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Smart Cityへの私の関心領域の整理・・・

ビジネスで出会った人に自己紹介をする時に定番の質問は、「あなたのお仕事は何ですか?」または「何をする会社ですか?」という様なものです。
私は、「Smart Cityをドメインに活動をしています」と答えます。
次に来る反応で比較的多いのは、「Smart Cityとはどのようなものですか?」
Smart City(スマートシティ)を具体的なイメージとして描けている人は多くありません。
都市には、多くの人が住み、産業があり様々なサービスが提供をしていますが、そのどれがSmart Cityっぽいのか、何ができればSmart Cityなのか明確にイメージも描けないでしょう。
一つには、「デジタル化された先進都市」ですが、これもSmart Cityと同じくらいに曖昧ですね。
そんな時に、私が答えるのは「Smart Cityは、”ベターサスティナビリティ”を実現するための方法論であり、住んでいる都市価値を高めて、他都市との都市間競争での生き残りを掛けた選択肢のひとつです」

都市のサスティナビリティとは、市民がその都市を選択して暮らすに値する価値があり、選ばれるに値する暮らしやすさ、地域の産業や競争力のある産業(大企業という意味では無く)と企業、雇用があり比較的高い報酬が得られる。
充実した初等教育から総合大学までの高等教育システムがあり、社会の変化にて適応した職業教育を含めた生涯教育の制度やサービスがある。
安定したエネルギー、通信などのインフラや効率敵で利便性の高い交通システム。
環境に配慮した上水の確保、適切な排水や廃棄物処理、高いリサイクル率。
適切なヘルスケア&メディカルサービスや生活に必要な行政サービス。
治安が良く安心で安全な社会システムと災害や防災への高いレジリエンス。
誰もが住むことに対して良い意味でのプライドを感じることができ、未来のある街を行政や市民が共に築くことができる都市。
それが私なりのSmart Cityのイメージです。

そのようなSmart Cityは不可能なのでしょうか?
その疑問の前に、自分が住んでいる街はどのような街なのでしょうか?
具体的に描けていますか?
それは、どのような指標で測定し評価しているのでしょうか?
あるいは、他の都市と比較した場合に、どのような魅力がありのか、どの点を改善すべきなのかの差異が分かるようになっているのでしょうか?
そして、どれだけの都市価値があるのか?
サスティナビリティの可能性について評価しているのでしょうか?
このような様々な素朴な疑問に対して、都市活動の結果として得られるデータをもとにして、可視化できているのでしょうか?
それにYESと回答できる国内自治体は多くはないのではないでしょうか。

Smart Cityの国際標準規格
日本では知らない人も多いテーマに、Smart Cityには国際標準規格があります。
Smart City=デジタルが導入されたテックな街 その様なシンプルな印象を持つ人も多いと思いますが、それほど単純ではありません。
また、都市に導入されるデジタル技術がどのような都市価値という視点ではどのような価値を生むのでしょうか?
他の都市と比較して競争力を高めることができる価値なのでしょうか?
そのような疑問に対して、都市活動から生まれるデータでタイムリーに可視化することができるためのガイドの一つがSmart City国際標準規格です。

国際標準規格には、ISOやIEC、ITU-Tなどの産業テーマ別にスイスのジュネーブに本部のある国際機関が発行した規格(ドキュメント)を指します。
例えばISO(International Organization for Standardization(国際標準化機構)では、以下のようなSmart Cityの国際標準があります。
(これが全てではなく、交通、エネルギー、ヘルスケアや産業別にあります)
ISO
ISO 37120 都市のサービスと品質を測る規格で、都市を統一的な指標で比較することを目的としており、経済、教育、エネルギーなど19のカテゴリで計104の指標が定められています。
ISO 37122 持続可能な都市のスマートシティ化(デジタル化)の規格
ISO 37123 持続可能な都市、コミュニティのレジリエンス(回復力)を測る規格
ISO 37106 都市のスマートシティとしてあるべき運用をめざすための規格
ISO 37101 都市の持続可能な開発を支援する規格

それぞれの規格には認証機関があり、これらの国際標準を適切に適用したのかを評価し段階的な認証を発行しています。
ISO 37120,37122、37123では、カナダのトロントにあるWCCD(World Council on City Data)が5段階評価をしています。
スマートシティに関わる国際標準では、最も認証取得の多い規格で、WCCDのHomePageでは35カ国、100都市以上と記載されていますがこれは最新の数字では無いように思えます。
この他にISO 37106は、BSI(英国規格協会)が認証を発行しています。
この規格をもっとも多く取得しているのは韓国で、最初に認証を取得した世宗市をはじめ、高陽市、華城市、大邱市、釜山市など主要な各都市で取得しています。
日本ではNTTが名古屋市の街区で取得しましたが、このようなスマートシティの国際標準の適用も認証取得も進んでおらず、国際標準を導入し、適用する人材の不在や育成も遅れていることを実感します。

スマートシティは、都市データを取得し、そのデータを分析&活用してデータドリブンな街づくりや都市運営をめざします。
英国政府が先進国を中心に未来を見据えた時に、労働人口が減っていく未来において、都市サービスを低下させないために都市のスマートシティ化は必要と考え、円滑かつ迅速にスマートシティ構築を進めるための規格が必要と考え作られたSmart CityのためのフレームワークがISO 37106(PAS181)です。

Smart Cityをめざす都市で「スマートシティのマスタープラン」を作成し、過去に幾つものマスタープランを見てきました。
そこに描かれるのは、現状認識と課題、将来に向けて都市価値を高めるための計画、産業育成、人材育成、組織創設、ファイナンスです。
そのようなマスタープランの中に国際標準規格の導入も入ります。
このNoteでも紹介をしている、韓国の大邱市は、サムソン発祥の地ですが、現在のサムソンの本社はソウルです。
ソウルと釜山に挟まれてKTXの通過する都市が大邱市です。
大邱市は人口は240万人で、韓国第3の都市ですが、サステイナビリティを可能にするために、Smart CityにフォーカスしてどのようなSmart Cityをめざすのか、世界のSmart Cityやそのトレンドをリサーチし、700ページのマスタープランをつくり、5年毎のマイルストーンを設定して、都市価値を高めるための社会課題を制度と技術で解決し同時に作業育成とSmart Cityに参加する市民教育も行うなどをしています。
その大邱市は、EUのSmart City規格、ISO 37106、ISO 37120、ISO 37122、ISO 37123、U4SSC(ITU-T Y.4903)それぞれの国際標準を導入し認証を取得しています。
国際標準を自らのSmart Cityづくりのガイドラインとし、他の都市と比較するためのベンチマーキングをして、自らの都市を自ら国際標準で評価する力を備えること人材育成にも活用しているようです。(韓国のSmart Cityや街づくりで、自らがリサーチして解決する選択肢をとっているようです)

日本でも持続可能性と都市間競争を生き延びていくためのスマートシティつくりをめざし、その際にデータドリブンな都市づくりのガイドラインとしての国際標準の活用も考えられるのでは。
そんな事を強く感じています。

スカイランドも、ISO、ITU-Tのスマートシティの国際標準による都市のリサーチや都市データを取得し評価するための人材育成や、都市価値を高めるための評価や分析、スマートシティプランの提案ができるこをめざします。
この分野に興味や関心を持ってもらえる方がいらっしゃればお気軽にご連絡をお願いします。
最初は対話から・・・


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