藤花忌
氷室冴子さんの藤花忌に参加した。11回忌で初参加だし、ただのファンだし、全部読んでるわけでもないし、大丈夫???とドキドキしながら行ったけど、結果、ものすごく楽しかった。
まず、30人の自己紹介が濃密すぎる。好きなものについて話す時、人がいかに活き活きすることか。
普通に過ごしていれば決して交わることのない人たちが、氷室さんへの想いを語るだけで、うんうん!そうだよね!と一気に旧知の友のように思えてしまう。氷室作品の登場人物たちが、実在するかのようにくっきりした影を持ち、作品との出会いが一人ひとりの人生を変えてしまったような、文学の力を感じる楽しいひと時だった。
皆話すのが上手!それはコミュ力とか、プレゼン上手みたいなことではなくて、強い想いがあれば皆こんなにも饒舌に、知らない人の前でも話せるものなのだろう。参加者一人ひとりに氷室作品のキャラが宿ったかのように、皆魅力的だった。
思春期の思い出話を聞いていると、気持ちが一気に中学時代にタイムスリップする。あ〜、クラスにこんな子いたなぁ。発売日に本屋に行くのドキドキしたなぁ。そうそう、この本、私のことが書いてある!って思ったよね〜と、全国各地の中高生が、わくわく読んでたんだな〜としみじみした。
ここ最近、日々必要なことをなんとかこなすことに追われ、知らず知らずの内に感情的になることを抑えてきた私にとって、中高年の女性たちが目を輝かせて、好きなものをいきいき話す姿はすごく新鮮で、衝撃的だった。そうか、私達、こんなに話せるんだ!話したいんだ!好きなものがあるってほんとにいいよな〜!とエネルギーをフル充電できた。
久美沙織先生の、一瞬一瞬の何気ない今が振り返ればかけがえのない時という、実感を伴ったお話にじーんとし、新井素子先生の親指シフト話に笑い、山内直実先生の生のカラー原稿の美しさにため息をつき、柚木麻子先生と実写版クララ白書の樹木希林やドーナッツの話で盛り上がる日が来るなんて!
貴重な資料が回覧される中で印象的だったのは、在りし日の氷室先生のプライベートショット。屈託のない笑顔。本に目を落とす文学少女風のカット。子どものように華奢な身体で、スキップするかのように身軽に歩く姿。
すごく楽しそうで、素敵だなぁ〜とときめいた。
好きなものがあるって素晴らしい!好きなものを語り合える人がいるのって楽しい!好きなものに素直でいることって、心にとって何よりの栄養補給だと感じた一日でした。
いつまでも、好きなものを好きでい続けたいな。