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プロって...

プロアマ論って偶に議論されますよね。
「お金を貰えばプロだ!」という雑な意見もありますけど、結婚式の余興で何か出し物をして帰りがけに親族の方から「お車代です...」なんていうのもお金貰ってますし、リサイクルショップで買ったジャンク品を直してメルカリで売ったら利益が出たっていうのも。でも、そういうのを「プロ」とは言いづらいですよね。

やはり大方のイメージは「その技術(知識)で得た収入で生活を成立させている人」なのだと思います。

私はギター演奏を生業としているので、「やっぱりプロだから上手いんでしょう?」とか「どうしたらプロになれますか?」とか言われることが多々あります。その度に「う〜ん…プロ…って…」とそのワードに対する自分の感覚と世間との微妙なズレを感じます。今回はそんなお話しをしたいと思います。
(私はライブやレコーディングなどその時々で依頼され演奏する所謂セッションミュージシャンです。その視点からの考えです。)

やっぱりプロって上手い??

もちろん仕事として成立させるだけの最低限の技術は必要です。
でも、言い方を変えればクライアントが納得すれば仕事として成立するとも言えます。ですので全てのプレイスタイルをハイレベルで出来る事が必須条件ではありません。もちろんあらゆるジャンルを高いレベルで演奏出来るスーパーミュージシャンもいますが、そうじゃないと仕事が出来ないという訳ではないのです。

特にレコーディングだと「ここにカントリー調のギターを入れたい」となった場合、カントリーギターのスペシャリストを呼べば良い。この場合Funkyなリズムプレイやズォンズォンに歪んだリフをカッコ良く弾ける事は求められていません。「カッコいいカントリーギター」がクライアントの要望です。
こういう場面では幅広く平均点くらいを出せる人よりもピンポイントで120点出せる専門家に弾いてもらった方が当然曲のクオリティが上がります。
逆に「ライブをやろう!」となった場合はいろんなタイプの曲をやるわけですから幅広く演奏出来る人が重宝されますね。

「あの人、プロのギタリストって聞いたけど⚪️⚪️さんの方が上手くない?」みたいな現象はこういう事が知られていない場面で起きていそうです。一言で「プロのギタリスト」と括ってもカバーしてる範囲の広さが売りの人もいれば特定の演奏のスペシャリストもいます。そしてそれぞれに活かされる場面があります。

いくらプロギタリストでも得意分野でなければヘヴィメタルをこよなく愛するアマチュアギタリストにテクニックもカッコ良さも説得力も全然敵わないなんて普通にあり得る事です。
(プロとして活動出来ている人ならほとんどの場合、そういう時でもその人なりのやり方でしっかり音楽としては成立させるでしょうけど)

以上のことから「プロ=上手い」というのは間違いではないけどあまりにも大雑把過ぎです。さらに言えば生業にしていなくても超絶上手なプレイヤーはい〜っぱいいますし、プロだからこそそういう方々の素晴らしさが深く理解出来るのでリスペクトを持っています。

確実に言えることは「プロ=何でも出来る」は明らかに間違いです(笑)


どうしたらプロになれますか?

これもよく聞かれますが、私の経験から言うとプロとして活動していくためには「演奏の能力」と「仕事(商売?)の能力」の二つが要ると思います。

プロになりたい!と思っている方ならとにかく演奏技術を上げなければ!と日々練習していると思います。それは当然間違いではないです。

でもそれは「お父さんが気合い入れて作るカレーがマジで美味い!カレー屋さんやったら絶対成功する!」的な発想なのです。

プロのミュージシャンという仕事は個人経営のお店とよく似ていると思います。お店をやるにあたって考えなきゃいけないのは内装設備、宣伝集客、仕入れ、光熱費、人件費…そしてメンタル、人柄(笑)
ざっと考えただけでも「美味しいカレーを作る技術」以外にお店を続けていくためには仕事(商売)の能力がこんなに必要なのです。たまに家族に美味いカレーが作れるのと仕事としてお店をやっていくのは全く違うのは誰でも分かります。そういう事なんです。

そしてミュージシャンで言えば特に大事なのが「魅力」です。
個人のイメージがそのお店の雰囲気や居心地の良さに相当します。
「面白さ」「カッコ良さ」「真面目さ」「穏やかさ」…など人それぞれが持つ魅力を感じてもらえたら「またあの人と演奏したい」「仕事したい」となる最大の理由になると感じます。それはいとも簡単に技術を凌駕します
(ミュージシャンだけに限らないか。。)

ここで薄々気づいた方もおられると思います…
逆に技術以外の部分が上手く出来れば結構イケるんじゃね?と。

イケます(笑)
その技術以外のところで評価されている、というのは音楽だけに限らずどの分野でも起きている事です。「カレー」や「音楽」を純粋に愛する者にとっては受け入れ難い現実ですが、世間に対して「仕事」にするという事は「美味い」「上手い」だけでなく色んな価値観や判断基準がある中で求められていく事なのだと思います
2つ能力のどちらに重きを置くかは人それぞれで、その割合がどうであれ他者がとやかく言える事ではなく、プロの世界でやって行けているという事実だけで私は仲間のミュージシャン達を戦友のように愛おしく思います(笑)。

日々少しでも上手くなりたい!という想いは間違いなく尊いですが
「アイツ、おれより下手なくせに売れてやがる!ぐぬぬ...」っていう感情が生まれる時もあるでしょう。でもそれは技術以外の能力or魅力がアイツに負けているのかも。そう考えれば人の事をネガティヴに思わずに尊敬出来るでしょう。私も若い頃はそんな嫉妬に支配されてましたから過去の経験から言っております(苦笑)

また長くなってきてしまいました…

要約すると

「音楽」を「仕事」としてやっていく為には
1.「音楽の能力」と2.「仕事(商売)の能力」の2つが要る。そして2つ目を軽視してはいけないという事です。


ここまで読んで頂きありがとうございました。
深いテーマ故、まだ書き足りない感もあり…
きっと続編があると思います(笑)
引き続きこのnoteをよろしくお願いします。





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