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揺れやすい木造3階建ての7つの特徴

 実際に木造3階建て構造計算実務に携わりつつ、耐震診断を行っている人は少ないと思います。私も年間数件ではありますが、診断を行ってきて気がついたことをまとめてみたいと思います。

新築築浅の木造3階建て

 築1ヶ月から1年程度の案件は、毎年相談があります。近年は欠陥住宅のようなものは減ってきています。構造設計も検査も厳格化しており、建売住宅、注文住宅を問わず、品質管理体制が整ってきているからです。
 しかし形状的に無理があるもの、部材をギリギリに削った物など、近年のウッドショックなどから見られるようになり、耐震強度的にはあまり問題がないが、揺れやすい物件が増えたような気がします。また交通振動を受けやすい地域や、地盤が悪い地域での相談も増えており、やはり建物は地盤が重要だと改めて感じます。新築といえども揺れにデリケートな方は木造3階建てには住まない方が賢明です。

検査済証を受けていない木造3階建て

2000年頃までは、検査済証を受けない木造住宅が多かったです。木造3階建ても同様で、構造計算されていても検査を受けていないものが多くありました。もちろんしっかり施工してあるものもあるのですが、施工がずさんだったり、図面通り作られていないものが多くあります。場合によってはかなり危険なものもあります。

2階建てを3階建てとして建ててしまった木造3階建て

 これは意外と多くあります。2階建てを3階建てに工事中に勝手にしたものや、後から増築などで3階建てにしたものなどいろいろあります。小屋裏を拡張したものが多いです。荷重的には3階建て相当で、構造計算必須でありながら、ホールダウン金物が不足しており、耐力壁数も不足していて、かなり危険なものが多いです。

狭小すぎる木造3階建て

通常の構造設計を行っても狭小住宅の設計はできるので、ギリギリで作った物が多く見られます。狭小過ぎるものは、やはり揺れます。特に広い受風面を持つ建物は風に弱いです。ヒビ割れなども早期に発生しやすいです。もちろん適切に設計されているものもありますが、壁量ベースのみで設計しているものは、揺れやすいです。

構造設計通り工事されていない木造3階建て

2003年頃までに多いタイプです。構造計算はとりあえず付けて、実際の建物は別に設計しているものです。完了検査等を取らなかった時代に多いです。構造設計すると壁が増えて実用的でないので、勝手にプランを作り替えているものです。都内各所に見られ、非常に劣悪な物もあります。私の所にくる木造3階建ての全相談の半数はこのタイプです。非常に危険な欠陥を抱えているものも多く、揺れも大きいです。また揺れが大きくなくても危険なものが多いのもこのケースです。

無理のある形状の木造3階建て

形状に無理があるものも、多くあります。築浅のものも結構ありました。
・吹き抜けが大きい、階段と吹き抜けが一体化。
・ビルトインガレージで狭小住宅
・オーバーハングがある
・4m以上のスパンを飛ばした梁がある
・1階に広い部屋がある
・1,2,3階の外壁ラインが複雑で揃っていない
・平面的に斜め形状があり、複雑な形
・室内にオーバーハングがある
・やたら2重壁が多い

などです。これらは、一般にわかりにくいので放置されてきましたが、やはり欠陥なども多く、最近減りつつあります。

増築や、壁を減らしたリフォームをしている木造3階建て

知識のないリフォーム屋さんなどが、お客様のニーズに答えてリフォームしたもの。特に耐力壁を減らしたり増築したものは危険が多いです。基本的に木造3階建ては、そのような行為は少しであっても厳禁です。狭小住宅の場合一枚の壁の負担が大きいので、急激に耐力が低下することがあります。

以上、相談が多い7つの特徴でした。そもそも木造3階建ては、新築、中古どちらであってもあまり住みたいとは思えませんね。長く住むのであれば、慎重に選びたいですね。

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