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【シネマメモ帖 「散り行く花」(1919年)】
D・W・グリフィス監督による1919年公開のアメリカのサイレント映画。
主演はリリアン・ギッシュ(少女ルーシー役)とリチャード・バーセルメス(中国人青年チェン役)。
これこそ、哀しきラブストーリー映画の原点でしょう!
現在まで作られた悲恋物語の映画・テレビドラマの要素がすでに100年前のサイレント映画に詰まっているのに驚き。
また、本作によって、映画が単なる記録メディアから芸術作品にまで、その地位が上がったとまで言われています。
ロンドンのスラム街を舞台に、父親から暴力を受けながらも健気に生きる少女ルーシーと、中国から仏教の教えを伝えに渡英したものの現実の厳しさに直面し自堕落になっていた中国人青年チェンとの哀しき恋の物語。
全編を通して叙情的な音楽が流れ、ルーシーとチェンとの出会いと別れをセリフなしでも切なく演出しているところがグリフィス監督の腕の見せ所。
DV親父から度重なる暴力を受けながらも、作り笑顔で健気に生きていくルーシー。
可愛げのあるリリアン・ギッシュ演じるこの「作り笑顔」がラストにも登場するのだが、あまりにも切なすぎる…
サイレント映画ながら泣かせます。
また、ルーシーとの出会いにより生きる気力を取り戻したチェンがルーシーを救うためにとった行動とは?
こういうオチがすでに100年前からあったことに驚きの私。
全編通して見ると、90年代の野島伸司脚本のドロドロした悲恋をテーマにした一連のテレビドラマを彷彿とさせる。
特に本作は、少女と親父との異常な関係や少女を救うために主人公がとった行動、そして主人公と少女の最後をみると、野島脚本の「高校教師」をどうしても思い出してしまう。
もしかしたら、野島伸司、この映画見たことある?(多分観てないと思うけど)
機会があれば是非DVDでご覧くださいませ。