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まさかの思い 総集

彼女は小さな町に住む平凡な学生だった。毎日同じことの繰り返しで、特に変わったこともないような日々を過ごしていた。
ある日、彼女は学校帰りにいつも通りかかる公園でふと目をやると、ベンチに座っているおじいさんを見つけた。
誰かと待ち合わせでもしているのだろうか、誰もいない公園で1人ベンチに座っていて、なんだか不思議な雰囲気のおじいさんだった。

おじいさんは若い男を待っていたみたいで、男と合流したらすぐに公園を出ていった。
その際、こちらを見ていた様な気がする。
路駐している車の後部座席に乗り込み颯爽と帰っていった。
そして、彼女も帰路についた。

彼女は、その日の出来事が不思議と気になって夜もよく眠れないでいた。
翌日、学校から帰る途中また公園の中を覗いてみると、やはり昨日のおじいさんがベンチで1人座っていた。
おじいさんはいつから公園にいるのだろう。彼女は今日も静かにおじいさんを見ていたが、しばらくするとまた若い男と合流して帰っていった。
おじいさんはあのスーツの男性を待っているのだろうか?でも、帰る時にどこか残念そうな表情をしているので、本当は別の誰かを待っているのかもしれない。
彼女はしばらく、公園の前を通るたび必ずベンチの方に目をやるようになった。

あのおじいさんは、公園で何をしてるんだろう。
そんなことを毎日考えながら過ごしていた。
文化祭の準備で帰宅時間が1時間遅れた日も私が通ると、同時に若い男が来て車に乗り帰っていった。
公園の前を通るようになって少しの日数が過ぎた、ある日おじいさんが立ち去った時にあるものを落とした。

彼女はおじいさんが落としたものに気付き、すぐに拾い上げる。それは古い手帳だった。
中になにかが挟まっていたらしく、持った時にひらりと地面に落ちたので、慌てて拾うと小さな子供の写真だった。もしかしたらお孫さんの写真かもしれない、きっととても大切なものだろうと、写真をすぐに手帳にはさみ直した。明日また公園に行った時おじいさんに渡そうと思い彼女もそのあとすぐに帰った。
次の日、やはりいつも通り公園のベンチにおじいさんは1人座っていた。
勇気をだして話しかけてみると案外普通のおじいさんで、手帳を渡したあと少し2人でおしゃべりして家に帰った。

文化祭も無事終わりしばらく経った頃、またいつもの時間に公園の前を通ると、やはりあのおじいさんがいた。しかし、いつものように1人ではなく、隣に小さな男の子も座っていた。その子は写真で見た子にそっくりだった。
ああ、おじいさんが待っていたのはこの男の子だったのか、と彼女はひとり納得した。その後また例の若い男性が迎えに来て、2人は帰って行った。

ここ最近、どこか不思議だと思い様子を見ていたのだがこんな微笑ましい真相だったとは思わず、彼女は少し拍子抜けした。しかし、楽しそうにおしゃべりして帰っていくおじいさんと男の子になんだかほっこりしたので、細かいことは気にしないことにした。
公演を出て、真っ直ぐ家に帰っていく彼女の様子は、どことなく満足げだった。


「まさかの思い」の総集編です。


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