Reimagine 時代も常識も超えていく最高にカッコいい英雄(ヒーロー)

年が明けてあっという間に3月ですね。
おかげさまで体調は何とか波はあるものの快復傾向にあり、概ね元気に過ごしております。
1月から角野隼斗さんの全国ツアーがスタートして、私自身は今までに1月27日横浜みなとみらいホール、2月10日ミューザ川崎ホール、2月26日サントリーホール、の3公演に幸運にもお伺いすることができました。 

ずっと感想のnoteを書きたかったのですが、まだ前半中盤の公演中にネタバレをして今後お聴きになるお客様の楽しみを奪ってしまったらそれは申し訳ないと思い、ずっと我慢していました。
サントリーホール公演が終わったので、そろそろ解禁してもよいのではと思い、noteを更新させて頂きます。ネタバレが嫌な方はどうかここで読むのをストップして頂けたらと思います。

毎度の事ですが私は音楽的専門知識に乏しく、クラシックも好きなだけで全然詳しくはなく、ただの素人目線で大変恐縮ですが、その分感じたままの素直な感想を書きたいと思います。
見当外れの感想であってもご容赦いただけるとありがたいです。間違っている所があれば、コメントでやんわりとご指摘頂けると後学のために助かります。笑

今回は3公演後にそれぞれ感じたことを備忘録的に短く走り書きで書いていたので、書き殴りですみませんが、そのままの言葉を(うまく言語化できてない状態も含めて)載せます。だいぶ文体荒れています。
いずれの感想も公演直後のテンションでかなり舞い上がっており、むんむんの熱量と鬱陶しい程の愛情に満ち溢れていて読み返すと相当恥ずかしいのですが(笑)、……まぁこれもその時感じた正直な想いなので尊重して載せたいなと思います。
あと、非常に長いです。公演後に感じた感想の表現が思いがけず被っている部分もあるし、抽象的観念的表現が多く読んでいて本人以外には理解しづらい部分もあるので、読まれる方はとうぞご無理なさらないでください。



【 横浜みなとみらいホール、2023.1.27 】
終わってしばらく衝撃で何も入ってこない。
凄すぎて放心状態というか、もう耳から全身から、変な言い方だけれども毛穴すべてから、公演で聴いて入ってきた角野さんの音楽の、残響や余韻が今度は逆流してぶわぁっと溢れ出てくるような感覚。放心。

バッハとカプースチン。あんなのカッコよすぎる!!
あんなに超絶な集中力で弾ききる人を見たことない。鬼気迫るほど超集中の弾きっぷりがあまりに異次元すぎて、「たが」が外れてしまうのではとやや怖くなるほどで、だからこそより一層引き込まれてしまった。
もともと心を奪われまくってましたが、もう完全に首ったけ状態です。

そしてアップライトピアノで奏でられる音楽も、誇張ではなく永遠に聴いていたい程心癒されるものだった。角野さんの弾くアップライトピアノ、できるならばピアノの横に猫のようになって佇んで、まじで本当に永遠にずっと聴いていたくなる音色だ。
心臓を、柔らかいメランコリックな音色の毛布で、過去から現在までの時間を飛び越えて丸ごと包まれた感じ。
過去から今までの抱えてきた傷すべてが癒されて昇華していく、そんな時間軸を超越するような癒しの音色でした。

「Human Universe」を生で初めて聴いた。
ひろい空間に1人でいる状態を想像して、と言っていたので、私にとっては星を見上げて、そこに見えるたくさんの星の、星と星の間にあるとてつもなく遠い何万光年、何億光年という距離を想像して、そのなかでたったひとりの自分を想像した。
だからてっきり孤独感や淋しさを歌う曲調なのかなと思ったんだけど、それももちろんあるけど、ところどころ劇的なプロミネンスみたいな怒涛が渦巻いたりしていて、かてぃんさんの頭の中には、存在の孤独と、だからこそ内側から噴出する熱情はもしかしたら隣り合わせに共存してあるのかなと思ったりした。それとも孤独だからこそ己の内にある激情が際立つのだろうか。
静かな場面のメロディーの美しさに泣きたくなるほど心打たれて、怒涛のように混乱や葛藤や色んな物が渦巻く激情の場面には痛くなるほど心揺さぶられる。
演奏を聴いてると息するのを本当に忘れる。どうしてこんなに角野さんの作り出すものには、異常なまで心惹かれるのだろうか……謎だ。

アンコールの「大猫のワルツ」の、あの少し静かになって感情を歌い上げるようなところの、今日の角野さんの音から伝わってくる愛がめちゃくちゃ愛に溢れていて。
かつてないほど愛しい気持ちが伝わってきて、もう最高に心惹かれて感動すると同時に、あんまりにも愛がめちゃ溢れ出していたので、思わずプリンちゃんのことが羨ましくなってしまう程だった。笑

ほんとうに素敵でした。
今夜の音を聴いて感動の針が完っ全に振り切れて、もはやマインドフルネス状態というか、瞑想の完成形みたいな状態になった。
今日時間がなくて白のテキトーなパーカーで素っぴんだったのに、あまりに感激したからどうしようもない姿で堂々とスタオベしてしまった。
こんなに新しい感動をまた与えてくれる角野隼斗さんが大好きです!!!


【 ミューザ川崎、2023.2.10 】
今日も最高だった。。。
後半バッハの「インヴェンション4番」。もう物凄くグルーヴィーで堪らなくて勝手に体が音にのって踊り出していた。かてぃんさんの弾き方やアレンジもあると思うけど、バッハの曲がとてつもなく"今"感で一杯だった。
まさにリイマジン。エッセンスと旋律は残しつつ、リズムを変えたりアレンジを入れて、再構築。
クラシックだとかバロックだとか時代を感じさせず、生まれ変わったリノベーションバッハという感じでした。匠の技が光る……!!

「追憶」は、初めて聞いたときから(たぶん国際フォーラムかな?)、ずっとずーっと一目惚れの曲で。
「胎動」が例えるならA面って感じだから(韓国でも最高なMVを撮ってくれていたし)、これ以上贅沢を言うのは躊躇いますが、私は、「追憶」のアップライトピアノで奏でた演奏が好きすぎて、こちらのMVがないのが悲しいくらい大好きです。
「追憶」、ずっとピアノ椅子の横にちょこんと体育座りで、もしくはアップライトピアノの横に小さくなって体育座りして聴いていたくなります。可能ならば猫になるのが理想です。アップライトの背面側で丸まって聴いてると最高だと思う。(妄想)
かてぃんさんのアップライトピアノの音は、永遠に聴いてられるなぁと思う。

話は戻り、公演のアップライトピアノの音色なのですが、「主よ、人の望みの喜びよ」の時だと思うのですが(2023.3.10訂正。記憶違ってました。配信で見たら「主よ〜」が終わったあとアップライトの調整を変えている模様でした。多分白い布を抜いてるんじゃなくそこで入れていたのかな…?。。。なので、「主よ」までの音の感想がこの文章の感じだったのかな、と思います。川崎公演時の自分にとっては)、白い布(マフラーフェルト)を抜いて?ハンマーペダルを使う?(逆にはずす?)と、めっちゃ幻想的な音になる。
ハープのような、オルゴール味もあるような。鳴ったそばから中で反響する音がある感じ。こもっていつつ、金属っぽい感じもありつつ、不思議な音の色味を出せるのが面白いし、すごくあったかくて、なんだか記憶とか海馬の中の音って感じもしてとても新鮮。

『ピアノの音は、言葉にできない心の中の思いを表現してくれる。言葉にならない小さな声や思い、そういうものを伝えてくれる感じがする。だから、ピアノの音が好き。』
というようなニュアンスのことを、その昔角野さんが仰っていて。
ほんと角野さんのアップライトピアノを聴いていると、そういう私のなかの言葉にならない心の葛藤とか、わだかまりとか、焦燥感とか、悲嘆、悲しみ、孤独感も、全てひっくるめて毛布にくるんで包み込んであったかく肯定してくれるようなそんな感じがして。
温かくてまどろむように安心して、柔らかくて懐かしくて、本当に心が癒されるなぁと思います。

「Human Universe」を生で聴くの2回目にして、確信する。この曲本当大好きだ!
角野さんが描く『広く広く何もない空間』の宇宙には、何もなくても決して寂しかったり孤独だったりするだけじゃない。
いや正確にいうと、寂しかったり孤独だったりしたとしてもそれすらも肯定する人間存在への肯定感がある気がして、広くて寂しい宇宙なのにとても劇的だし、生命力を感じるし、圧倒的でただただ魅了される。本当に大好きすぎて早くもCDが欲しい。
今回のツアーの後半のセットリストのまま、バッハ3曲&カプースチンの全8番の全曲録音CDと合わせて、Human Universeを始めとして、胎動、追憶などのオリジナル曲を収録したCDも販売を熱烈希望です……!!今年中に是非!(わがまま言いたい放題)


【 サントリーホール、2023.2.26 】
とても音がよく聴こえる席だった。
前の座席すぎて音が頭の上を通過する感覚も、後ろすぎてやや減衰したものを聴いている感覚も、全くなくて、有り難いことにこれ以上ないほど私にとってはベストな席でした。
あまりにもストレートにクリアに聴こえるので、気持ちよすぎて全身全霊で集中して聴いてたら三半規管がバグったのか平衡感覚がおかしくなって、座ってるのにどこかに跳んで行きそうになるくらいだった。
真っ直ぐに飛んでくる音の波に溺れそうになりながらも、ほんとうによく聴こえて大感動でした。

バッハ。
このツアー通してのひとつのテーマとなっているバッハの音楽。そしてそこから表現したいと試みている角野隼斗さんとしてのバッハ音楽の再構築。
その意図するところというか、こういう事かもしれないという『もの』を、ツアー3回目にして、おそらくその一端でしかないかもしれないと思うけど、自分なりに具体的に掴んだ気がした。
バッハの同じ音型(音形というのかな?)がずらして執拗に繰り返されるあの感じをずっと聴いていると、変な感覚になってきて。フレーズが繰り返されるたびに、頭の中に相似形の図形(なぜか三角形)が沢山浮かんできて、それはまるで鏡の世界を覗いたみたいな初めての体験で。
これ以上ない程沢山の相似三角形のなかには、パラレルワールドというか、最初の三角形と同じ鏡写しの世界が広がっていて、その怒濤の精緻な情報量にクラクラした。椅子に座ってるのに真正面からそれを喰らってぐらりと倒れそうになるくらい。

迷い込んだ鏡の音型の森のなかで、何だか時にふしぎなものが実体化する瞬間があって。
繰り返して折り重なる音のフレーズが、なんだかふと、同じ形同じ順番で母音を連ねていって、韻を踏つつ次々違う言葉を編み出していく、ラップの声のような歌のようなあの感じに聴こえてきたりする特殊な瞬間があったり。
また別のときは、EDM系とかの音楽にもあるけど、同じフレーズを敢えて何回も繰り返すことで、繰り返しの渦のなかでどんどんエネルギーが溜まっていって、高まるグルーヴを産み出して行くあの感覚に聴こえたり。
クラシックとは思えないほど新しくて、とにかく不思議な感覚だった。

その鏡の世界とはちょっと違うけど、後半のバッハの「インヴェンション 13番と4番」、もはや現代音楽って思う瞬間がありすぎて、最高に音に乗れすぎてワクワクしてとんでもなくクールだった。
そして、やはり後半はやっぱりあの鬼気迫る集中力で、私の心象からするともはやかてぃんさんがピアノと一体化している位の(馬でいうと人馬一体)、そんな凄まじさでピアノをどこまでも一音も妥協せずに、自分の思い描く音楽の高みに届くように、その身や命を削ってでも鳴らす、弾き切る、という姿が壮絶にカッコ良かった。
あの鬼気迫るほどの身を削るほどの集中と気迫は、個人的にめちゃくちゃドキドキする。ご自身の演奏に妥協を許さない方だと思うから、そのストイックさに満ちた演奏を浴びた皮膚の表面から、ヒリヒリチリチリするほど強い意志が伝わってきて、触れた肌を通して全身が痺れる思いがする。
こんな思いを体感させてくれる人は後にも先にも角野隼斗さんしかいない。そしてこれを超えるのはまた未来の角野隼斗さんなのだろうと思う。演奏に妥協しない姿、尋常じゃなくカッコいいです。

グルダの「プレリュードとフーガ」。
この曲自体がめちゃくちゃお洒落でジャジーでグルーヴィーだというのも勿論あるけど、このコンサートでかてぃんさんが産み出していた様々なグルーヴ感のなかで、個人的に最も私が踊りたくなる圧倒的なグルーヴを放っていました。
おそらくジャズもブラックミュージックに根っこがあるからだと思うのですが、私がふだん踊るのはヒップホップやソウルダンス、ロックダンス(=ファンクのジャンルの曲が使われることが多い)で、その下地からするとこういうブラックミュージックの系統のグルーヴは大好物で!
なので聴いているだけで肩や脚が思わずリズムに反応して動いてしまうし、首を引いて後ろでリズム取ってしまうし、いつのまにか全身でグルーヴに乗っかってしまっていた。
こういう演奏を超一流クラシックピアニストのなかでこんなにグルーヴィーにできる人は、世界中でもかてぃんさんの他にいないのではと思う。

特にフーガは、かてぃんさんの左手と右手の弾き分けというか、もはや別の生き物のように分離して、独立してどちらもきちんと歌っていて。ひとり連弾状態なくらいに、左右どちらも最高の完成度で主役級に奏でられるので(もはや左右違うレコードのトラックを流しているレベル)、ひたすらその演奏技術に感嘆しまくったし、結果そうして生まれたフーガは左手も右手も存在感を一歩も譲らず、どんどん折り重なって進んでいって、エネルギーが溜まっていって。
終盤また聞き覚えのあるフレーズが登場して、でも絶妙にそれがフーガを内包した感じで、エネルギッシュでもう楽しすぎてめちゃくちゃ大興奮だった!
終盤までカッコよさがノンストップで畳み掛けてくるので息もつかせぬ演奏に脱帽でした。本当楽しくて堪らない!

「主よ、〜」のアップライトピアノ、なんて柔らかくて想い出のなかで鳴るような、心臓をきゅっと掴まれるような綺麗で懐かしい音なんだろう……。
まだ目も見えていないほど幼い赤ちゃんの頃に聴いたみたいな、海馬の奥の奥でしか記憶していないような、自分も知らないほどの原点にある子守歌みたいに時空を超えて鳴っていた。
あれ胎児のときにお腹のなかで聴いてたのかな、と錯覚するような、不定形で掴めないんだけど強烈に襲う懐かしさがある。
夢の中のような水の中のようなただよう羊水みたいな音の波の中で、ひたすらに耳を音の波に委ねて、その中でひたっていました。
かてぃんさんのアップライトピアノは、内的宇宙を映し出すように深く深く自分の奥の奥で響くので、強烈に心が震えます。

「Human Universe」、やはり好きすぎて困る……。何回も聴きたいのに音源がないというジレンマふたたび。
宇宙にひとりきり。
Human Universeを聴きながら、ふと特殊相対性理論の双子のパラドックス、ウラシマ効果の話を私は思い出していた。双子の兄弟の兄がロケットに乗って亜光速で宇宙の彼方まで飛んでいって、その後何十年後かに地球に戻ってきたとしたら、地球に残った弟とロケットに乗ってた兄では歳の取り方が違ってて、弟の時間は通常通り流れて老いていてロケットの兄は若いままってやつ。
話自体はよく聞くけど、そのロケットにひとり載せられて、宇宙空間の彼方までひとりきりで、どこまでも何十年も旅をして飛び続ける兄のことを、私は想像していた。
自分が兄だったら。遠くに見える恒星以外は前後左右上下ほぼ暗闇一色の宇宙で数十年もただひとりきりなんて、ひどく心細くて孤独で寂しいと思う。
やがて次第に、耐えられない程の孤独感と膨らんだ寂寥感で押し潰されそうになる時が来ると思う。こんなに苦しいなら実験を止めて帰ろうかと自問して、地球に残した人々の温もりを思い出して、胸が掻き毟られるほど葛藤すると思う。帰りたいと思う。
圧倒的な孤独に押し潰されそうになりながら、でも、きっと兄はやり遂げる。宇宙とこの奇跡みたいな世界のことわりを少しでも解明し実証するために。人間にしか出来ない好奇心と冒険心に満ちた挑戦の果てに、新しい知に辿り着くために。そしてその知を次の世代へ繋いでいくために。

そんな兄の事を「Human Universe」を聴きながら想っていたら、人間というのは改めて凄いなと感じた。生存本能よりも強い探究心や知への渇望があって時に無謀に思える挑戦をしたりする。そんな生命はこの地球上で人間くらいだと思う。
世界を知りたいという外へのベクトルの気持ちは、突き詰めていくと、それを思う主体である人間存在の内面(内的宇宙)を見つめる内側へのベクトルとも表裏一体なのかもしれない。
宇宙を想うことは人間を想うことに繋がるのかもしれない。と思ったら、「Human Universe」を聴いていて感じる何とも言えない懐かしさに何だか納得する。聴いてると、太古の昔、私たちや太陽系や銀河や全てが生まれる前の宇宙のはじまりに集約されていた頃に、この宇宙の一部であり一体であった頃に、その中にあっただろう莫大なエネルギーを感じる。そしてそこから138億年の時の流れすらも感じる。
……長々宇宙好きならではの妄想を垂れ流していますが、そんな語りに入ってしまうほど、ロマン溢れるこの曲が大好きだなぁと思います。

ロマンと数学に満ちた時間を終えて、最後怒涛の盛り上がりのカプースチン&バッハ。
あんなに緻密な音楽なのに、そして速い曲はべらぼうに早く弾いているのに(1番とか光の速さ)、どの曲も音の粒を一粒一粒鮮明に効果的に響かせられるのはなんでなの!!! 厚切りジェイソンみたいに「ホワイ?!角野隼斗ーー??!!」と大声で叫びたくなる。
特に1番と3番? 彗星みたいにまばゆく光りながら、超速で過ぎ去っていく細かくて美しい音の流れ星に撃ち抜かれました。

神業すぎて、目の前の奇跡に毎曲ごと毎回度肝を抜かれる。2番とか4番の世界観も、カメラのフィルターを瞬時に変えるように一瞬で全然違う世界が目の前に出現していて。表現力が異次元すぎて、魔法を使ってるとしか思えない。
カプースチンの4番、あのピアノの演奏によってサントリーホールの磁場が確実に揺らいでたと思う。絶対そうに違いない。リニアモーターカーを浮かせる超伝導磁石みたいに、演奏によって何らかの影響をもらたされてあの場に強烈な磁場が発生して、マグネットみたいな私は吸い込まれないよう必死に椅子にしがみついてた。そんな感覚でした。
数学と音楽を極めに極めすぎて、いよいよかてぃんさん空間や磁場までコントロールできるようになった説が私のなかで浮上した。じゃなきゃ説明がつかないなと思う。

7番をアップライトで弾くのはもう反則級の出来事。
凄まじく素敵で息が出来ない。めっちゃ温かくて懐かしくて、風景が思い出みたいにレトロフィルターをかけたみたいになってきらきら光る。
そして、最後の最後でグランドピアノを響かせるのはもう気持ちよすぎて、カタルシスが凄まじ過ぎて間違いなく反則! レッドカードで一発退場ものの超最高の演奏でした。
そして最後の8番、このカプースチン&バッハの後半の異次元みたいな、時空を超えたような、ブラックホールみたいな盛り上がりの渦の嵐のなかで、集大成みたいに響いて魂をぶじに持っていかれました。

アンコール2曲目のラフ2。
アップライトピアノで弾いてくださった瞬間、膝から身体全部の力が抜けました。今思い出しても涙が出てくる。
多くのファンの人と同じく、私にとってもこの曲は角野さんのピアノが世界で1番大好きになったきっかけの曲で、人生を素晴らしいものに変えてくれた大切な思い入れのある曲で。ご本人にとっても、きっと大切な人生の鍵となった特別な曲だと思う。
このホールでこの曲で、生まれて始まったピアニスト角野隼斗さんの描く物語の、最初の1ページ一行目が、2年前もここで聴いて号泣したラフマニノフが、またふたたび目の前に還って来てくれた。しかも今回はアップライトピアノの特別な音色で。

聴いて完全に昇天した。
語彙が彼方へ飛んで行くレベルで、もう何もいらないほど、大感動で全身が震えて、手が震えて、本当に腕までもが震えて、演奏が終わったのに感動しすぎて拍手がうまく出来なかった。
(そのうち本当に失神する方が出そうで心配。リアルにリストの再来みたくなってしまう)
この場所にいられることに心から感謝した。
そんな最高な機会をオーディエンスに作ってくださること。こんな超絶にかっこよいこと、この世にありますか? いやない!!(断言)
この世に存在しえないような素晴らしい瞬間を、自分にとってもファンにとってもかけがえのない胸の熱くなる瞬間をこんな最高に素敵な素晴らしい音楽で届けてくれる。そんな粋なことをしてくださる人はこの地球上で角野隼斗さん以外にいない。この曲でこの人のピアノに猛烈に惹かれて、ファンになって本当に良かった。
こんなカッコいい事をしてくださるから、角野隼斗さんに一生ついていきたくなるんだよなって、ちょっと完敗すぎて胸のなかでぶんぶん白旗振りながら思う。
だってしょうがないじゃん。こんなに最高に素敵なんだもの。何度でも惚れ直してしまう訳だよ。しかも、ここに帰還するたびに一段と大きくなって強くなって、魅力的に進化してさらにスペシャルになって、特別な想い出を残してくれる。
どこかでアナウンサーの男の方が、角野隼斗さんこの世のなかでいちばんかっこいい人説、を提唱されていたと思うのですが、このサントリーホールの一夜で間違いなくそれが正しいなと感じました。
本当に嬉しすぎて、こんなにも角野隼斗さんからたくさんの幸福をもらっていることを強く実感する一夜でした。

サントリーホールの追記。
私の席の隣に小さな男の子が座っていて、ずっと一生懸命聴いていて。私が最後に大感動と歓喜のなかでスタンディングオベーションをしていたら、その子は最初もじもじしてたのだけど、意を決したように立ち上がったと思うとわーって熱烈に拍手をして、最後にはステージ上のかてぃんさんに両手をぶんぶん手を振っていた。
あぁこの子にとって角野隼斗さんは憧れの存在で、きっとヒーローなのだなと思った。私がかてぃんさんの音楽に日夜救われていて感謝しているのとはまた別の形で、こうやって子ども達にとってのワクワクする未来の道標になっているかてぃんさんを、物凄く素敵だなと思った。
私にとって救世主のような存在であり、小さな男の子にとって眩しいヒーローでもある角野隼斗さん。
これからも世代も国境も常識も超えて、ドキドキワクワクする最高の音楽を届けてくださることを願っています。

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