あたし、このパイ嫌いなのよね

ジブリ映画で一番好きなのは『魔女の宅急便』だ。

単純に一番多く見ているから、というのもある。

キキが飛べなくなったシーンが印象的で、
小さい頃はちょっと怖さも感じていたけど、
あの辛いシーンからのラストがとても爽快で好きなのかもしれない。

その中でも、「あたし、このパイ嫌いなのよね」という女の子の台詞は、
なんかよくわからないけど、ずっと記憶に残っている。

このパイ嫌いなのよね


僕は、自分でいうのもなんだけど、
他人にとって無害な存在らしい。

というのも、
「わたし、〇〇さんのこと苦手なんだよね」
という言葉を、急に掛けられたりする。
そんなに親しくないと思っている人からも。

これは、僕が信頼されているからとかではなく、
僕が口数少なくて、話す相手もそんなにいないから、
漏れることがないという安心感があるからなんだろう、と
勝手に思っている。

〇〇が苦手

〇〇が嫌い

内容にもよるけど、
けっこう僕にとってはショックな言葉だったりする。
自分のことを言われてなくても、だ。

僕は、苦手なこととか、嫌いなこととかを話したりがあまりできない。

理由を上手く説明できないけど、
そのモノやヒトを一気に突き放している感じがするからだ。
「嫌い」と口にした瞬間、
自分の胸の中でその言葉が響いて、増幅していく気がする。
罪悪感というのか、モヤモヤが残る。

だから、そういうことをはっきりと、
しかも、あまり話したことのない人に言えるっていうのは
驚きであったりもする。

「嫌い」を吐き出せるのって、
本当はスッキリすることなんだろうなと思う。
簡単にそれができたら一番いいんだろうなとも思う。

「苦手」や「嫌い」は、僕の周りにも普通にある。
それはわかっている。

でも、その「苦手」や「嫌い」を
もしかしたら「そうじゃない?」と、疑おうとする癖がついている。
自分の勘違いだと、そう思うようにしている節もある。

もっと素直でいいのに。

嫌なら嫌でいいのに。

苦手なら苦手でいいのに。

好きにならなくていいのに。

自分が無理しなくていいのに。


「僕も、このパイ嫌いなんだよね」

これぐらい気軽に言えるといいのに。

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