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「32歳で初期乳がん全然受け入れてません」を読んで
珍しい初期乳がんの人の体験談(エッセイ漫画)。
作品の中に出てくるけど、あまり初期乳がんの人の体験談は公に出ているものはない。(有名人のとかならあるけど)
ブログなども少ないと思う。
なぜなら、すぐに「日常に戻れる」人が圧倒的に多いから。
私も一昨年、手術して4日くらい入院しただけだった。
仕事も2週間ほど休んだ(それも長すぎて不必要な気もした)ことで済んだ。
乳がんが発覚した時、よく「命に別状はないから大丈夫」と言われたが、胸を取られる、という恐怖は計り知れないものがあった。
部分摘出であっても形が変わってしまうわけで、それを自分が受け入れられるだろうか?もはや女として終わりなのでは?という恐怖が拭えなかった。
そんなの「もうすぐ死ぬかもしれない」という人から比べらればたいしたことがない、と言われるかもしれない。
そう思うからこそ、なかなか口に出せないし、出せたとしてもうまく言葉にできない。
本書に「胸を取られる前に少しでも気になる人とはセックスしといた方がいいんじゃないか?」という悩みで作者がぐるぐるしてる様があった。
よくわかる。
私などは、作者より10歳ほど上で癌が発覚したが、結婚もしてなければ子供もいず、彼氏がいた記憶もほとんどない。
「女として終わる」どころか始まってもいないのに、終わってしまう・・・
なんということだ!という恐怖。
お金を使って「男性と素敵な夜を過ごす」ページを何度も調べたが、結局勇気がなくて(お金もなくて)申し込むことができなかった。
まあ、終わってみれば別に多少、胸が取られるくらいたいしたことがない、ということはよく分かる。
「恋人ができないのでは!」と思ったが、元々胸があっても恋人はできない。
結婚相手も積極的には探してないけど、「跡継ぎをどうしても作らないといけない」とかいう人でなければいいわけだし。
ただ、それは終わってみたら分かることで、渦中の葛藤はすさまじかった、ということを思い出した本だった。
どうしても「もっと大変な人がいるから我慢しなければ」と思いがちだけど、自分の感じた葛藤はもっと大切にしなければ、とあらためて思った。