詩誌「光」巻頭詩①荒木田慧
「コインコインコインコインランドリー」
荒木田慧
地球はここのところ雨で
洗濯物
かわかないから
8月のよる9時前
コインランドリー
夜に停車する
虚しくあかるい電車
乗客はほかに一人二人
たまたま乗り合わせた
運命共同体
宇宙に放り出された
脱出ポットとか
地球さいごの日の
核シェルターに似てる
はじめまして
さみしいですね
あとすこしだけ
共にしましょう
200円いれて20ぷん
コインコインコインランドリー
厚いガラス製の
丸い窓のむこうで
顔も知らない誰かの
日常が混ざっていく
going-going
きのうの徒労は
洗剤でおとして
きょうのさみしさは
柔軟剤でごまかし
あしたのなみださえ
乾燥機で
かわかす
going-going
すこし離れたベンチの男が
見上げるテレビのニュース
台風 関東に接近
大丈夫大丈夫
たぶんここにいれば
わたしたちはきっと
だからもう100円ぶんだけ
たすけて
コインコインコインコインランドリー
going-going-going
going-going-going
荒木田慧
1983年、群馬県伊勢崎市生まれ。2018年からインスタグラム上で詩を書き始める。詩集「生活の記録」を発行。note:keiarakirda
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ、サポートお願い申し上げます!
しろねこ社運営の貴重なアシストです!