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今日のおはなし
うささんは大学のメカねこ研究室に務めています。
メカねこ研究室では、象縞博士のもと、全世界の野良ネコを救うための
「ネコのメカ化」を研究テーマに活動を広げています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169640369/picture_pc_5a47649f1ac6d8db86f86517b3f467a5.png?width=1200)
「うささん、先日研究室にやってきた野良さんですが、君の考えのもと、ひとつメカねこをつくってはくれませんか?」
「はい、博士。じつは私からもお願いをしようと思っていたところでした。」
「そうですか、では、よろしくたのみます。」
「博士。」
「はい、なんですか?」
「私はこの研究室に務めていることを心から誇りに思っています。」
「うむ、」
「私は世界中の動物はみな平等にいるべきだと思うのですが、如何せん、それは到底無理な話。でもこの「ネコのメカ化」の研究は必ず世界中の動物たちをも救うものになると確信しています。」
「うむ、うささん、私も同じ意見です。これからも一緒にがんばっていきましょう!」
「はい!博士。」
こうしてうささんのメカねこの制作は始まった。
ここで、ネコをメカにすることのメリット7か条を書いておこう。
其の一. メカにすると体温調節ができるので寒くない
其のニ. メカにすると病気にならない
其の三. メカにするとずっと一緒にいられる
其の四. メカになってもかわいい
其の五. マタタビ注入をすると1日だけ普通のねこにもどる
其の六. 猫パンチの威力を5段階に調節できる
其の七. 気持ちを言葉で伝えることができるようになる
うささんはこの7か条を大切に思っている。
が、しかし。
うささんには実は博士にも言っていないデメリットがひとつだけあると思っている。
それは、メカねこはしなないが、飼い主、人は必ずしぬ、ということ。
うささんは、いつか自分がメカねこを作る日がきたら、そのデメリットを回避するための機能をつけることを密かに決めていた。
「動物は死んじゃうから」と飼うことを拒んでしまうことがある。確かに悲しいことではある。でも、それは私たち人間の勝手な感情だと思っている。動物を飼うことはそれも含めてすべてが愛情だと思うのだ。
だからその悲しみがあるから動物は飼わない、というのは少し違う気がする。動物たちから学ぶことはたくさんある。過ごしたその時間はかけがえのない時間。
与えて与えられる。だから動物もまた、飼い主が死んでしまうことを心から悲しんでいるのだ。
愛情はどちらも同じ、ということ。
大型のインコやオウムはとても長生きで50年生きる子もいる。
そうすると、どうしたって人間の方が先に死んでしまうことのほうが多かったりもする。インコやオウムの保護団体はそうして残された子を次の飼い主へと引き渡す活動をしている。
それでもやっぱり動物が死んでしまうことは悲しい。
だから動物がメカになったらいいな、と思った。
でも、だからそれが身勝手なんだよ。
私たちが動物を家族と思うように、彼らも私たちを家族と思っているのだから。
「できた。」
愛情をもって作った、うささんのメカねこさん。
「今日からずっといっしょだね。」
うささんがメカねこさんにかけた最初の言葉。
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うささんはメカねこさんと家族になりました。
ずっとずっと、大切な家族なりました。
ずっと大切な家族だからこそ、うささんは、自分がいつか死んでしまう日がきた時、メカねこさんのスイッチが自動的に切れるという機能をつけました。
メカねこさんが悲しい思いをしないように。
これは、うささんしか知らないうささんなりの「愛情のスイッチ」。
だから、誰にもナイショです。
![](https://assets.st-note.com/img/1736635506-051cdRpT4QwjbZoqW3sIMVGN.png?width=1200)
どんな家族も、その絆はどんな形でも、過ごした時間の分だけ深く、それぞれの形でそれでいいのだと思うのです。
おたがいのために、健康でいることがいちばんなのですから。
おしまい