飲食関連企業・フードビジネスの微妙なマーケティング
「スシロー、純利益を下方修正 おとり広告で客足遠のく」の記事を見て「吉野家のシャブ漬け炎上」のニュースを思い出した。
企業が大きくなるとマーケティングという手法を重要視するのは当然だが、扱う商品・商材によっては的外れになることもあるのだと思う。
特に飲食関連の企業は微妙な傾向が20年近く続いている。
吉野家の過去でいうと2001年に並盛400円を280円へ価格改定をする。このデフレの象徴となる価格で全国の吉野家では客が行列しニュースとなった。
あまりの安さに若者男子はもちろん、お小遣い制のオジサマまで利用した。この時期、週に1〜2度の頻度でランチ利用する人が増えたように思う。これこそが「シャブ漬け」だと思う。それ以降は「松屋」「すき家」の競合に加え狂牛病問題などを乗り越えながら、他メニューが主体のフードビジネスも増え厳しい状況が続いていたのだと思う。その後、登場するのが「生娘をシャブ漬け戦略」を語った取締役さん。P&Gのマーケティング責任者という肩書だったようだが、P&Gといえばグローバルな化学企業(売上だと花王の7倍?)。世界王者のマーケティング手法と吉野家の商材にシナジーがあるとは思えない。
私も数年ぶりに吉野家に行ってみたが、コストダウンの試行錯誤が見えて食事が楽しめない。吉野家の以前のキャッチコピー「はやい、うまい、やすい」は「おそい、まずい、ふつう」に変わってしまった。
「おそい」
メニューのバリエーションが増えすぎて、商品提供までの時間は決して早くはない。このバリエーションもマーケティングの賜物だろう。
「まずい」
食材の品質をコストダウンしているのが良く分かる。さらに適度な来客が続かないことで時間が経ったご飯(ライス)が、そのまま商品として提供されている。コンビニ弁当ではなく吉野家を選ぶ人の感覚で「炊きたてのご飯が食べたい」というポイントがあると思うのだがニーズに沿ってない。また、お米自体もコストダウンしてるかもしれない。
「ふつう」
以前のコスパを記憶しているからだと思うが、現状の「おそい&まずい」に対して価格の設定は安くない。どちらかと言えばコスパが悪く「また食べよう」とは思わない。
以前のクオリティを提供するためには価格をいくらに設定する必要があるのだろう?おそらく値上げする勇気が無いのだろう。
スシローのトラブルも基本的には同様で偽りのマーケティングだと思っている。特に寿司ネタは同じクオリティーを全ての店舗で提供することが難しく、マーケティングという名の下で目玉商品や期間限定など本質から離れた「嘘ではない」という言い訳で売上を得ようとしているのだろう。
「美味しいものを提供する」という基本が守れないフードビジネスは淘汰されたほうが良い。価格設定はFLRとの兼ね合い「F(Food:原価・材料費)、L(Labor:労働・人件費)」「R(Rent:賃料)」なので無理な価格は持続しない。
数年ぶりにスシローへ行ってみた。
まぐろ3貫盛り。
三種盛りって書いてたけど、左と真ん中は同じネタ?
この値段で、このアワビは見事。
ホタテ、値段に合わせるために無理した感じ満載です。
一皿(黒色)352円・税込
過去に1度だけ、海外から遊びに来た知人ファミリー(小さな子供も)と一緒に利用しました。かっぱ寿司で冷凍されたままのマグロを食べて以来、回転寿司を敬遠してましたが、その時のスシローは普通に楽しめました。
改めて利用してみて、企業努力という名の価格維持がマーケティングとして間違っているのだと思う。ドバイの万博でもスシローが頑張っている様子をネットなどで拝見していた。
偽りのマーケティングではなく商人魂を見せてほしい。
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