🇨🇳#21 江西省・廬山で中国最強レベルのB級グルメを食す
なんの自慢か、わたしは高校時代登山部の部長だった。
と言っても、部員は2人で顧問はおじさん先生が4人。
部員より顧問の方が多いという異常事態だが、これは単に部活動を熱心にしたくない省エネ系の先生が、部員0で休部状態だった女子校の登山部に4人も身を隠していたというだけのことである。
それを「山に登りたい」と騒いで目覚めさせてしまったのがわたしとその友人だ。
かと言って日本最高峰の富士山に挑むわけでもなく、おじさん顧問4人と奥多摩の山をいくつか、ハイキング程度にひやかしてわたしの登山部部長としての活動は終わった。
ただ、いまでも山は好きなのだ。
文化人たちを魅了した廬山
ということでやってきたのが、江西省の北部にあり、中国を代表する名山、廬山。
李白、白居易、蘇東坡といった文化人たちが魅せられ、山水画や山水詩の発展に大きな影響を与えた山である。
ちなみに、聖闘士星矢だと、龍星座の紫龍(ドラゴンのシリュウ)が5年間修行した場所で、彼の最強奥義・廬山昇龍覇は、この山奥で体得されたという。
こんな話を聞くと、一体どんな秘境かとドキドキするかもしれないが、実は観光地としてめちゃくちゃ開発されている。
そして、この廬山、わたしの金銭感覚からすると、チケット代がとても高い。
入山料160元、ロープウェイ往復が120元、山道内のマイクロバス乗車代70元、合計350元(7000円)するのだ。
観光地の料金としては今回の旅の最高額を記録した。
廬山の鉄道駅からは片道10元(200円)でバスが出ていて、「350元払った上にまだ10元払うのか」と、バスターミナルで激怒しているおばさんがいた。
結局、おばさんは運転手さんから「じゃあ乗らなくていいよ」といわれて置いていかれたのだが、その一幕をバスの車内からじっと見ていたわたしは、自分も同じことを心の中で思ったけど、口に出さなくてよかったとつくづく思った。
日常的にアンガーコントロールを心がけていないと、自分が損をしてしまうことがあると思う。
結論から言うと、一番よかったのはロープウェイからの景色だった。
ロープウェイはオンシーズンだと片道7分なのだそうだが、今は観光客が多い時期ではないので、20分かけてゆっくりと上がるのだ。
(節電のためらしい)
そのゆっくりがいい。
山道を歩く時には見られない俯瞰での山々の姿には、人を寄せ付けない厳しさがある。
切り立った崖、岩場を勢いよく流れる清らかな水。
なぜかイヤホンから流れている音楽はヒプノシスマイクの「パーティーを止めないで」だが、わたしはこの眼下の大自然に感動している。
…
やっぱりこの曲はやめよう、五感の情報認知が不調和で脳が混乱してきたようだ。
江西省のB級グルメは最強クラス(だと思う)
実は、わたしが食べた中国のB級グルメの中でも個人的トップ3に入るのが、ここ江西省の「南昌炒粉(南昌の炒めビーフン)」である。
※南昌は江西省の都市名
中国の南方には、小麦の麺ではなく、米が原料の「米粉(ビーフン)」を好んで食べる地域がいくつかある。
その多くは、ベトナムのフォーのようにスープと一緒に食べられているのだが、「南昌炒粉」は、ビーフンを茹でた後に、さらに炒めて調理している。
見た目は焼きそばのようでありながら、つるつるさらさらした不思議な食感だ。
土地によってアレンジはいろいろあるようだが、青梗菜と炒り卵を具にして、しょうゆ味で炒めたものがわたしは好きだ。
また、以前南昌に滞在した時は、朝ごはんとして「南昌拌粉(南昌の混ぜビーフン)」を食べた。
これは前述の炒粉のように麺を炒めてはおらず、茹でたビーフンにタレや具をかけたメニューである。
具はピーナッツ、刻んだ漬け物など。
目玉焼き卵をのせることもある。
シンプルでありながら、これも大変な美味であった。
ただ残念なのが、他地域(上海や蘇州)で「南昌炒粉」や「南昌拌粉」を謳う店を訪れても、現地で食べた味には及ばないことだ。
調理法自体はシンプルで、いったい何が違うのか分からないのだが、いまだに満足するものに出会えていない。
この江西省秘蔵(?)のB級グルメがもっと世に広まってほしいなと思う。
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