しそ

都内20代会社員です。

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最近の記事

「退職のご挨拶」

「退職のご挨拶」は面白い。仕事をしているとたまに何の脈絡もなく来る、見知らぬ退職者からのメールのことだ。もちろん面白いと言ってもfunnyではなくInterestingの意味でだ。退職のメールに抱腹絶倒するようなやつは倫理観が終わっているので組織に属するべきではない。退職すべきだ。 そんなことは置いておいて、まず量が人によって異なる。その量によって、退職に対する感情が出ているような気がする。思うに、前向きな退職者は饒舌で、後ろめたい感情のある退職者は寡黙な傾向にある(気がす

    • 連続な街、不連続な街

      オープンワールドのゲームは、大概期待を下回る。想像していた自由な世界とは真逆の決められたストーリーと道のり、突如出現する見えない壁、機械のように反復的に行動する人々。制作側の苦労は想像するに余りあるものの、制作の現実透けて見えると少しガッカリしてしまう。 翻って、東京は面白いなと思う。 東京に暮らし始めて一年と少しが経つ。あれほど恐れおののいていた”東京の電車”にも一丁前に慣れ、何不自由なく東京ライフを満喫している。 ふと、『ゲームの中で暮らしているみたいだなあ』と思う

      • 他者の文脈に思いを馳せること

        最寄りの地下鉄駅の入口の近くに、「信号無視をしてもよい」という暗黙の了解が地域住民に通底している横断歩道がある。狭い道を渡すその横断歩道を通る車は滅多にいないが、稀に通る車は赤信号にも関わらず横断歩道を渡る歩行者にクラクションを鳴り響かせる。最早信号がない方が安全ではとすら思う。 今朝の出勤時、駅に向かう途中、いつも通りほとんどの人が赤信号を渡る中で、律儀に青信号に変わるのを待ち続ける人がいた。スーツを纏っていたのでおそらくサラリーマンだろう。急いでいたので横を颯爽と通り抜

        • 輪ゴム

          江國香織さんが、『とるにたらないものもの』というエッセイの中で輪ゴムについて語っていた。思い返してみると、自分を形作る様々な記憶の側に輪ゴムの存在があったような気がする。主役になることもあれば、お遊戯会の木の役さながらに目立たずとも確かにその場を彩る役をこなすこともあった。 カードのデッキをまとめる輪ゴム、なんの意味もなく腕にまきつけて遊んだ輪ゴム、頑張って練習したマジックの道具となった輪ゴムなど、輪ゴムの様々な一面が思い出を形作っているが、特に印象的なのは「お弁当を束ねる

        「退職のご挨拶」

          隅田川から見た「東京」

          隅田川を見るのが好きで、よく隅田川テラスに行く。特に日が傾きかけている時間帯に、午後4時くらいに自転車でふらっと行くことが多い。川を進む船や、対岸に林立するビル群、ビルの隙間から差し込む斜陽の光に、その光を乱反射する揺らめく水面。そのすべての景色になんとなく安らぎを覚えるし、自分を客観視できるようにも思える。都市の喧騒とは無縁だが対岸には都市が見え、東京自体を外から眺めることで「東京で生活を営む自分」も外から見ているような気分になる。 今日も、隅田川を見に行った。カフェで作

          隅田川から見た「東京」