「状態価格」とは?スライド28枚で証券アナリスト過去問を解説

画像1 今回は状態価格について解説していきます。後半では実際の証券アナリスト試験の過去問を取り上げますで、ぜひ最後までご覧ください。
画像2 状態価格では、ある1つの未来において価値をもち、それ以外の未来においては価値をもたない資産(これをアロー証券といいます)を考え、株や債券などをこの資産(アロー証券)の集合体と捉えます。AとBという2つのパターンの未来があるとします。資産aは未来Aにおいてのみ価値を持ち、資産bは未来Bにおいてのみ価値を持ちます。この資産aとbの価格を状態価格と呼び、それらがわかるとAとBという2つの未来において想定される価格から現在の価格を導き出すことができるのです。
画像3 例えば、夏が暑ければ株価が3000円になり暑くなければ2000円になるビール会社の現在の株価はいくらになるでしょうか。正解は2509円です。あれ?2000円と3000円の間をとって2500円?と考えた方は、2501円で売ってくれと言われた時、売ってしまいますよね。これだと理論価格より8円も安く売ってしまうことになり、損をしてしまいます。
画像4 ではどのように理論株価を導くのか。そのためには現在の価値がわかっている他の資産に注目します。同じ未来A,Bにおいてアイスクリーム会社の株式は1000円,500円の価値をもち、現在の価格が800円であったとします。
画像5 また、資産aとbを用いて状態価格を考えます。資産aは未来Aにおいてのみ価値を持ち、資産bは未来Bにおいてのみ価値を持ちます。ですので、資産aとbを1単位づつ持っていると、未来A,Bにおいて1円の価値を得ることになります。
画像6 先程のアイスクリーム会社の株式をもつということは、資産aを1000単位、資産bを500単位もつのと同じことです。
画像7 そしてアイスクリーム会社の株価は800円ということがわかっているので、資産aを1000単位と資産bを500単位の合計が800円であることになります。
画像8 もう1つ現在の価値がわかっている他の資産に注目する上で欠かせないものがリスクフリーレートです。これはいわゆる金利で、株式のようにリスクをとらない資産が年間で得られる利回りを表すものです。リスクフリーレートが10%の場合、現在の100円は1年後のどんな未来でも110円の価値をもつことになります。
画像9 これはつまり、資産aを110単位、資産bを110単位もつのと同じことです。
画像10 つまり資産aを110単位、資産bを110単位の合計が100円であることがわかります。
画像11 これらを連立式にして解くと、
画像12 資産aの価格、つまり未来Aの状態価格が38/55円、資産bの価格、つまり未来Bの状態価格が12/55円であることがわかります。
画像13 さて、冒頭のビール会社の株価に戻りましょう。同じように、ビール会社の株式をもつことは資産aを3000単位、資産bを2000単位もつのと同じことです。
画像14 aとbの状態価格はもうわかっているので、式を解くと、、答えは2509円になります。
画像15 このように、同じ未来における他の証券の想定価格と現在の理論価格から、それぞれの未来の状態価格を導くことにより、あらゆる資産の現在の理論価格を導くことができるのです。
画像16 例題を見ていきましょう
画像17 状態1で23円、状態2で3円ということから、資産aを23単位、資産bを3単位同時に保有していることになります。
画像18 また、リスクフリーレートが10%であることから、現在100円の債券をもつことは、資産aを110単位、資産bを110単位同時に保有していることになります。
画像19 以上より立式し式を解くと、状態価格1が4/11円、状態価格2が6/11円であることがわかります。
画像20 よって答えは4/11円
画像21 問2は、問1で導いた状態価格を用いて他の資産の現在の理想価格をもとめる問題です。無裁定価値とは、理論上の価値ということです。
画像22 状態1で0円、状態2で11円ということは、資産aを0個、資産bを11個保有していることと同義です。
画像23 そして資産aとbの価格はわかっているので、あとは式に代入して解くと
画像24 答えは6円ということになります
画像25 問3では、未来においてある利益を出す、株式と無リスク資産を組み合わせが問われています。
画像26 これも同じようにポートフォリオの価値を資産aとbの組み合わせで考えます。資産aを220単位、資産bを0単位同時にもつことと同じ意味になります。
画像27 そして、資産aを23単位bを3単位もつことと同義の株式と、資産aを1単位bを1単位もつことと同義の無リスク資産の単位をX:Yとすると、資産aは23×株式の数+1×無リスク資産の数、資産bは3×株式の数+1×無リスク資産の数となります
画像28 これらを連立方程式にして解くと、株式を11単位買い持ち無リスク資産を33単位売り持つポートフォリオが、状態1で220円状態2で0円の価値を得ることになります。
画像29 よって、答えは11単位です
画像30 最後までお読みいただきありがとうございました。このような、証券アナリスト試験(CMA)の問題を中心にこれからも記載をしていきます。スキ&フォローしていただけると大変励みになりますので、よろしくお願いいたします。

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