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小学生でもできる木造住宅の壁量計算 第5回 耐力壁とは?
前回まで、壁量計算のやりかたを説明しました。ここからは、そのなかにでてくる用語などを解説していきます。今回は耐力壁です。
木造住宅を地震や風に対抗するために入れるのが耐力壁と説明しました。では、耐力壁とはどのような壁なのでしょう?
耐力壁とは、建築物が、地震や風など横からの力《ちから》に抵抗する能力をもつ壁で、強さは法令で決められています。いくら強くても法令できめられていないもの、強さがわからないものは、耐力壁ではありません。
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まず、一般的なものは、筋かいです。斜め方向に材料を入れることによって建物が倒れるのを防ぎます。
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面材も、地震に強くする耐力壁の一種です。構造用合板(規格化されたベニア)などがそうです。材料だけではだめで、きちんと規格化された釘で、規格通りに打ちこむことで、初めて耐力壁として機能します。現在主流の耐力壁となります。
他に、規格化した土壁などもあります。古民家などの土壁は規格化していないので耐力壁とはいえません。しかし、それなりの強度があることがわかっております。
では、耐力壁はどれくらいの力なのでしょうか?
同じ耐力壁でも強さが違います。その強さの単位は~倍です。0.1倍~5倍まであります。耐力壁の強さは足し算できるものもあり、最大が5倍となります。
1倍とはどれくらいの力かというと、壁長さ1m当たり、1.96kN(キロニュートン)の水平荷重に抵抗できることです。簡単にいうと、1mの壁で、1.96kNの横からの力で壊れないことです。ではkN(キロニュートン)とは何か?国際単位系の力の単位です。だいたい200kgで横から押す力に該当します。1倍だと200kgなので、一番強い5倍では1000kgとなります。200kgだと大人3人が一斉に押したくらいなので、1倍の耐力壁でも結構強いことがわかります。
では、耐力壁が壊れるということはどういう状態を指すのでしょうか?1倍の壁を横から200kgで押した場合、ひし型になり、いずれ倒れます。柱が斜めになってきて倒れるイメージですが、その傾きがある基準以上になったときに「壊れる」こととしています。1/120rad(ラジアン)という基準になっています。これは難しい計算なのですが、
ラジアン=角度×円周率÷180です。ラジアンは角度の別の言い方と考えればいいでしょう。だいたい0.48度くらいと、実はかなり小さい変形です。3mの壁として考えると、だいたい25mmくらい傾く・・・そんなイメージです。耐力壁はそれだけ固くゆがみが認められないものということなのです。
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