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日本のマルハラ、中国のデススマイルに見るテキストコミュニケーションの難しさ
日本の「マルハラ」の話題を見て、ふと、中国でも数年前に似たような話がネットを騒がしていたことを思い出した。
実は、中国では若者が嫌がる、「デススマイル」というのがあるのだ。
何のことかと言えば、中国のSNS「微信」で使用できる笑顔マークの1つなのだが、どうにもこうにもこの絵文字、腹の中に何かを抱えている顔に見えるのである。
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微信公式の説明では「微笑」の表情に過ぎず、他意はない。
ところが、若者ユーザーからの「怖い」、「本心は笑っていないよな…」という声にはじまって、今では「嘲笑」「きらい」「中立」といった裏の意味が世に広まり、使いづらい絵文字になってしまった。
【嘲笑の意味で使われる場合】
・それは大変だったね(目しんでる微笑)
→はいはい、ご苦労さま
【嫌いの意味で使われる場合】
・素敵な誕生日プレゼントありがとう(目しんでる微笑)
→本当はあのプレゼントに満足してませんけど
わたし自身は、騒ぎが起こる以前から「この顔、絶対怒ってるやつじゃん…」と思って個人的に使うのを控えていたので、ネットの指摘には妙に納得した。
しかし、あまりSNS情報に注目していない層では、今でも使っている人を見かけることがあり、教えようか教えまいか、いつも少し悩むのである(そして結局は何も言えなくて…春)。
テキストコミュニケーションのむずかしさ
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日本のくだんの件に関しては、文末にマルを付けただけでハラスメントというのはさすがに大袈裟で、冗談なのだとは思うが、結局のところ、こういった齟齬はテキストやイラストに対する感じ方の違いによるのだと思う。
もし本気で「マルついたらハラスメントだ」と言っている人がいたら、「いやいや、待ってくれ」と反論できそうなものだが、「わたし、マルついたら怖いんだ…」と若い子に言われたら、「ふうん、今時はそうなんだな…」と、わたしなら思う。
ハラスメントの是非は問えても、個人的感想としての「マルこわい」に裁きは下せないと思うのだ。
ちなみに、わたしに関していえば、文末に「!」や「💖」を期待していた場合、マルがついていないことでも小さな落胆があったりする。
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なんでもハラスメントではやりづらくて困るが、日本でも中国でもテキストコミュニケーションに関する同様のトラブルはあり、SNS社会もそのあり方を模索・成長中ということだろうか。
正直、流れについていくのは大変なので、自分としてはできるだけおだやかな気持ちで、人を傷つけないことにだけは注意してマイペースにやっていきたいものである。
おわり