#14 パワハラ発言「親の顔がみてみたい」の意味を知る
先週仙台へ帰って行ったベビ子が、サークルの練習試合で東京へ来て、一日だけ埼玉に戻った。
駅までみそ(犬)の散歩がてらベビ子を迎えに行き、ふとこさん(母)と一緒に楽しく夕飯を食べたまではよかった。
夜、仕事をしているわたしの横で、ベビ子が急にメソメソと泣き出したのである。
なんでも、昨日彼氏のまさおの家に泊まりに行って、歯磨き粉のチューブに直接口をつけて吸い出したのが、たった今バレたらしい。
チューブには、ベビ子の口紅がついていたのだ。
オーマイガ……
わたしは心の底から思った。
そんな娘に育てた親の顔が見てみたいと。
わたし「それは…人として、ないな」
ベビ子「だって、もう残り少なくて、絞っても出てこなかったから」
わたし「いや、いいわけはいいのよ…。あなたの常識のなさ、だらしなさのすべてを表してる」
ベビ子「……もう絶対フラれる…」
わたし「でも、人(まさお)と付き合ってよかったね…。母さんが言っても、一生反省しなかったでしょ」
ベビ子「シクシク…」
わたし「これを機にきちんとしなよ。母さん常々言ってるでしょ、あなたはだらしないって」
ベビ子「……か、母さんに…」
わたし「なに?」
ベビ子「…風呂に入らない母さんに言われたくない!」
わたし「……」
ズーン……
ふたりで一緒に落ち込むことに……
三十分後。
ベビ子「あ、まさおからメールきた。それもわかってて付き合ってるからって…許してくれた…」
わたし「いやいや…! まさお! それは違うだろ。今すぐまさお呼んでこい、まさおをっ!」
ベビ子「…シクシク…メソメソ…わたしだって、変わりたいよ…最近は、本気でそう思ってる」
わたし「ほんとに心入れ替えて変わろうとしなきゃ、この先マジでヤバいからね!」
ベビ子「うん… だから…母さんも頭洗ってね…」
わたし「洗うから! 一日二回でも洗うから、アンタもちゃんとしなさい!」
そうしてベビ子は再びまさおが待つ仙台へと帰って行ったのだった。
つづく