イギリス旅行で、身近にあったシンプルに出会って。
シロクロ製靴の根幹である既成靴の
新しいデザインを考えています。
サンプルまで作ったところで
立ち消えになっていたデザインを元に
木型を変更し、私が求める「シンプルさ」より
逸脱しない程度にアレンジを加えます。
そう言えば、なぜ、
私はシンプルなデザインを描くことに
固執するのでしょうか。
考えてみると色々理由はあるのですが、
その中で、これが理由として大きいのかな
という思い出話しをひとつ。
▼ 自己紹介
伊藤孝 / シロクロ製靴
それは、20代後半も後半の靴の専門学生時代。
ひとりで、一週間ばかりイギリスに行ったときのこと。
旅行の目的はふたつ。
ロンドンで靴作りをされている日本の方にお会いし、靴を買うこと。と、
靴作りの聖地と呼ばれるノーザンプトンに行ってみること。
これら、ふたつの目的はスムーズに
達成されたのですが困ったのはその後。
英語が全く話せないのに、暇。そして独り。
さあ、これからどうしよう。
普通に考えれば、じゃあせっかく来たのだし
名所的なところを巡って観光に切り替えればいいのですが、
真面目というか、融通のきかない私。
こちとら観光じゃなく、靴の勉強で来てるんだよ。遊んでる場合じゃないよ。
そんな頑なな気持ちに縛られています。
じゃあ、美術館や博物館をはしごして
(観光っちゃ観光な気もするが)
デザインの勉強をしよう。
本物を見ることは良いことだと言われているし。
そう思い立ち、残りの数日を美術鑑賞に費やします。
イギリスでは驚いたことに、
とても歴史がありそうな美術館や博物館が
日本に比べ、格安もしくはタダで入れます。
(大英博物館なんぞは無料)
そして、中に入れば、
幼稚園児とおぼしき子供が
絵画の眼前で寝っ転がって絵を描いている。
(マナー的にどうかは知らんけど)
私は思いました。
こんな、幼少の頃から
歴史的な文化や美術に馴れ親しんでいる国の人達に
ヨーロッパ発祥である靴で
日本人はどう立ち向かえばいいんだろう。
一瞬、茫然となりました。
しかし、気を取り直し、
横にいる子供を改めて覗いてみると、
その絵を描いている落書き帳は、
なんと「無印良品」のものではありませんか。
その時にビビビッときました。
歴史や文化的背景のいる
装飾やデザインで勝負しないで、「無印良品」のように
削ぎ落として、削ぎ落として
シンプルなデザインで勝負しようと。
あれから数十年が経ち、
あのとき、何を観たのか、何を学んだのかは
すでに記憶から削ぎ落とされていますが。
(覚えていないだけ。カッコつけて言ってるだけ)
「無印良品最高!ワールドワイド!」
このことだけは今も刻み込まれています。
(イギリス行った成果はこれだけか。黙って観光してろ)
そんな思い出があり私は、
シンプルな靴のデザインを描き続けているのです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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伊藤孝|シロクロ製靴(奈良の小さな靴製作所)
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