(韓国語)連結語尾と用言のタイプ 【-다가】 #10
前回まで連結語尾と終結語尾の相性について見ましたが、今回から連結語尾がくっ付く先の用言(主に動詞)のタイプの関係を解説します。
全てではないのですが、連結語尾の中にはくっ付く先の用言のタイプにセンシティブなものがあります。今回はその中でも特にセンシティブな -다가 について解説していきます。
-다가
まず、形の面について -다가 の基本なことを説明しておきます。全体に共通して言えるのは、この -다가 には短い形の -다 があるということです。文の中にいきなり "먹다" とか出てきてもびっくりしないでください。これは "먹다가" の短い形です。韓国語の動詞は辞書形をそのまま使うことは普通できません。また、#5から#7で解説した主語の観点について言うと、-다가 は前後の主語が同じでなければいけません。
-(아/어)다가
-다가 には接続のタイプが異なる -(아/어)다가 がありますが、こちらは「〜することで…する」のような文で使われます。따다(もぐ)、사다(買う)、만들다(作る)に類するような動詞とか、動作をした結果、なにか得られるようなタイプの動詞が多いです。例を挙げておきましょう。(1) は一見 -(아/어)다가 ではなく -다가 に見えますが、用法的に -(아/어)다가 と判断できます。
この -(아/어)다가 でよく使うのは後に 주다, 드리다 が続いて、「〜して、(それを)あげる」というパターンや、바래다 주다(見送ってあげる)、태워다 주다(乗せて行ってあげる)のような「付き添い」パターンです。
(2) のようなパターンでは例えば、빌려 주다 と 빌려다 주다 で明確に差が出ます。빌려 주다 は借りてあげたけど、相手のもとに渡ったかはわかりませんが、빌려다 주다 は相手にあげていることまで含まれます。
上で説明したように、この -(아/어)다가 はだいたい用言のタイプに偏りがあり、用法が限られるので、よく使うパターンを覚えておくといいでしょう。
-다가, -았/었다가
-다가 は2つの形があり、1つはそのまま -다가 を付ける場合で、もう1つは過去の接辞をはさみ、-았/었다가 となる場合です。
-다가 はそもそも動詞、形容詞、指定詞にバランスよく付くわけではなく、動詞に偏っています。形容詞、指定詞の例も挙げますが、まずは動詞について考えましょう。
動詞をここでは2つに分けます。動作の進行を表せるか、表せないか、というのがポイントで、これは進行の -고 있다 を付けられるかどうかで判断できます(この点については、小学館の『韓日辞典』や白水社の『コスモス朝和辞典』にはちゃんと記載があります)。基本的に、-다가 は -고 있다 が付く動詞と相性がよく、-았/었다가 は -고 있다 が付く動詞とは相性がよくない、ということが言えます。-았/었다가 は -아/어 있다 が付く動詞とは相性がよいです。
このような動詞との相性は、連結語尾が表す意味と当然ながら関係があり、-다가 は「〜している途中で(別のことをする)」という意味を表すため、動詞に継続性がなければならないわけです。逆に -았/었다가 は「〜してから(別のことをする)」という意味を表すため、継続性がある動詞とは相性がよくないと考えることができます。
まず、살다(生きる、暮らす)は 살고 있다 というように -고 있다 が付くので、-다가 と相性がよいと言えます。
부러지다(折れる)はよっぽどスローモーションにしない限り、あるいは複数のものが折れない限りは 부러지고 있다 とは言えない動詞です。부러져 있다(折れている)は可能です。このような動詞は -았/었다가 と相性がよいわけです。
ちなみに、-다가 もそうですが -았/었다가 は、ある動作をしたあとに逆の動作をするという場合によく用いられます。(3) では「(電源を)切る ↔ つける」が逆の動作と考えられます。
-았/었다가 は「〜てから」とも日本語訳できますが、例えば「ご飯を食べてから学校に行く」のようなときに 먹었다가 とは言えず、먹었다가 뱉었다(食べてから吐き出した)のように、ある程度相反する動作への移行がなければいけません。
次の (4), (5) はよく用いられる例なので問題ないかもしれませんが、가다 は 가고 있다(行っている;行く動作が進行中である) とも 가 있다(行っている;行った状態である)とも言える動詞です。(4) のように "가다가" と言えば「行く途中で」ということですし、(5) のように "갔다가" と言えば「(目的の場所に)行ってから」という意味です。
上で述べたように -다가 はあまり形容詞には付かないのですが、状態Aから状態Bへ、という場合はたまに用いられます。
指定詞もあまり例はないのですが、その中でも多いのは -았/었다가 の形で「AだったけどBになった」という文で使われるパターンです。
-다가 と -았/었다가 には「〜したら」という仮定条件の意味もあるのですが、この用法についてはあとで扱います。
今回は -다가 がくっ付く用言との相性を見てきました。ここでは解説しきれていないこともあるのですが、機会があれば後々解説したいと思います。次回は -다가 と同じくらいくっ付く用言にセンシティブな -면서 をまた取り上げます。
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