【19】オカルト、スピ好きから占いやってみる〈運命の長野8〉
犬が一緒にいられる?
どういうこと?
頭はパニックだ。
「あの、犬は大丈夫なんですか?」
やっと、言葉が出たが、自分でも見当違いな質問だとツッコミを入れたくなる。
完全に混乱している。
「問題ないよ。なあ?」
北野さんは犬に尋ねる。
コミュニケーションがとれてないのは、私だけのようだ。
「根性あるワンワンだな。私さんを守るってさ」
「本当、それは嬉しい。もう会えないかと思ったから。いや、会えてはないんだけど」
本当かよくわからないけど、なんだか、元気がでて笑えてきた。
嬉しい気持ちと驚きと期待に満ちた、子供の頃のようなワクワク感――――
北野さんに質問したいことが山積みだ。
「ところで、なんで急に自分が視えること教えてくれたんですか?在職中には、何も言ってなかったですよね。」
「そりゃそうだろ。仕事中だし。だけど、今日は犬がいたからな。危険承知でついてくるぐらい懐いてる人間なら言っても大丈夫かなと思ったんだ」
「なるほど。私、昔からオカルト話が好きなんで、むしろ羨ましい力ですよ。でも、私には視えないので、また何かあれば教えて下さい」
「あと、なんで退職した時、電話番号渡したんですか」
「…」
「ああ、あの時は、危なかった。放っとけなくて。悪霊憑いてたからね」
「えっそうだったんですか!…で、今はいないんですか?」
「うん、取ったから。元気になったでしょ」
「はっ言われてみたら、確かに!あの短い時間で…」
「一応、後も気になるしよ」
北野さんは、心持ち照れたように目を逸らし、頭をかく。
「ありがとうございます。私知らなくて。どんな悪霊だったんですか?」
「あの時―――」
夕方近くまで、話は途切れることなく続いた。