陶磁器修復技術3
大切な想いのこもった陶磁器はありますか?
工房に通っているといろいろな依頼品を目にします。どれもこれもその人にとっては大切なものなのだろうなと思います。
修復するにもまずは陶磁器のことを知らなくてはいけません。
陶磁器とひと口にいいますが、詳しく分けると5種類ほどになります。
磁器
磁器は硬質と軟質に別れ、一般的に磁器と言われるものは、硬質磁器となります。約1300度から1400度で焼成されたもので、素地は白く光にかざすと透光性があり、吸水性はなく、叩くと高いを音がします。
炻器
基本的に磁器と同様です。しかし素地の色が白ではありません。炻器に不純物が多く含まれています。約1200度から1300度で焼成された炻器は、茶色やベージュ、グレートいった色味があリます。光にかざすと、ほとんど光を通しません。
ウェッジウッドのジャスパーウエアは炻器になります。
陶器
約500度から1200度とい低い温度焼成されたもので硬く厚みがあり、叩くと中に響いていく感じ。一般的には土器、植木鉢などの素焼きものものです。釉薬がかかっているものあります。
軟質磁気
16世紀のヨーロッパで作られたもの。先ほどの硬質土器は中国が発祥ですが、それを真似て作ったものがこの軟質磁器になります。約1100度で焼成され、鉛を釉薬として使用しています。とても壊れやすいです。
ボーンチャイナ
1800年ごろのイギリスで開発された軟質磁器の一種。約1200度で焼成されていますが、磁気よりも強いです。イギリスのものは、ほとんどがこのボーンチャイナになります。
私自身、陶磁器の中では、陶器が好きです。先日行った東京国立博物館では、たくさん土器や埴輪や土偶を見ることができるのでとても楽しいです。
私の定年後の未来のために始めた自己啓発ですが、もともとは陶器や石が好きだったこともあり、楽しく学ぶことができているのだと思っています。
では、先日続きの修復の様子です。
リヤドロのアヒルさんは売主さんが接着したものを剥がす作業とクリーニングをしていましたが、それがきれいに剥がれ、着色のクリーニングも完了しましたので、丁寧に接着をするところまで進みました。
ビフォー(クチバシ)
アフター
ビフォー(土台)
アフター
接着剤が硬化するまで3日かかるので、セロテープで保護してます。
マイセンのボールは最初に全体にあるヒビの修復からしています。ヒビの中の着色された汚れをきれいにクリーニングするところから始めています。
ビフォー
アフター
そしてここからいよいよ修復です。
カラーフィルというイギリスの技法は、エポキ樹脂に顔料を混ぜてオリジナルの生地と同じ色を作り充填していきます。
熱には弱いです。そのため、熱いものを入れて利用するものには向いていません。
思い出の品物や、とっておきたいものなどで蘇りを実現させます。
パレットを作ります。
基本の色からオリジナルの色を作っていきます。
できたものを充填していきます。
表側も同じく。
こうしてヒビの間に樹脂を入り込ませていきます。
こちらも硬化まで3日はかかります。硬貨後は余分な部分を削って磨いていきます。
まだまだ根気のいる作業は続きます。
現在進行形がありながら、どうしても欲しくて、またメルカリで買ってしまいました。
お耳がひとつないリサラーソンの猫です。
こうして無くなってしまったパーツは作って修復していきます。
良い課題を見つけたなと思っています。
ちなみに、リサラーソンの焼物は炻器です。
こちらもレポートをしていこうと思います。