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成績と研修と(長文)

なんとなーく分かるような分からないような、そんな記事タイトル。学校ではなく会社の話だ。インターネットバブル華やかなりし頃、私はまさにIT業界にいた。レンタルサーバーの法人営業をしていたのだ


今やレンタルサーバーは一般的で、契約はネット上、営業マンは不要、という分野だが、当時はドメインも少なく認知度も少なかった。そのためにいたのが我々のような存在だった。悪名高き光通信(まだあるのが不思議だが)………の子会社というか、系列の会社で、扱う商品は光通信絡みのものだった

レンタルサーバーは借地と一緒
今でも利用者は多い(ハズ)


私の会社も当時急成長中で、株式上場を目指すような勢いがあった。もちろん結果は…………ではあったのだが。ただ、その頃は勢いは相当で、どんどん社員が増えていくという日々だった。比例して業績は拡大の一途で、神奈川県内では最大のレンタルサーバー契約を誇っていた(ハズ)


そんな中で、比較的早めの入社だった私が、それなりに(とちょっとだけ謙遜してみる)頑張って、それなりなポストになった。その辺の話は今後何個かバラして記事にする。今回はそれなりになり、営業所で働いていた時の話


ちょうど季節は春になるころ、3月だったかと思う。私は20代半ばのサブマネージャーで(他の企業でいうところの係長だそうだ)、営業所の3つの課のうちひとつを任されていた(それじゃ課長じゃね?とか思うんだけど……)。それこそ入れ替わりをガンガンしまくる会社だったので、その月(16日始まり15日締め)の始まり………なんと最初は

私と部下の二人だけ!

だった


これで他営業所の人数何人もいるとこと達成目標同じ………って、どんだけ罰ゲーム?ということで、当然の事ながら営業所のマネージャーを詰めに行ったりもした。結局新人を優先的に回すからって………でもあとあと気がついた(遅いのはご愛嬌)のだが、新人が戦力としてあてになるわけが無い


だがここで我々は怒涛の進撃を行うことになる………のだが、その話は今回の主題じゃない。後日別途記事にしよう。でまあなんだかんだ上手くはいっていて、新人くん達もなかなか頑張ってくれていた。というわけで………営業月後半は精神的にも肉体的にも楽をさせてもらってたのだ


そんな時だ、新卒社員が入ってきたのは。おーなんか懐かしいな〜とか思いながら、マネージャーがいろいろ教えてるのを横目で見つつ、1人デスクでタバコを吹かしまくっていた。今では考えられないが、当然のように営業所内喫煙可だったし私も喫煙者だった。しかもサブマネージャーともなれば自分の机でいくらでも、だったのだ


そこへ………悪魔なマネージャーが近寄ってきた。おもむろに言ってきたのは…………

しろちゃん、新人研修お願い!

へ?私今課の数字追ってる最中ですけど。遊んでるようでいて、やることはめっちゃあるんですが………

いやさー、俺も大変で………しろちゃんとこは目標見えてるしさ、頼むよ〜!

…………私は上からも下からも頼まれると弱い。上には楯突く傾向にはあるのだが、この時の上司とは、というか営業所は雰囲気もよくやっていた。そのマネージャーに言われたら……是非もなし、結局受けるしかなくなった。もちろん「うちの課の成績いかなくても(達成しなくても)知りませんよ!」と捨て台詞は言っといたが



というわけで、なんの下準備も何も無いままに、営業所の新入社員研修が始まった。本当に無計画、何一つ資料ももらえてない状態…………これもまたよくよく考えたらおかしな話だ。普通そういうのってマネージャーとかが用意してるもんじゃない?それもなくてサブマネージャーに投げっぱなしジャーマンっておかしくね?


そんな弱気なことを新入社員の前では口に出来ない。さすがにノープランな事だけは言わざるを得ないが………で、頑張っていろいろ毎日やっていった。商品知識や営業知識、ロールプレイなどなど………無計画のわりに意外とまともにできてたと思う。彼らがどう受け止めたのかはまた別だが………それでも役には立ったんじゃないだろうか

ちなみにこんなに大勢じゃない
部屋もこんなに綺麗じゃない
パイプ椅子と机、ホワイトボードでおしまいだ
メモとってた社員もいたが………
そんな書くこと言ってない気がする


その中でも、思い出深い事を最後に取り上げて、この記事を締めようと思う

営業としては、やはりディベート力をつけてもらいたい、そう思った。ディベートは異なる立場に分かれて議論する、というものだ(細かくは下記Wikipediaを参考に)

さて主題は

ある物事を達成する為に
より必要なのは目的設定か努力か


というものにした。これはどちらも大事なものであり、正直どちらも大切だ。なので正解はあるようでない、というか考え方ひとつで変わる


本人の意見はディベートでは無視される。チーム分けは至極真っ当に………そこにいた場所で半分にした。そしてスタート!そうするとチーム分けをちょっと間違えたようで、目的チームが圧倒的に強くて、努力チームは反論がまともにできない。やらせた私としては、これじゃ意味がなくなってしまう。あくまでお互いが同じくらいの正しさをぶつけ合ってもらわないと困る

これは肯定否定に分かれたディベート
こういうのも面白い
正直大抵の場合、私は負ける気がしないけど



ということで、それまで審判席(のような感じ)だった自分の席を努力チームに移動した。目的チームからクレームがきたが、そんなの知ったこっちゃない。で、何を話したのかは忘れたが、相手の矛盾点を思いっきり突いてみた。直後反論できず沈黙した目的チーム、それを見て満足して元に戻った私


そして終了の後、振り返りをしてみる。もちろんどちらの勝ちかを判定することも大事なのだが、この時はディベートに慣れることを優先していた。なので判定はなし、あくまで彼らの意識を高めることが目標だった。さてその最後の最後、本当は彼らはどちらの意見に賛同だったのか聞いてみた。結果…………目的チームの多くは努力だと。つまり反対意見を言っていたのだ。これがディベートの面白さであり、実力を付けるには最適ともいえる


理論的発想力と臆することない精神力、ディベートではこれが求められる。これは営業でも販売でも使えることだし、他の仕事でも同様だろう。ただしこれを家庭とかで使うとろくな事にはならないので、ご注意を。夫婦喧嘩、家族喧嘩必至だ。感情を優先しなきゃいけないとこで、理論的発言は極力避けよう。私はそうしてる



思いのほか長文になった
新入社員研修は覚えることが沢山ある場合には、きちんとした資料が必須だ。だが営業や販売の場合、なんでも売れるようになるにはもっとやることが出てくる。まあ私ほどノープランでやらされるのはたまったものじゃないが、それこそ実地で役に立つ技術を教える必要がある。知識は改めて勉強すればいいのだ


今思えば(って何回言った?)大変にいい経験だった。なかなか新入社員の研修することってないと思う。やりたくない人も多いだろう。だが私にとっては得がたい経験だったし、今もそれは活きていると感じる。人生万事塞翁が馬、まさにその通りだなと思わせてくれた出来事だった

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