根雪になるかな?
11月の中旬くらいから何回か雪が降ったけど、
翌日になると溶ける。
そんなことを3回くらい繰り返した。
雪が降ったら自転車に乗れないんだけど、
溶けたらまた乗れる。
11月はそんなことが何回かあった。
一昨日の夜、いよいよ大雪が降って
(いよいよ、もうしばらく自転車に乗れないくらい降った)
と感じた。
昨日は調査の仕事があった。
すこし雑談モードになったとき
スタッフAさんが「ねゆきになりますかね」
と、突然私に聞いてきた。
(ねゆき。)
と不慣れな言葉に一瞬戸惑ったが
1秒後、「根雪」と
脳内で漢字変換された。
「そうですね、けっこう積もりましたもんね」
と答えてみた。
他のスタッフさんが、
「私、こんどの連休に自転車乗ろうと思ってたのに。
もう一度溶けてほしいわあ」
と言った。
やっぱり、「根雪になる」は
雪が積もったまんまになる状態の日が来ることなんだ。
それは「初雪」とは区別された状態の変化であり
「もうしばらく自転車に乗れないくらい」に雪が積もって
そのまま春まで溶けなくなる、
北国の秋と冬の分岐点のような日が来ること。
そうだ。
知らない土地で暮らすと、大人でも
ときどき「ヘレンケラーがwaterを分かったとき」と
同じような言葉の学び方をすることができる。
それはさておき
あとでご飯を食べながら、家族に自慢気に報告した
「私今日、『根雪になりますかね』って聞かれた」
2年前に北海道に来たばっかりの
雪国はまだまだ素人の私に
生粋の道産子のスタッフAさんが
「根雪になりますかね」と意見を求めたのだ。
2年前は「寒くないですか?」
「大丈夫ですか?」
「とにかく、転ばないようにしてくださいね」
と心配ばかりしてもらっていた私が。
これはすごいことだ。
私は外から見たら、もはや雪国人の仲間に見えている!
と家族に力説した。
さらに「ねゆき」という言葉に不慣れだった私だが
(多分、雪が留まるかどうか聞いてるんだ)
と、ギリギリのところで理解し
「そうですね(根雪になりますね)」と予測までしてみせた。
(実際はハッタリをかましたという感じだけど)
昨年はがん治療がきつすぎて
冬がいつどんな風に来たのか、全然記憶がない
イチョウ並木がきれいだったことも覚えてないし
雪がいつ降ったとか、自転車も乗ってたかとか、全部忘れた。
けど今年は、季節がどんな風に変わっていくか
それをみんながどんな風に体験しているか
鮮やかに受信できており
新しい景色や体験が
胸にぐいぐい刻まれていっている。
今朝また雪は止んでて
日差しも出てきてる、明るい。
けど雪はぜんぜん溶けてない。
本当に根雪になったのかもしれない。
と、これを書いてて、
(もしかして私もこの土地に根付くのかな?)
って少し思った。
ここは私がだれかに連れて来られた訳じゃない
自分で選んでやってきた私の居場所だ
あんまり暑くないし、広いし木は大きいし、
ゴキブリいないし、
おいしいものいっぱいあるし、
景色いいところもいっぱいあるし
けっこう好きだなとときどき思う。
些細なことだけど
「根雪になりますかね」ときかれたことで、
私自身が根雪になる可能性に想いを馳せた。
そんな日の気持ちの記録を
忘れる前に書いてみました。