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頭が良くなる科目と作業の科目


概要

思うに学問には2種類ある。実学とリベラルアーツだ。

2種類を分けるもの

綺麗に二分できるものではないが、その違いは、現実世界にどれだけ近いか、作業と理論のどちらの比重が重いかという違いがあるだろう。

例えば、Computer Scienceは実学だと思う。理論というよりはコーディングをしてデバッグをしてという作業だと思う。

医学も実学だと思う。暗記するだけだ。

数学はリベラルアーツだと思う。直接世界の一部を記述しているのではなく、形而上学的な側面が強いからだ。

どちらが頭が良くなるか

ここでいう「頭がいい」というのは「知識が多い」ということではなく、「賢い」「思考力がある」のような意味である。

その点、暗記や作業がメインとなる科目では、賢くはならない。これは、英語の辞書にある単語を全て暗記しても、英語を書いたり読んだりする力がつかないのと同じだ。作業に必要な能力と、それらを総合的に運用する能力はほぼ独立の能力だ。

逆に、抽象的な事柄を頭の中で操作する必要がある科目は、賢くなりやすいだろう。例えば、高校数学の問題を大量に解いたからといって模試の偏差値が上がるわけではない。数学ができるようになるには、個々の問題から抽象的な要素を自分で抜き出し、体系的に整理する必要がある。

若干脇道に逸れるが、勉強は将来役に立たないから必要ないと言っている人は、単に勉強しない自己を正当化しているのでなければ、知識を詰め込むだけの「作業」を勉強と言っているのだろう。

ちなみに、米国の高等教育は実学とリベラルアーツの大まかな区分がされている。つまり、数学や言語などのリベラルアーツは学部教育で行い、医学や法学などの実学は大学院、より正確に言えばprofessional schoolで行う。日本では、第二次世界大戦後の統治などの歴史的な都合でこの辺りが学部教育に混在するために、より大学レベルの教育が複雑かつ無意味化されている。

実学とリベラルアーツのどちらが必要かは、考える視点によると思うが、少なくともリベラルアーツを「世界を見るための基礎」として通っておくことはwell-educatedな人として不可欠だろうと考える。

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しろいくろ (東京大学から米国留学)
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