[B細胞リンパ腫]闘病の記 その5: 2018年7月下旬

2018年7月下旬

7月14日
朝の回診で、両親を呼んでほしいと言われる。
脾臓生検はまだだったが、皮膚生検の結果で確定診断できたとの事で、午後に両親と一緒に面談。

「血球貪食症候群合併 血管内大細胞型B細胞リンパ腫(悪性リンパ腫) ステージⅣ」


要するに「血液のガン」と宣告される。

正直ショックは全くなかった。苦しくて起き上がることもできず、横になったままの状態だったけど、ガン告知に涙もでなかった。どちらかというと、ほっとしたのかも、原因が漸く分かったから。

父が「ヤバいやつですよね?」って聞いた時、その聞き方にちょっと笑えた。母はショックからか無表情だったが、父は持ち前の前向き思考で、やっつけるしかないよね、という姿勢、ありがたかった。

悪性リンパ腫ってよく耳にする病名だけど、様々なタイプがあるそう。私のはかなり珍しいらしく、日本国内で報告されている全く同じ症例としては6件のみ、米国を入れても10件だとか(2018年7月現在)。報告例が少ない理由は、年配の人が罹りやすい病気であり、また発見に時間がかかり診断確定前に死亡する例が多いから。と、いう事で、生存率とか再発率とかそういった数値は分母がたったの6。「難しい病気」「予後がよくない」など。。いい話は耳にしなかったけど、なぜか私は、、

「私がガンで死ぬわけない」
「ガンのやろー、かかってこいってんだい」

めちゃ強気でした!

「血球貪食症候群合併 血管内大細胞型B細胞リンパ腫」とは、を簡単にまとめると・・・                           びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の亜型であり、血管内選択的にリンパ腫細胞の増殖を来す節外性悪性リンパ腫の稀な一病型。日本では血球貪食症状を伴うアジア亜型が60%を占める。 血球貪食症候群とは免疫機能に関わる細胞が異常活性され、血球成分(白血球、赤血球、血小板)を食べてしまう(貪食)状態を引き起こす病気。比較的まれな疾患といえ、国内での発症者は数百人程度、年間発症者は数十人程度。リンパ腫細胞が中~大動静脈を除くあらゆる血管内、主に毛細血管内や後毛細血管小静脈内で腫瘤形成を伴わずに増殖を示す。  ◆ 通常リンパ節の腫れがなく、腫瘤形成しないため診断が困難である ◆ 進行が早く致死的であるため生前診断は困難なことが多い ◆ 非ホジキンリンパ腫の1%未満とされる ◆ 発症者は中高齢者に多く、男女差はない ◆ 血球貪食症候群合併例は非合併例よりも3年生存率が低い(29.6% vs 75%)

いやはや、診断がついてホッとした。
原因不明の症状がつらくてつらくて、泣き続けたこの2か月、でも手遅れになる前に発見してもらえて本当に運がよかった。当初は精神科に入院という、紆余曲折があったけど、そのお陰でこの病気が見つかった。というか、原因不明のままただ自宅で寝ていたら、もうこの世にいなかったよね。もう本当本当にに感謝しかない。

ヤバい病気ではあるが治療方法は近年確立しているそうで、すぐさま抗がん剤治療が始められるとの事。決定した治療方針は以下の通り。

★R-CHOP療法 6~8コース
R-CHOP(アール・チョップ)療法とは、悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫の患者に対して行う最も代表的な抗がん剤治療。その名称は、使用する薬剤を英語で表記した際に、薬剤の最初の文字からとった呼び方。()内は一般名

 R リツキサン(リツキシマブ)    点滴
 C エンドキサン(シクロホスファミド)点滴
 H アドリアシン(ドキソルビシン)  静脈注射
 O オンコビン(ビンクリスチン)   静脈注射
 P プレドニン(プレドニゾロン)   ステロイドの飲み薬

基本的に3週間に一度のサイクルでR-CHOP療法を6~8コース行う(ステージⅣの場合)(投与後に休薬期間を16日間おき、計21日間で1コース)


★造血幹細胞移植(自家移植)
自家移植とは、ドナーから提供された造血幹細胞を移植するのではなく、自分自身から採取したものを戻す(移植)すること。

造血幹細胞移植は、通常の化学療法や免疫抑制療法だけでは治すことが難しい血液がんや免疫不全症などに対して、完治させることを目的として行う治療です。通常の治療法に比べて、非常に強い副作用や合併症を生じることもあります。造血幹細胞移植では、大量の化学療法や全身への放射線治療などからなる移植前処置のあとに、自分またはドナーから事前に採取した造血幹細胞を点滴で投与します。移植前処置の目的は、腫瘍細胞を減少させ、患者さん自身の免疫細胞を抑制することです。これによって、移植された造血幹細胞が患者さんの骨髄に根づき(生着する)、正常な造血機能が回復することが期待できます。骨髄に根づいた造血幹細胞は、そこで血液細胞を造るようになります。。”(国立がん研究センターHPより抜粋)


見ず知らずの私を、全力で治そうとしてくださる人々に感謝しかありません。私にできることは、治療に耐えること、耐えてまた元気を取り戻すことのみ。

このやろー!かかってこいマジで!

7月15日 投薬開始
まずは、プレドニン(ステロイド)を大量に飲む。「苦いよ」って言われたけど、ほんっとうにニガイ!!なるべく唇や舌につかないように飲み込むが、とにかくニガイ おぇー。

7月16日
鼻からの酸素では足りなくなり、酸素マスク着用。少し楽になり、咳も治まってきた。

7月17日
レントゲン検査に呼ばれるが、あまりに苦しくて起き上がれない、寝返りをうつのだって苦しい。様々な検査へは、車いすで連れて行ってくれるから私はほぼ何にもしなくていいのは承知の上で、初めて「無理です」とわがままを言った。先生が心配して、なんとか急遽レントゲン技師さんを呼んでくれ移動式レントゲン機械を使って、自室で検査をしてくれた。そんなスゴイ機械があるのもびっくりだし、なにより本当にありがたい。レントゲン検査の結果、肺に水が溜まっているとの事。また浮腫みがひどく体重が入院時より5キロほど増加(人生最大体重!)している為、利尿剤を投与することになる。


7月18日
第一回RCHOP療法、抗がん剤の投与開始

点滴で投与というのは聞いていたが、なんか想像がつかないし、ちょびっとドキドキ。でも、酸素吸入と利尿剤、ステロイドのお陰か少し身体は楽に感じる。

「では、抗がん剤はじめますね~」と防護マスクと防護服を着た看護師さん登場。抗がん剤は危険物質なので、何かの間違いで飛散してしまった時のために、投与の際は看護師さんは防護服を着ています。そんな危険なモノを身体に入れるのねえ。。。汗 まぁ、身体の悪い部分をぶっ壊してくれる訳だから、そりゃ最強の悪い物質なんでしょう。

まずは「吐き気止め」から点滴。起こり得る副作用が分かっているので、まずはその予防をしてくれます(ありがたや)。そのお陰か、特に副作用的症状もあらわれずに、予定通りあっさりと初回投与が終了。なんか拍子抜け?! 本日の投与は、エンドキサン、アドリアシン、オンコビン

とはいえ、酸素吸入、利尿剤の点滴、尿を吸引してくれるバルーン、抗がん剤点滴用のルート、心電図、脈拍の管で繋がれて身動きの取れない自分の姿をみて、大変なことになってるなぁとちょっと他人事だった。

7月19日、 リツキシマブ投与日
朝から、皮膚生検をした箇所の抜歯を行う。
午後から39度の発熱がありヘロヘロだったが、予定通りリツキシマブの投与を行うとの事。このリツキシマブ、劇薬なんでしょうね。。。投与には細心の注意が必要との事で、びびっていたのに、発熱した状態で行うといわれ。。がびーん。

リツキシマブの初回投与の際、infusion reactionというのが起こりやすいそうです。症状としては、発熱や皮膚の発赤、かゆみ、呼吸困難感、咽頭の違和感など、、、。これらの症状が重症の場合には、血圧低下や心肺停止となる可能性もゼロではないそうで。そのため、投与前、投与から5分後、投与の速度を上げる前、速度を上げた後、、、と小まめに体温や血圧、脈拍、パルスオキシメーターによる酸素飽和度(SpO2)を計り、急変がないか看護師さんが常に付き添ってくれます。ほんの少しでも違和感があったら教えてくださいねと言われ、緊張。その緊張感で身体が強張っているのか、異変なのかもう訳が分からない状態でしたが、無事にリツキシマブ投与完了。自分は寝ているだけですが、とっても疲れたし、キツカッタ。

7月20日~24日
ただただ怠くて寝ているだけ。でも利尿剤の効果でぐんぐん体重が落ち、身体も少し楽になる。

7月25日
友人がお見舞いに来てくれた。
面会を楽しみにしていたのもあり、朝からハイテンション。そして。。。 ずっと寝たきりで歩けなかったのに、、、なんと歩けた!! 看護師さんもびっくりしていたが、体力も落ちているのだから転倒などには気を付けるように!と。そして「思ったより背が高いんですね~」って言われた。寝ている姿しか見たことなかったですもんね、看護師さんたち(笑)

そして、17日に記録した人生最大重量の体重から、たったの1週間でマイナス12キロ。利尿剤、恐るべし!

骨髄抑制が始まり、味覚障害もでてきて味がしない。指先のしびれ、口内炎、便秘。副作用はあるものの、抗がん剤が効いているのか、今まで2トンに感じていた身体は軽くなり、気分もよい日がある。それだけで、幸せ。

骨髄抑制とは
骨髄抑制とは血液を造る機能がある骨髄に障害が起こり、上手く造血作用が行われなくなっている状態のことを指します。化学療法では抗がん剤を用いた治療が行われますが、抗がん剤はがん細胞を攻撃する一方で、正常な細胞も攻撃してしまいます。そのため、造血機能がある骨髄をも攻撃してしまい、その結果、骨髄の働きが悪くなり上手く血液が作られなくなってしまいます。骨髄の造血細胞が破壊されることで造血機能が障害され、白血球や赤血球、血小板の値が減少します。これを骨髄抑制といいます。抗がん剤の有害反応として、骨髄抑制の他にも脱毛や消化器症状の出現、心毒性など、さまざまな症状を示します。
骨髄抑制は、例えば消化器症状の出現や倦怠感などの症状に比べて、やや遅めのタイミングで出現するものです。抗がん剤投与からおよそ3~4日後より血球減少が始まり、2週間後頃までが最も血球が低値となります。

7月28日~31日
骨髄抑制により白血球がかなり減少のため、白血球をあげる注射を打つ。(資料紛失のため薬剤名が分かりません)

8月に続きます。

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