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協調性の無さを理由にお前は逃げているだけと言われた話

以前書いた記事で、私は天邪鬼であると公言した。


日本では「天邪鬼=協調性皆無野郎」の烙印を押されるらしい。
私だけかもしれないが。

会社での会議で、最後に多数決を取る時がある。
こういった時は答えが決まってから、行われるという意味の分からない風習がある。

「○○で良いと思う人は手をあげてください」という感じだと思う。

それを否定するつもりはないが、私は周囲の意見に飲まれて何も発言しない人や意見を変える人にはなりたくない。
自分が違うと思った意見には説得されない限り、手は挙げない。

なので今回は協調性について考えさせられたそんな話をしよう。

満場一致を求められた会議

「皆さんの意見を尊重しますが、皆が同じ意見になるまでは終了しません。」そんなことを言われた気がする。

要するに、皆が賛成したよね?という確証が欲しいだけなのだ。

もちろん。良い意見やプレゼンであれば、そんなことを言わなくても満場一致は目指せるだろう。
そもそも、プレゼンを行う者は初めからそれくらいの意気込みで臨んでほしいものだが。

途中の意見で、部署間のコミュニケーションツールの話が出た。
いわゆるチャットだ。(まだLINEワークスが流行って間もないくらい)

それを導入するのか、否か。そんなくだらないことだった。

私はもちろん賛成した。
最初は何名か賛成者がいたのだが、取締役の方が「現状導入する必要はない」そう言うので、渋々手を下げていた。

もちろん。私は喰いついた。
どうしてですか?入れないメリットはどこにありますか?資料にも目を通さずに何が分かるのですか?

取締役は少し驚きつつも、君、部署は?何年目?と聞いてきたのだ。

営業本部○○課○○です。2年目です。と私は答えた。
そんなことは今関係ありませんよね?的な感じで聞き返していた。

○○君が課長のところだね。と呟いていた。
その課長はその会議には出ていなかった。

○○君にこのことは伝えておく。それだけ言うとその議論は満場一致ということにされ、終わらせたのだ。

周囲は何事もなかったようにしていた。
私は、正直失望した。

「全体会議終了間際に全体を通して、不明な点はございますか?」
司会者の声は聞こえているし、言いたいことは山ほどあった。

私は、その取締役を睨みつけているだけで、何も言えなかった。
正直悔しい。社会人になって初めて泣いた夜だった。

会社の中でも、社会に出ても無力だと知った

翌日、課長に呼び出された。
課長は相当詰められたと笑っていた。

今考えても、良い課長だったと思う。
「パンダはどうしてチャットツールが必要だと思ったの?」
そんな感じで優しく接してくれる人だった。

私は自分の想いをそこで語った。
勢い任せの部分もあったが、それなりにしっかりした論理で会話出来ていたように思う。

「パンダの気持ちも分かるし、今は導入しなかったが何年後かに必要になると思うよ。」
そう語ってくれた。

「だけどね。パンダは良いものだから採用したほうがいいと思ってその場で賛成したのだと言っていたけど、○○さん(取締役の方)がどうして賛成しなかったか聞いたのかい?」
「いいえ。聞いていません。」

「実は現状で組織の大きな改革があってね。色々な部署の人間が異動したり、情報システム部が新システムの導入を進めているんだよね。そういった部分も加味して、現状の導入は必要ないと回答したんだと私は思うんだ。パンダはこの状況を知っていたら、賛成した?」
「正直分かりません。今お聞きして、そういった現状であることは理解できましたが、あの場で頭ごなしどころか、一言で握りつぶすような言い方は賛成できません。」

「そうだね。それはきっと良くないと思う。」
「はい。」

「だけどね。サラリーマンとして、働くっていうのは、○○さんのような人を上手く使わないといけないんだ。あそこでパンダがやったように皆が○○さんに反論したら、○○さんのプライドはどうなる?そういったところまで”考えてあげなきゃ”いけないんだ。」

「協調性が無いからとパンダは良く言うけれど、それを盾に相手の心情や立場を無視する行為は”考えることから逃げている”だけだよ。出来る社員はそういった気遣いもちゃんとしている。」
「パンダには期待しているから、今回のことでクヨクヨせずにいてほしい。」

そんな会話だった。
とても優しく諭してくれたが、凄く考えさせられた。

後日、私は例の取締役の方へ謝罪を行った。
その際には、もっと淡泊だったが、激励の言葉も頂けた。
「パンダ君?君の度胸は会社で一番だ。ただし、賢くはないな」
滅多に笑顔を見せない人だからか、少し微笑んでいたのを覚えている。

取締役の方とは会社を退職する際に一度会話させてもらったが、その時の話はまた違う記事で書かせてもらおうと思う。

そんな話。

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