ダイジョウブの魔法

よく母に「あんたの大丈夫は大丈夫じゃない」と言われた。

確かに、そう母に聞かれるときの私は、８割くらいが心配をかけたくないという思いでそう答えているが、でも１割くらいは面倒くさいという思いもある。そして残りの１割は実は本当に大丈夫という気持ちだ。
しかしその残りの１割の本当に大丈夫という気持ちは、気づいていないことが多い。

無理難題のシステム導入で残業続きだった私に、当時の上司が「大丈夫？」と言った。

私は「大丈夫です。」と言った。

会社でも家でも「大丈夫」については大抵の場合が「大丈夫ではない」
だから母によく言われていたことはごく一般的なことなのだろうと思う。

「大丈夫？」と聞かれてれば「大丈夫」と答える。
「無理しないで」と言っても「大丈夫」と答える。

でもそれは大丈夫ではない。
でも「大丈夫」は魔法。

手を添えて。
ダイジョウブの魔法

自分へも胸を撫で下ろして
ダイジョウブの魔法

息を止めて無理していた自分に
ダイジョウブの魔法

日の出前のお月さんはとても神秘的。
夜にみるお月さんと同じなのに、違う。

朝のお月さんを見ると
自分に

「大丈夫」と言ってしまうのはなんでだろう。
「大丈夫」と聞かれると胸が熱く涙がこみ上げてくるのはなんでだろう。


それは全部、

ダイジョウブの魔法のせいだって思う。