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(韓国語)連結語尾の主語をチェック! 【2; -면서】 #6

 前回、連結語尾の使い方をマスターするうえで必要な、主語が同じかどうかという視点と、主語の人称がなんなのかという視点について解説しました。今回、主語のチェックが特に必要なのは -면서 について解説します。
 まず、-면서 の表す意味を、大きく3つ、① 同時、② きっかけ、③ 逆接に分けておきます。基本的には① 同時と③ 逆接の場合は主語は同じですが、逆接のときは主語が異なることもあります。② きっかけの場合は主語が異なることが多いです。これが基本で、他にも考慮しなければならないことはあるのですが、追々補足していきます。

① 同時

 -면서 が「〜しながら」という同時の意味を表す場合、前後の主語は同じです。「Aさんが伴奏しながら、Bさんが歌う」のように前後の主語が異なる(Aさん≠Bさん)場合、-면서 を使うことはできません。
 (1) の例では主語が表面上現れていませんが、補ってあげれば "(우리) 차 한잔 마시면서 (우리) 얘기할 수 있어요?" ということでしょう。

(1)
수만: 안정하 씨 맞죠?
정하: 네
수만: 저 아웃뉴스 기자 김수만이에요. 차 한잔 마시면서 얘기할 수 있어요? 
スマン :アン・チョンハさんですよね?
チョンハ:はい
スマン :わたしはOutnewsの記者のキム・スマンです。お茶でも飲みながらお話できますか?

(청춘기록 ep. 14)

 同時といってもいろいろあり、(1) は動作が同時に行われる(お茶を飲み、それと同時に話をする)という場合でしたが、韓国語の -면서 は日本語の「〜ながら」と異なり、ある性質を同時に備えている場合も使えます。
 (2) の場合は「(雰囲気が)柔らかいのと同時に(雰囲気が)エレガントだ」ということで主語は同じです。

(2) [お客さんにメイクの雰囲気を提案している]
부드러우면서 고급스러운 분위기 어떠세요?
柔らかでエレガントな感じはどうですか?

(청춘기록 ep. 15)

 ただ、次の (3) を見ると、一見前後の主語は異なっているように見えます。つまり、表面上出ていない主語を補ってあげれば「量が少ないのと同時に(価格が)高い」となり、主語が異なるわけです(量≠価格)。そのため厳密には主語ではないのですが、大きな主語としては「料理が、量が少なく価格が高い」ということになります。

(3)
우리 맛있는 거 먹어요. 양 적으면서 비싼 거, 제가 쏠게요.
おいしいもの食べましょう。量が少なくて高いの。わたしがごちそうしますから。

(청춘기록 ep. 4)

 (3) のような大きな主語を考えなければいけないときもありますが、おおまかに言って同時の意味を表す場合、-면서 の前後の主語は同じだと言えるでしょう。

② きっかけ

 すでに #2 で例を見たように、-면서 は「〜するにつれて、〜がきっかけで」という意味を表すことがあります。この意味の場合は、「AということがきっかけでBということが起こる」のような文で使われ、当然といえば当然ですが、この場合はきっかけとなるAと、その結果起こるBとでは主語が異なることが多いです。
 (4) では、前半の主語が 낮 기온(昼間の気温)で、後半の主語が 지표면(地表面)です。この文では「昼の気温が上がるのをきっかけに、地平面が加熱される」という意味になっています。

(4)
어제 낮 기온이 30도까지 오르면서 지표면이 가열된 게 가장 큰 원인 같습니다.
昨日昼間の気温が30℃まで上がり、地表面が加熱されたのが最も大きな原因のようです。

(기상청 사람들 ep. 5)

 (4) のように前後の主語が異なる場合も多いのですが、(5) のように主語が同じ場合もあります。ここで主語は表に現れていませんが、1人称、つまり「わたし」が主語です。

(5)
근데 시간이 흐를수록 너의 아픔, 그리고 네가 감추고 싶어 했던 것들 알게 되면서 오히려 너를 더 잘 알게 되고 그래서 네가 더 좋아져 버렸어.
でも、時間が経つにつれて、あなたの心の痛み、それからあなたが隠そうとしていたことを知って、よりあなたのことがわかるようになって。それであなたのことがより好きになっちゃったの。

(기상청 사람들 ep. 16)

 このように -면서 がきっかけを表す場合は -면서 にも、後に続く動詞にも -기 시작하다(〜しはじめる)、-게 되다(〜するようになる)、-(아/어)지다(〜くなる)が付くことが多いです。

③ 逆接

 -면서 にはさらに、「〜のに、〜くせに」 という逆接的な意味もあります。日本語の場合も「そうとは知りながら知らないふりをした」というときの「-ながら」は逆接的(「知っていたのに」と言い換えられる)な意味を持ちますが、「-ながら」より -면서 のほうがより幅広い逆接的な用法を持っています。
 逆接的な意味を表す場合は大抵、前後の主語は同じです。(6) で前後の主語はどちらも表に現れてはいませんが、「他人」だと言えるでしょう。日本語訳は少し意訳してしまいましたが「なにも知らない」のも他人だし、うわべだけの言葉を投げかけるのも他人です。

(6)
예전에는 싫었어요. 괜찮냐는 말들이나 걱정 어린 표정들이…
내 마음은 아무것도 모르면서 그냥 가식적으로 던지는 말들과 행동으로 느껴지더라고요.
前は嫌だったんです。大丈夫かって言われるのも、心配したみんなの表情が…
ぼくの気持ちはなにも知らないくせに。うわべだけの言動にしか思えなかったんです。

(사내 맞선 ep. 11)

 逆接的な意味を表す場合、(6) のように 모르다 と付いたり、알다(知る)と付くことが多いです。あるいは否定形、過去形の場合もあります。
 大抵は主語が同じだと言いましたが、(7) のように主語が対照的に述べられている場合は異なることもあります。

(7)
[자기는] 마음대로 바람피우면서 [마누라는] 그러면 안 된다?
自分は勝手に浮気しておいて、妻はダメだって?

"아내가 결혼했다" p. 115


 ここまで主語が同じか違うかに注目して -면서 を見てきました。簡単に要約すれば、同時と逆接の意味のときはだいたい主語が同じで、きっかけの場合は異なることも多いということでした。ここで -면서 のことを全て説明しつくしたわけではありません。また追々違う観点から -면서 については考察します。
 次の#7では、主語の異同が重要なもう1つの連結語尾、-더니 について見ていきます。


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