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3回目の入院
3回目の入院は1人で行った。
1人で朝おきて,1人で仕事に行って,そこから病院へ行って,1人で手続きして入院した。
抗がん剤治療1回目のときは,Rくんもいたし,いろんな人から励ましや様子をうかがうメールがきていた。
2回目の今回も,声をかけてくれる人がいるのは変わらないが,件数は減り,心配の熱量も弱まっている。心配をかけたいわけではないのに,心配してくれると嬉しいんだ,自分は。私にとっての苦痛は1回目も2回目も変わらないのに,他のみんなにとっては,私の抗がん剤治療が特別なことではなくなったみたいな,妙な不本意さみたいなのを感じた。くだらないことを言っているように思うけど,とにかくそんな気持ちになったのだから仕方ない,書いておく。
主治医の先生(先生1とする)も,1回目の投与のときは,朝のカンファレンス前か,短い時間でも前日,当日,翌日と毎日顔を見せてくれたけど,今回はいちども会うことができなかった。これは後で考えると,なんとなくけっこうさびしかった。この人に会えないと,自分は,保育園で自分だけおむかえが来ていない子どものような気持ちになる。
もう一人の主治医の先生(先生2とする;頭皮冷却を司る,病棟長の先生)は毎日来てくれた。この先生は冷たいのか優しいのかよくわからないけど,勢いがあって個性的でなんだか心に残る人だ。
今回も頭を冷やしきってから抗がん剤を入れた。
思い出すだけで頭と肩が重くなり,吐きそうな気持ちになる。頭皮冷却は一人でやるには悲しすぎる,しんどい方法である。またあれをやると思うと正直つらい。だけどやらないわけにはいかない。
話は変わるけど,入院中,薬剤師さんと長く話す機会をもらえる。ゆっくり話してくれて,わからないことは調べてくると言う,私はこの人のたたずまいが好きだ,話していて安心する。
入院していても,私は抗がん剤を入れる前まではとても元気だ。だから私は抗がん剤投与時と気分が悪くて寝込むようなとき以外はあえて病衣を着ないようにしている。
私はソファやベッドをとびまわって読書したりPCでメール返信したり携帯をいじったりする。自分がちいさな実験台の猿みたいな気がする。
また2週間後に入院するかと思うとうんざりする。
うんざりするけど,なんとか続けようとも思っている。