第7話 山は動くのか? 〜小説「包帯パンツ物語」〜
「お前が考えていることをやれるような場所は、日本国中探してもどこにもない」
寺田さんのその言葉に頭に来た。せやけど、それをひっくり返す言葉を知らんだけに悔しくて、悔しくて仕方がなかった。可能性があるとすれば、それは権力者である寺田さんの力でしか実現できないことも事実。寺田さんに協力してもらうほか、全ての道は断たれたと言っても過言やない。
「山は動くんやろか?」
ぽつり独り言ちた。
「らしくないわね」
ふと顔を上げると、妻がいた。家に帰ってからぼんやり遠くを見ている私