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韓国のソウルで開催される、スマートシティの展示会のこと

コロナのつらい3年間が終わり、お隣の韓国でも京畿道にあるKINTEX(大型展示会場)で、「World Smart City Expo 2022」が開催されました。
パンデミックの期間中は、オンライン開催や国内向けがほそぼそと開催していましたが、ようやく海外からの人を受け入れてリアル開催になりました。

韓国のスマートシティは日本のスマートシティと異なり、都市マネジメントという思想の元に開発されています。
また、電子政府が活発なように、各自治体にはスマートシティ専門部門があります。
ソウル市は、250人位の専門スタッフがいますが、その他の自治体も規模によりますが20人〜30人位のスタッフが地域のスマートシティを支えています。
韓国は、スマートシティを第4次産業革命として捉えており、明確に海外輸出を狙った産業として育成しています。
※ムン・ジェイン政権時代にスマートシティ産業化の戦略レポートが多く書かれていました。
その一環で、政府も国内のスマートシティ推進施策を打ち出しており、その一つにスマートシティチャレンジという助成プログラムがあります。
これは、米国の運輸省のスマートシティチャレンジを参考にしながら、プログラム課しました。
大きくは、一次公募と二次公募に分かれており、一次公募は主にPoCや実証試験を行うための1年間の助成プログラムです。
二次公募は、一次公募で採択をされた自治体が、実証試験の結果に基づいてサービスや産業の横展開を行うための助成なので、予算額も一次公募の何倍もの助成金が支給されます。
※この助成プログラムに関しては、別の機会に紹介します。

「World Smart City Expo 2022」は、2018年からのスマートシティ・チャレンジに採択をされた自治体が多く出展をしていました。
事実上の韓国最大のスマートシティに関する展示会で、2017年からスタートして、私はパンデミック直前の2019年に訪問しましたが、2022年は海外からの出展者は限られたものの、アジア、欧州、中東をはじめ多くの来場者がありました。

2022年のデータでは、
・ 1,548 の展示ブース
・3 万人以上の来場者
・21 の参加国
・170人以上の専門家や有識者のカンファレンスが開催され、多くのビジネスミーティングの元に84万ドルのビジネス契約が行われました。

韓国には、2つの都市がスマートシティのモデル都市として国家プロジェクトとして開発されています。
一つは、ソウルからの遷都で作られた人口55万人の行政都市を目指した、世宗特別自治市。
こちらは、L&H(土地建物公社)が主体で開発されたスマートシティの壮大な実験都市です。
もう一つは、釜山市でこちらはK-Water(水資源公社)が主体に開発を進めており、展示会場でもこの2都市のブースが大きな展示をしていました。
その他には、仁川市、松島(そんど)のスマートシティ、研究学園都市の大田市、最近、スマートシティの開発が盛んな大邱市の他、済州島、光州市、京畿道の高陽市、富平市など多くの自治体が参加して、スマートシティチャレンジの成果を展示していました。

韓国のスマートシティは、日本と異なりトップダウンで初期の開発が進められており、都市マネジメントをテーマにスマートシティが作られています。
自治体が主体となって、行政として安心と安全と利便性を提供しています。
それを象徴する設備として、映像やセンサー等で様々な都市データを集め、分析をして可視化する管制センターを設置している自治体がとても多いです。
これは、警察設備ではなく自治体として24時間365日まちを文字通り管制し、見守っている拠点です。
街に主要な場所に設置されたスマートボールのはマイクとスピーカーが取り付けられており、何かあれば管制センターの職員と会話する事ができます。

世宗市管制センター

当初は、CCTVを中心としてモニタールームでしたが、街全体に広がっている事と、CCTV以外のデータを集めて分析して大画面で表示しています。
日本ではあまり見ない設備ですが、管制センターを持っている国や都市は多く、スマートシティとしてのデジタル化を計る要素ともなっています。
従って、「World Smart Coty EXPO」で展示されるもので多いのは、管制センター、CCTVやセンサー、ネットワークを取り付けるためのスマートボール、スマートボールに付随するスマート街灯、EVなどの充電設備などが多く展示されており、多くのベンダーがいます。

各種スマートボール

私もスマートシティに初めて関心を持ったのは、7年ほど前ですが、都市マネジメントとしての管制センターのソリューションを見た時に、それまでスマートグリッドなどのエネルギー主体のスマートシティで感じていたフラストレーションが取り払われて、初めてスマートシティが自分の中で明確なイメージとして捉える事ができました。
その後、多くの自治体を訪れて、管制センターを見て回り、それぞれの違いに触れながら都市のデジタル化を体験する事ができました。
日本でも地方創生やスマートシティという名の元に東京ビックサイトや幕張メッセでも開催されますが、海外のスマートシティの展示会との違いを比較する事で、世界でどのような理念や定義、ソリューションがトレンドになっているのかを捉えてみる事は良い刺激になると思います。
韓国の「World Smart City EXPO」は、日本から最も近い国際展示です。
スペインのバルセロナで開催される、世界最大のスマートシティイベントと言われる、「Smart City EXPO World Congress 」への参加も良いですが、費用対効果では9月に韓国へ行き、11月にバルセロナへ行くという事も考えられます。
ちなみに、 ソウルの「World Smart City EXPO 2023」は、9月6日(水曜日)から8日(金曜日)まで、京畿道 高陽市にあるKINTEXで開催されます。
事前登録をする事で、無料で入場する事ができます。


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