JC-120の考え方を踏まえた使い方。その3(完結編)
前々回の「その1」ではJC-120の許容入力の広さへの対応、そして「その2」ではEQツマミの効き方と再生範囲の広さを理解した上での考え方をお話ししました。まだ読まれてない方は是非目を通して頂いてからこの「その3」を読んで頂けたらと思います。
今回はもう少し攻めた(?)使用法をお話しします。
この一連のnoteでお伝えしたように「コンプ」を使って「EQを抑えめ」にして一般的なギターアンプの感触に近づけるというのも一案ですが、最近はマルチエフェクターやアンプシミュレーターを使う方法もよくやります。
ここ10年くらい?のマルチエフェクター、アンプシミュレーターの進化はめざましく、家でギターを鳴らすのならギターアンプは使わずマルチやアンシミュの中で音色を完結させるというのも一般化していると思います。
そしてライブをするとなればそのマルチやアンシミュを持って行き、JC-120の背面にある「リターン端子」に入力するという方法をとっている方も多いと思います。
これは非常に理にかなった使い方でモニターアンプ的なポテンシャルを持つJC-120を活かせる方法ですね。
「リターン端子」とは何だ?という方もいるかも知れません。簡単に説明します。
ほぼ全てのギターアンプはこの3つのパートで構成されています。
1.のプリアンプというのは入力ゲインとEQがある部分で音色を調整するところです。(多くのアンプは歪みもここで作られます)
2.のパワーアンプはその調整された信号をスピーカーを鳴らせる出力まで増幅する部分。(基本的には信号を大きくするだけで音への色付けはそれほど無いとここではしておきます)
3.は増幅された信号を「音」に変えるスピーカー。
Fenderのような「コンボアンプ」はこの3つが1つの箱に納まっていて、Marshallのような「スタックアンプ」は「プリアンプ+パワーアンプ」が納まった「アンプヘッド」とスピーカーが入った「キャビネット」との2つに分かれているだけで3つの構成内容を持っている事はどちらも同じです。
この3つ全て繋がっているのが基本形ですが、アンプによってはプリアンプを通った後、一旦外に出せる(出力する)端子があります。それがSEND端子です。(ここから出た信号はパワーアンプの増幅前ですのでスピーカーを鳴らす力はありません。)
そして一旦外に出た信号が戻って来られるように用意されているのがRETURN端子です。パワーアンプにとっての入力端子とも言えますね。
つまり、所謂「リターン挿し」というのは「ギターアンプのプリアンプ部分」は使わず、マルチ(アンシミュ)で作った音色(信号)をパワーアンプに直接入力して増幅し、スピーカーを鳴らしている状態です。
通常のギターアンプのINPUTはヘッドルームが狭いのでせっかくマルチで作り込んだ音色に不要な歪みが加わってしまう可能性があり、EQの影響もありますので、アンプ手前で作った音色を極力素直に増幅&出力したい場合はこの「リターン挿し」が有効です。
しかし!ここでJC-120ならではの問題があります。
まず一つ。JC-120は製造された年代によって古いものではこのSEND、RETURN端子がありません…(涙)
そしてもう一点。JC-120は最近の物でもパワーアンプの出力を調整するヴォリューム(マスターヴォリューム)がありません。
つまりリターン端子から入って来た信号はパワーアンプ全開の状態でスピーカーに送られている事になります。
もちろんそれを理解した上でマルチ(アンシミュ)の方でアウトヴォリュームを下げれば良いのですが、接触不良など突発的なトラブルを考えた場合、アンプがフルヴォリューム状態になっているというのは少々怖い気がします。
「JCのリターン端子に頼らない方法はないものか...?」
そんな考えから私が編み出した...と言って良いのかわかりませんが(笑)巷でちょっと話題になった「131設定」です。
リターンではなく通常のINPUTを使います。
EQのツマミを
TREBLE 1
MIDDLE 3
BASS 1
に設定する事でリターン挿しと似たような出音にする事が出来るというものです。(もちろんJCの個体差もあるので多少のズレはあります)
これならJCのボリュームをマスターとして使えますし、131という設定も単なる基準ですからそこから状況に合わせていくらでも調整出来ます。
(リターン挿しではプリアンプを通らないためEQツマミは効かないです)
これはJC-120の許容範囲と再生範囲が広いから出来る事であり、JC以外のギターアンプで同じようにはなりません。
この方法をやるようになってから私はセンドリターンが付いているJCの時でもINPUTに挿しています。それほど使える方法だと思います。
ここまで読んで頂いてこちらの↓動画を観て頂くと私のやっている事がより深く理解出来ると思います。
この動画の反響が思いの外大きく、その分誤解も多いので改めて言っておきたいのですが…
これはあくまでも「リターン挿しに似せた音」にするための設定であって、これが「JCを使う時の良い設定」ではありません。外部のマルチやアンシミュをプリアンプとして使う際に知っておくと便利なだけです。
そして、たまに言われる「JCのフラット議論」。これとも全く考え方が違います。電気回路の数値的なフラットとも聴感上のフラットとも関係ありません。あくまでも「リターン挿しに似せた音」です。
自分が心地良い音に辿り着ければそもそも「フラットの概念」なんて必要?と疑問でさえあります。
以上、
ここまでで私のJC-120のお話しはひとまず完結です。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
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また何かJC関連で思い出すかも知れませんが、その時はまた記事にします。
次からはまた違うテーマでnoteを更新して行きますので引き続きよろしくお願いします。
※この記事はここまでが全ての内容です。
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