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『82年生まれ、キム・ジヨン』#12:解説

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解説

下線部1ですが、#6 で解説したように、否定命令=禁止の引用の形は -지 말라(고)「〜するな(と)」です。この -고 が -니까 になっているのが今回の形です。このように -니까 で文を終えると聞き手への主張を表すようになります。「〜だってば!」という感じのニュアンスですね。-지 말라고 でも似たような意味になりますが、こちらは「〜するなって言ったじゃん!」のように元々の引用の意味が残っている感じでしょうか。
ここは、本来、文をつなぐ役割をする接続語尾 -니까(〜から)で文が終わっています。このように、接続語尾で文が完結する現象は日本語学の世界で「言いさし」と呼ばれたり、韓国ではそのまま非終結語尾の終結用法などど呼ばれます。他によく使われるのは、-면서, -며 があり、伝聞情報の確認(〜なんだって?)や、その伝聞情報の元が聞き手であれば「〜って言ったよね?」ということで相手を責めるような場面でも使うことができます。

例)결혼하셨다면서요? 「ご結婚されたそうですね?」
例)오늘은 일찍 들어온다?「今日は早く帰るって言ったよね?」

下線部2は '말' が2つ入っていてなんだか紛らわしいですが、-려다 말다(〜しようとしてやめる)という構文が使われています。この形を分析すると -려[고 하]다[가] (〜しようとしていて)から [ ] の部分が省略された形になっています。その後に 말다(やめる)が続いているわけですね。-려고 が入らない形でもよく使われ、例えば「読みかけの本」は 읽다 만 책(読んでいてやめた本)のように言うことができます。

下線部3の 뭐하러 は「なにしに」と直訳できますが、これひとまとまりで「なんで」と解釈した方がいいでしょう。大抵、話し手は必要ないと思っているのに「なんで」といった場合に使います。

6行目の 다 は「全部」ではなく「ほとんど」という意味ですね。"다 늙어" で「すっかり年を取って」という感じでしょうか。

日本語訳

(以下はオリジナル訳です。多少ぎこちないところもありますが、原文を活かした訳文にしています。ぜひ翻訳版とも比較してみてください。)

「母さん、ソンピョンうちで作ったの?」
「そうだよ、もちろん」
「ああ、もう。料理するのやめなって。さっきも言おうとしてやめたんだけど、これからは牛骨スープも作らないで、チヂミも市場で少しだけ買ってさ、ソンピョンも餅屋で買っちゃいなよ。祭祀もしない家でなんでこんなに食べ物たくさん作るのさ。母さんももう年なんだから大変だし、ジヨンだって大変だし。」

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