各国のデータにあたった分析結果を整理した書籍。特に2021年が中国(調査:2020年11月/公表:2021年5月)と米国(調査:2020年4月/公表:2121年8月)の「人口センサス(国勢調査)」データを入手できるタイミングであり、フレッシュな数値での分析となっています。
『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』
その結果、「【第8話】米中人口戦のカレンダー」が特に興味深い。
むしろ他の章立てでは、データの目新しさはあるものの、分析結果やそこから導く対応策、提言について、要検証な点が多いと感じました。現に、自身も「国によっては体制や社会の仕組みは異なるのですべてが該当するわけではないだろうが」と注釈を入れる箇所があります。社会学、歴史人口学といった知見には、ジャーナリストの出自からして当然なことでありますが、疎い。
ただそれを差し引いても、世界の人口動向の描写、とりわけ21世紀央へ向けた増減予測と米中の覇権の構図に関する分析は秀逸。
たとえば下図。これから30年後の世界は、中国・ロシア・日本・西欧があるユーラシアは人口減少地域で、米英豪のアングロサクソンとインド、アフリカが人口増大国・地域という図式になるのです。
・図:・2050年の各国の人口増減一覧(2019年比)
https://bit.ly/3qpT2Yx
(出版社より 世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること | Amazon )
すなわち、これから先の21世紀の地球において、米国は「移民」政策が理由で人口増を継続する国であるのに対し、中国は早々に人口減少期にはいり(一説にはすでに減少は始まったとする研究者も)、2050年には人口が半減する(後記)すると言うから驚きです。
※ブログではこの続きを掲載しています。
目次
■書評|『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』
■2050年 半減する中国人口
■Quad(クアッド:日米豪印)が団結する意味
■厳選クリップ10選
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また次のような、「人口」をテーマにした過去記事があります。
・小栗旬(北条義時)にも知ってほしい現代と鎌倉時代との共通点
・2050年は世界人口の大分岐点