セックスについて考えてみる。
自分たちのセックスについて語る場面は極めて少ない。
それは、恥じらいの国ニッポンだからかもしれないし、紳士淑女の体裁で生活を送っている私たちの“外面”のせいかもしれない。あるいは、私が体験した性にまつわる暴力のせいであったり、彼が“慎み深さ”を重んじ、セックスに異議を唱える恋人を軽蔑するからなのかもしれない。
1.「する」「しない」という静かなる戦いかくして私たちは密やかに交わり、快楽を共有し、愛情を深める。
時が経つにつれ、やがて彼は一方的な理由を告げたり告げもせず、その