
Smart Cityの国際規格には、どのような事が書かれているのか?
まえがき
Smart Cityの国際規格について、勝手な事を書いています。
(間違っている事が分かった箇所は随時修正)
これから、少し小難しい文章が続きます。
ここで記載する都市は、自治体、コミュニティとほぼ同義です。
都市データを利用して都市の状態を可視化する指標とし「ISO 37120」を用いている都市は多く、評価に対して認証も付与されています。
東アジアでは、台湾の台北、台南、韓国は大邱市で中国でも導入され認証を受けており、認証取得国は100都市を超えます。
ISO37120などのSmart City指標は、TC 268というテクニカルコミッティのに属し、それぞれの指標はWG単位で開発され運用されています。
TC268(テクニカルコミッティ268)は、持続可能(サスティナビリティ)な都市とコミュニティの分野における標準化の活動で、これは、スマートさと回復力を考慮した持続可能な開発を達成する要件です。
フレームワーク、ガイダンス、支援技術、ツールの開発が含まれており、都市から郊外や農村部にかけてすべてのコミュニティと関係者がより持続可能になるように支援をめざしているようです。
TC 268 は、標準化作業を通じて国連の持続可能な開発目標に貢献し、提案された一連の国際規格は、持続可能な開発と持続可能性に対する総合的かつ統合的なアプローチの開発と実装を促進する活動をしています。
その代表的な国際規格がISO37000シリーズの各種規格でISO37120ファミリーです。
ISO 37120はファミリーは次のような構成です。

ISO37120は、Smart Cityを指すの国際規格ではなく、都市のサービスと生活の質のための規格です。この規格の構成要素に基づき、Smart Cityの状態を現す規格としてISO 37122があり。
災害が発生した際の都市の回復力を評価する指のがISO 37120です。
IISO37122はSmart Cityとしての国際規格として、Smart Cityをめざす都市の状態を可視化します。
ISO 37122は、都市のガバナンスやサービス、データ、システムなどの主要な要素をオープンで協調的、市民中心であり、デジタル対応可能な管理を行うためのツールキットとして提供されている・・・という考え方としては国際規格をガイドにしてSmart City化をめざす事もできそう。
指標の構成や内容
これらのSmart Cityの都市指標はこのように定義されています。
4 都市指標(City indicators)
この文書(国際規格は文書なので)は、都市サービスと生活の質のパフォーマンス管理の運営と評価を支援するために作成されています。
この文書では、持続可能性を一般原則とし、「スマートシティ」を都市開発の指針となる概念としています。指標は毎年報告されます。
都市はスマートさに関する目標に応じ、適切な指標セットを選択して報告をします。
データ解釈する目的で結果を解釈する際に、文脈分析を考慮する必要があります。
地域の制度環境は、指標を適用する能力に影響を与える可能性があります。
それぞれの指標のリストは、次の基準に基づいた考え方があります。
・完全性: 指標は、スマート シティの評価に関連するすべての側面を測定し、バランスをとる必要があります。
・技術中立: 既存または将来の技術を 1 つだけ優先しない。
・簡潔性: 指標は、理解しやすく明確な方法で表現および提示できます。
・妥当性: 指標は、科学的手法を使用して収集できる事実とデータを正確に反映しています。
・検証可能性: 指標は検証可能で再現可能です。方法論は、基準の実装レベルに確実性を与えるのに十分な厳密さを備えています。
・可用性: 質の高いデータが利用可能であるか、または実行可能です。

では、具体的に規格全体の構成はどうなっているのか?
例えば、SIO 37122/2019版の目次は、以下のような項目です。
<経済> (テーマ項目でISO 37120、ISO 37123とほぼ共通)
5.1 オープンデータポリシーを含む都市サービスを提供するサービス契約の比率
5.2 人口 100 000 人当たりの新規事業の残存率
5.3 情報通信技術(ICT)分野の職業に従事する労働力の比率
5.4 教育,及び研究開発分野の職業に従事する労働力の比率
これらの指標ごとの記載されている条件は以下のようなものです。
データの報告の方法、指標に関する要求事項(単位、比率、計算方法や指示など)、データソースの提示とデータの取得先が記載されています。
取得したデータの解釈も示されています。
すべての項目にこの様な指示が記載されています。
指標の中には、どのようにデータを取得すべきか、そもそもデータソースあるいはデータが整理されていない、分散している、存在しない事が可能性もあります。
つまり、自分たちの都市(自治体)のSmart City化の状態をデータで可視化する際に、現在のデータソースや取得可能性知る事は、都市の状態を把握する事になり、課題も見えてくると考えています。
国際規格で都市データを棚卸しをしながらデータドリブンで都市を理解するためのガイドとしても利用できそうです。
では、経済以降のテーマ以降の項目をリストとして記載します。
< 教育>
6.1 複数の言語の専門的技能を有する都市人口の比率
6.2 生徒 1000人当たり利用可能なコンピュータ,ラップトップパソコン,タブレット,又はその他
のデジタル学習デバイスの数
6.3 人口 100 000 当たりの科学,技術,工学,及び数学(STEM)の 高等教育の学位数
<エネルギー>
7.1 都市の年間の総エネルギーミックスに対する,廃水処理,固形廃棄物,及びその他の廃液処理,
7.2 年間の 1 人当たりの廃水処理から生成された電気,及び熱エネルギー(GJ)
7.3 年間の 1 人当たりの固体廃棄物,又は他の液体廃棄物処理から生成された電気,及び熱エネルギー
7.4 分散型発電システムを使用して発電される都市の電力の比率
7.5 都市の総エネルギー消費量に対する都市のエネルギーグリッドの貯蔵容量
7.6 照明性能管理システムによって管理される街路照明の比率
7.7 街路照明の改修,及び新設率
7.8 刷新/改修が必要な公共建築物の比率
7.9 スマートエネルギーメーターを設置している都市の建築物の比率
7.10 登録電気自動車 1 台当たりの電気自動車充電スタンド数
<環境及び気候変動>
8.1 環境に配慮した建築の原則に準拠して過去 5 年間に建築,又は改修された建築物の比率
8.2 1 平方キロメートル(km2) 当たりのリアルタイム遠隔大気汚染監視ステーションの数
8.3 屋内空気の質を監視するために設置された公共建築物の比率
<財政>
9.1 自己資金収入に対するシェアエコノミーから徴収された年間収入の比率
9.2 電子請求書ベースで電子的に支払われる都市への支払いの比率
<ガバナンス>
10.1 人口 100 000 人当たりの自治体のオープンデータポータルへの年間オンライン訪問者数
10.2 アクセス可能でオンラインで要求できる都市サービスの比率
10.3 都市の非緊急時の問い合わせシステムに対する平均応答時間(日数)
10.4 都市の IT インフラストラクチャの平均ダウンタイム
<健康>
11.1 ヘルスケア提供者へのアクセス可能なオンライン統合健康ファイルをもつ都市人口の比率
11.2 人口 100 000 人当たりの遠隔診療の年間件数
11.3 大気,及び水質のリアルタイム公共警報システムにアクセスできる都市人口の比率
<住宅>
12.1 スマートエネルギーメーターの普及率
12.2 スマート水道メーター設置世帯率
<人口,及び社会情勢>
13.1 要支援者が利用可能な公共建築物の比率
13.2 要支援の市民への移動補助,機器,及び支援技術を提供するために割り当てられた自治体予算の比率
13.3 アクセシビリティを考慮した歩行者信号を備えた標識付き歩行者横断歩道の比率
13.4 デジタルディバイド解消のために設計されたプログラムの提供に割り当てられた自治体予算の比率
<レクリエーション>
14.1 オンラインで予約できる公共レクリエーションサービスの比率
<安全性>
15.1 デジタル監視カメラの都市エリアのカバー率
<固形廃棄物>
16.1 テレメータを備えた廃棄物置場(コンテナ)の比率
16.2 家庭ごみの量を個別に監視することで戸別ごみ収集を行っている市民の比率
16.3 エネルギー生産に使われる都市の廃棄物総量の比率
16.4 都市でリサイクルされるプラスチック廃棄物の総量の比率
16.5 センサー対応の公共ゴミ箱である公共ゴミ箱の比率
16.6 リサイクルされた都市の電気,及び電子機器廃棄物の比率
<スポーツ及び文化>
17.1 人口 100 000 人当たりの文化施設のオンライン予約数
17.2 デジタル化された都市の文化記録の比率
17.3 人口 100 000 人当たりの公共図書館の書籍及び電子書籍のタイトル数
17.4 公共図書館を積極的に利用している都市人口の比率
<電気通信>
18.1 十分に高速なブロードバンドを利用できる都市人口の比率
18.2 ホワイトゾーン/デッドスポット/電気通信接続でカバーされていない都市面積の比率
18.3 自治体が提供するインターネット接続がカバーする都市面積の比率
<輸送>
19.1 リアルタイムのオンライン交通警報,及び情報の対象となる都市の街路,及び主要道路の比率
19.2 人口 100 000 人当たりのシェアリングエコノミー輸送の利用者数
19.3 都市内登録車に占める低公害車の比率
19.4 人口 100 000 人当たりの自治体提供の自転車シェアリングサービスで利用可能な自転車の数
19.5 公衆が利用可能なリアルタイム交通システムを備えた公共輸送路線の比率
19.6 都市の公共交通サービスのうち統一支払いシステムの対象となっている比率
19.7 電子決済システムを備えた公共駐車スペースの比率
19.8 リアルタイム可用性システムを備えた公共駐車スペースの比率
19.9 インテリジェント/スマートな交通信号機の比率
19.10 都市の総面積に占めるリアルタイムの対話型道路地図で地図化された都市の面積の比率
19.11 自動運転車として都市内で登録されている自動車の比率
19.12 自治体が通勤者のためにインターネット接続を提供,及び/又は管理している
19.13 自動運転システムへの道路の適合率
19.14 都市のモーター駆動のバス車両の比率
<都市/地方の農業及び食品安全保障>
20.1 都市農業イニシアティブに費やされる自治体予算の年間比率
20.2 一人当たりのコンポスト化のために処理施設に送られた自治体の食品廃棄物の年間回収量(トン)
20.3 オンライン食料供給業者マッピングシステムによってカバーされている都市の土地面積の比率
<都市計画>
21.1 人口 100 000 人当たりの計画プロセスに従事する年間の市民数
21.2 電子申請システムを通じて提出された建築許可の比率
21.3 建築許可の平均承認時間(日数)
21.4 人口密度が中程度から高程度の都市人口の比率
<廃水>
22.1 処理廃水の再利用率
22.2 バイオソリッド再利用率(乾物質量)
22.3 都市の総エネルギー消費量に対する廃水から得られるエネルギーの比率
22.4 エネルギー生成に利用された都市の廃水量の比率
22.5 リアルタイムデータ追跡センサーシステムで監視される下水管網の比率
<水>
23.1 リアルタイムの水質監視ステーションによって追跡された飲料水の比率
23.2 人口 100 000 人当たりのリアルタイム環境水質計測ステーション数
23.3 スマート配水システムによって監視されている都市の配水網の比率
23.4 スマート水道メーターを設置している都市の建築物の比率
ここまでです。
それほど簡単に調べられるものでは無いですが、データ活用や都市データで地域活性化をめざした場合に、この指標の各テーマのデータがどこにあるのか? 誰が管理しているのか? そもそもデータになっていないのじゃないか?
そんな事を知ることからスタートするのかも知れませんね。
じつは、ISO国際規格(IECなども)は、英語とフランス語です。
日本でこれらの指標を自治体のSmart City状態を可視化するために取り入れようとしても、言語の壁があります。
加えて、一連のSmart City国際規格のコンサルや専門家も不足していま(私はまだ出会っていません)
例えば、世界の集合知である様々な国際規格をガイダンスとして、共に学ぶコミュニティが考えられるのかなと思います。
//END