詩想舎

たしかにことばによる理解は、生きるという経験のごく一部でしかない。けれどもことばが作る…

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たしかにことばによる理解は、生きるという経験のごく一部でしかない。けれどもことばが作る社会なしに、生きるということはありえない。21世紀、ことばがデジタルになっていく。そのことの社会や生きるへの、インパクトを考えてみたい。その時ebookに何ができるのかも。

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  • <メディアとしての紙>から<デジタル化するメディア>へ

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ディスレクシアが明らかにした「脳が本を読む」メカニズム

読む、書く行為のデジタル化、したがって液晶画面化が進行している。この変化は果たして、人間の脳の発達や働きにどのような変化を生むのか? 『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳』はそうした疑問に答えようとする啓発の書。同時に、デジタル時代に「深い読み」が絶滅危惧種にならなくするにはどうしたよいのか、考え抜いた警世の書。 ■ディスレクシア著者メアリアン・ウルフは認知神経科学、発達心理学の専門家。とりわけディスレクシア(識字障害)の研究で著名な学者。カリフォルニア大学ロサンゼルス校

    • 結弦(ゆづる)も五月(さつき)も知っている、「自己肯定感と楽しむ」の秘密

      ■ロコ・ソラーレ スキップ藤沢五月の右手の文字北京オリンピックでひときわ日本の人々の目を引いた競技がカーリングでした。その中で、各ゲームの終盤を任されるスキップ担当の藤澤五月の右手に書かれた文字が、世界のメディアでも取り上げられ、話題になりました。 2月12日、世界ランク4位のROC(ロシア)戦の第7エンド。大逆転勝利を導いた、そのストーンを投げる藤沢の右手には、 「I am a good curler.  I have confidence!」 の文字があったのです

      • 興味ECの道具立てを急げ!日本の出版業界

        「興味EC」とは、 購入のために検索するのではなく、コンテンツを視聴して興味を持ち、 それが購入につながるEC手法 ■興味ECにTikTok中国の出版市場はその8割がネット経由、ECでの売上です。そのため「棚の力」が役割を発揮する余地が小さく、ネットでの評判が売上の趨勢を決めます。結果、点数ベース・売上上位1%の書籍が、金額ベース・全体売上の60%を稼ぐベストセラー指向の強い市場特性となっています。 その中で、宣伝方法に近時大きな変化が起きています。短尺の動画、日本のテレ

        • 小栗旬(北条義時)にも知ってほしい現代と鎌倉時代との共通点

          ■「鎌倉殿の13人」小栗旬演じる北条義時を主人公にした「鎌倉殿の13人」が、2022年のNHK大河ドラマです。 北条義時は、源頼朝が開設した鎌倉幕府の第2代執権(在職1205~1224)。姉である北条政子と協力して承久の乱(1221年)を鎮圧し、鎌倉幕府の覇権を全国的なものにしたのが北条義時です。 「鎌倉殿」は、鎌倉幕府の棟梁、将軍のことで、源頼朝が死んだあと、嫡男の頼家が、この跡を継ぎます。 すると頼家の外家である比企能員の勢力が幕府内で台頭し始めました。そこで義時の

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        • 興味ECの道具立てを急げ!日本の出版業界

        • 小栗旬(北条義時)にも知ってほしい現代と鎌倉時代との共通点

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        • 技術で/技術が/技術を(ICT:産業・法・制度と技術文化論)
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          21本
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        記事

          老いてゆくユーラシア(中国・ロシア・日本・西欧)と人口増加大国のアメリカ

          ●書評|『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』「私たちは偶然にも人類史の折り返し地点に居合わせているんです」。そう語るのは『世界100年カレンダー(朝日新書 2021年9月刊行)』の著者、河合雅司氏。20世紀は人類史のエポック「人口爆発の世紀」でしたが、21世紀、今度は「人類人口大減少へ」、に私たちは遭遇するというのです。 河合雅司氏は元産経新聞論説委員で現在は一般社団法人「人口減少対策総合研究所」理事長。前の記事で紹介した『Empty Plan

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          パラダイム転換(脱西欧中心主義)の視点を

          『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3:基本概念・基礎用語編』 非民主国家が増大する時代にどの国も西欧がたどった道筋を必ず追いかけるものだと漠然と前提にしていませんか。西欧化が完成していない国は遅れていると思っていませんか。ひょっとするといまやそれは、「日本の常識は世界の非常識/世界の常識が日本では非常識に」かもしれません。 政治の領域で、もはや自由と民主主義と経済成長の、西欧近代由来の「セット」が当たり前でないことを、世界の人は肌感覚で知

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          助け合いと負い目について | 中村哲の経験 喜捨(ザカート)の真意

          新型コロナの感染拡大をとめるため緊急事態宣言が発令されると、休業要請がさまざまな業種を対象に出されます。しかし生活必需品の買い物を政府や自治体が制限することはありません。このような生活必需品の調達を、現代社会の私たちは「交換(商品とお金の)」を通して行っています。 他方例えば、結婚式の祝儀や葬式の香典のように暗黙の「お返し」がそれに伴うため、結果として商品が流通する現象、「互酬」も現代にはあります。贈与が「互酬」の代表格です。 贈与が、「交換」によらない商品流通を実現する

          助け合いと負い目について | 中村哲の経験 喜捨(ザカート)の真意

          著者先生による自著解題 (5)

          「エピグラムにある「その(人の)幸福達成のためには社会を形成し助け合わなければならない」という文言は、人の「欲望」も、「社会を形成し助け合う」ことによって始めて達成される、と読むことができると思います。」 イスラーム経済における市場と公正 | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/kato_Islam_5

          著者先生による自著解題 (5)

          著者先生による自著解題 (4)

          「問題なのは、資本主義を成り立たせている市場経済ではなく、「従来の」資本主義を支えてきた社会経済の制度であり環境である。この社会経済の制度と環境をシュンペーターは「文明」と呼び、その限界から、資本主義「文明」は衰退すると予言したわけです。」 もうひとつの市場経済の道 | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/kato_Islam_4

          著者先生による自著解題 (4)

          著者先生による自著解題 (3)

          「各巻のそれぞれの冒頭に置かれた三つのエピグラム(短い文章)を取り上げましょう。これらもまた神宮司氏が用意してくれたものですが、経済学者シュンペーター(1883-1950)、中世イスラーム世界の法学者イブン・タイミーヤ(1263-1328)、哲学者ウィトゲンシュタイン(1889-1951)の短文です。」 著作『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」』 | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/kato_I

          著者先生による自著解題 (3)

          データを自前で持つことが重要

          ◎出版のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の大前提は版元自身がデータを保有していること、です。 ただし発注先の印刷会社との関係や、DXへの経営者の意識のレベルで、印刷用PDFを保持している出版社と、インデザイン・データを保有している出版社とがあり、体制にはまだまだ差があります。 ちなみに欧米の専門書出版社ではもともと(つまりDXより前から)DTP工程を自社で行うことがむしろ当たり前だったようです。 「技術評論社では、紙の書籍・雑誌を制作するにあたり、著者からいた

          データを自前で持つことが重要

          著者先生による自著解題 (2)

          新しいホンの形、iCardbookについても解説してくださいました。 「細切れの知識しか身に付けようとしない今日の風潮と、思想を伝えようとする学術書の購読との橋渡しを目的に企画したiCardbookという出版スタイルに、新しさを感じました。すでに教職から離れた私には、その機会は失われましたが、授業での教科書を想定して、本を書こうと思いました。」 iCardbookスタイルでの出版  | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/ic

          著者先生による自著解題 (2)

          著者先生による自著解題 (1)

          「他者との関係性をいかに構築するか。それは人間が人間であるための大前提なのだが、そのことの原理性を新型コロナのパンデミックが改めて提示している。」 ・関係性と社会秩序 パンデミック後への補助線 | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/kato_Islam_1

          著者先生による自著解題 (1)

          本質直観とは何か

          たとえば、今わたしには目の前のカップが「見えてしまっている」が、それはただ「見えている」だけでなく、カップという「意味」(の本質)を帯びて「見えてしまっている」。 もちろんこの「意味」は、時と場合や経験等に応じて変わってくる。 この投稿は、ブログからの転載です。次のURLをクリックすると、他の記事も読めますよ。 本質直観とは何か | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/124654 声と現象 (ちくま学芸文庫) 

          本質直観とは何か

          学際的アプローチの必要性|iCardbookより

          このとき、対策の程度を決定するためには、生態学、農学、工学をはじめとするさまざまな学問の知見を踏まえつつ、社会的・集団的に意思決定を行う必要がある。 このため、エコロジカル経済学は、必然的に学際的なアプローチを採用することとなる。 この投稿は、ブログからの転載です。次のURLをクリックすると、他の記事も読めますよ。 学際的アプローチの必要性 | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/122645 Ecologica

          学際的アプローチの必要性|iCardbookより

          ヘーゲルの「事そのもの」論|iCardbookより

          わたしにとってほんとうの「事」、あるいはわたしが人生を通してやりたい「事」、そうした「(仕)事」が、普遍的な「事そのもの」として他者からも承認されるところ、そこに、現実世界におけるわたしたちの最も充実した「自由」がある。ヘーゲルはそう言うのだ。 この投稿は、ブログからの転載です。次のURLをクリックすると、他の記事も読めますよ。 ヘーゲルの「事そのもの」論 | iCardbook|知の旅人に https://society-zero.com/icard/118273 近代

          ヘーゲルの「事そのもの」論|iCardbookより