🇨🇳#20 安徽省・馬鞍山市へ李白のお墓参りに行く

2024年4月21日 07:17

河南省レポで手を抜いてしまったので、安徽省でリベンジ。
安徽省での観光のテーマは、敬愛する詩人・李白のお墓参りにした。

安徽省といえば黄山の素晴らしい景色をお見せしたい気持ちもあったのだが、昔、娘のベビ子を背負って登り、その後体調を崩して2週間寝込んだ経験から、今回は先の予定もあるため、自分の体力のなさを考慮してやめておくことにしたのだ。

かわりにと言ってはなんだが、李白に関するミニ知識と有名な詩３つの超適当現代語訳を以下にまとめてみた。

詩仙・李白の一生を振り返る

わたしが思う李白とは、酒を飲むのと月を眺めることをこよなく愛する超ロマン主義の偉大なる詩人である。

月を見て喜んだかと思えば、ノスタルジーに浸って凹み、酒を大量に飲んで、歌って大はしゃぎした末に自己嫌悪…と、やたら忙しい。
しかし、その、ともすると過敏すぎる感受性と、酒を味方に手に入れたのか、生まれつきなのかわからぬ大胆さで、数々の素晴らしい詩が生まれたともいえる。

また、彼は商人の家という出自から科挙試験を受けられなかったのだが（受験条件に商人の子はダメというのがあった）、当時の優秀な若い子たちの例に漏れず、立身出世を夢見ていたようだ。

で、結局、若い時に憧れの官僚になれなかった彼は、働くでもなく、10代後半からあちこちをフラフラ旅している。

しかし、彼の放浪は40才のわたしの血迷った自分探しとは違って、ちゃんと結果を残した。

旅して見聞が広がり、いい詩がたくさん書けたこともあって、40でついに文官として宮廷に仕えることになったのだ。
時は玄宗皇帝が治める唐代である。

今でいえば、坂道のオーディションに受からなくたって、地道に地下アイドルとして活動したり、SNSでバズったり、自己実現の方法はいろいろあるというわけだ。
そうしているうちに、「いい子いるんっすよ」と、芸能関係者から直接秋元さんに繋げてもらえたりするかもしれない。

もちろんこれは李白という天才の成功例ではあるが、夢には「別コース」があるというのは、なんとも夢がある話ではないか。
本名で人生を失敗したわたしも、もう白丸みそ子でも黒丸豆板醤子でもなんでもいいからやり直したい。

そしてたぶん、この文官抜擢の時が李白の人生のピークだったと思われる。
というのも、結局李白は官僚としてうまく立ち回れず、アンチに悪口を言われるなど、宮廷の闇を見て、わずか三年で都・長安を離れてしまったのである。

ちなみにこの頃、洛陽でもう一人の天才詩人・杜甫に会って意気投合している。
J-POPで例えるなら、ほぼ同時期にデビューした日本を代表する歌姫である宇多田ヒカルと椎名林檎がコラボしちゃうくらいアツい話だろう。

あとの人生は、まあ、結構哀れである。
安史の乱で捕まって、投獄されたり。
そして、放免後、また旅に出ようとするけれど、あまりお金も体力もなく、くすぶりながら62才で他界するのだ。

決して順風満帆とはいえない人生だったようだが、いずれにせよ、千数百年前に書いた詩1000首弱が現存、今もなおその詩が世界中の人に支持されているのだから、やっぱりとんでもなくすごいことだ。

というわけで、以下に、軽妙洒脱な作風が特徴の李白の詩を、白丸みそ子流で超適当現代語訳にしてみた。

なお、今わたしは、不良に憧れて吸い方のわからないタバコを咥える少年のように、李白に感化されて好きでもなんでもない安い白酒を飲んでいる。
そして、酔っている。
なので、比較的正常な時に、内容を今一度見返して直そうとは思う。

静夜思（静かな夜に思ったよ）

床前明月光，疑是地上霜。
举头望山月，低头思故乡。

寝床から見える月の光がさ、(白っぽくて)地面に降りた霜みたいなんだよな。
頭を上げては（綺麗な）山と月の景色を眺めて、頭を垂れては故郷のことを思うよ。

哭晁卿衡（俺、阿倍仲麻呂おもって泣いたんだ）

日本晁卿辞帝都，征帆一片绕蓬壶。
明月不归沉碧海，白云愁色满苍梧。

日本の友達のさ、晁衡（阿倍仲麻呂）が、都の長安にさよならして、一隻の頼りない帆船で蓬莱(伝説の神の山)の方まわって帰っていったんだよ。

でもさ、ルミナスストーン(みたいにキラキラしてた阿倍仲麻呂)は、あおい海に沈んじゃて、もう二度と帰ってこないわけ。

そんでさ、白い雲が、憂鬱な感じで蒼梧山（湖南省・寧遠の山）をおおってるのよ（あ、これ、今の俺の気持ちね…）。

※明月は明るい月と解釈もできるし、明月珠（水中で発光する宝石：ルミナスストーン）とも考えられる。
阿倍仲麻呂が海難事故でなくなったと聞いて書いた詩。
実際には、ベトナムに流れ着いて、乗り合わせたたくさんの人が現地の盗賊に殺された中でも、無事生き延びて長安に戻ってきた。

月下独酌（月の下でひとり飲み）

花间一壶酒，独酌无相亲。
举杯邀明月，对影成三人。
月既不解饮，影徒随我身。
暂伴月将影，行乐须及春。
我歌月徘徊，我舞影零乱。
醒时同交欢，醉后各分散。
永结无情游，相期邈云汉。

花が咲いた庭に酒壺ひとつ置いて、俺、友達もいないから一人で酒飲んだのよ。
でさ、（独りぼっちかと思ってたけど）盃挙げて月を飲みに誘って、自分の影も仲間に入れたら、ウチら三人じゃんってなったわけ。

(なーんてね…)
月が酒飲むわけないし、影は単なる俺の金魚のふんでした…。
でもさあ、月と影をお供に楽しむのも、こうやって春のうちだからだよね。

てかさ、なんか俺が歌うたったら月がフラフラして、俺が踊ると影も踊ってるっぽい。ウケる。
まあ、まだ意識があるうちってのは、こうやって月と影と一緒に楽しめるけど、俺が完全に酔い潰れたら、それももうおしまいよ。

よーし、月と影と俺で、「トモダチ」の契りを未来永劫結ぼうじゃないか。
集合場所は、天の川のはるか彼方で決まりな🌠

現在の総移動距離　約16580km
現在の33地域クリア率　　33分の17
降り立った都市　22
①上海②新疆ウイグル自治区（カシュガル/ウルムチ/トルファン）③甘粛（敦煌/蘭州）④青海（西寧/海南チベット族自治州）⑤寧夏回族自治区（銀川）⑥陕西（西安）⑦山西（平遙）⑧河北（石家庄）⑨内モンゴル自治区（フフホト/ウランチャブ）⑩北京⑪天津⑫遼寧（瀋陽）⑬吉林（長春）⑭黒竜江（ハルビン）⑮山東(青島)⑯河南（永城）⑰安徽（馬鞍山市）
飛行機　　4回
新幹線　　11回
寝台列車　4回