推しもシスターフッドもない中で生きていく
最初に述べておく。
結婚もしていないし彼氏もいない。
その上で、押しもいなければシスターフッドと言えるほどの友人もいない、
「女性の幸せ=結婚オンリー」といった価値観が崩れつつある。独身女性の私としては、生きるのが楽になった良い時代になりつつあると思う。
私が新入社員の時は、新人歓迎会で「ところで寿退社狙いでしょ」「女性はクリスマスケーキと同じ価値っていうんだよ。え?知らない?25歳がピークであとは売れ残りっていうこと」などと言われた。上司や先輩と言えど、初対面の人にである。
いや、これは、気心知れている人でもレッドカードにさらに追いイエローカード70枚くらいである。アウトどころではない。
そういったセクハラはダメだ、という風潮が広がってきた。
しかし、それと共に、「では一体何のために生きているのだ」ブームが来てしまった。最初は海外ボランティアや自分メディアの発信などという、キラキラ女子ばかり厚遇されていたが、今では別に何かを生み出す必要はない、自分が楽しければいい、男性ではなく女性同士の絆って大切、となった。
よかった。
そして同時に、よくない、となった。
私には押しがいない。
7年ほど前に、ディズニーピクサー作品のカーズに異常にハマっていた時期はあったが、別にその熱は一ヶ月ほどで収まってしまった。何かにはまり切れないのである。押し活はしんどいということも聞くので一概にいいな!という訳ではないが、誰かを熱烈に押してみたいという欲がある。
しかし、枝豆を放置していれば必ず納豆になるわけではなく、適切な処理が必要だ。私は納豆菌(押し)を探す旅に出た。女性向けのアイドルコンテンツや乙女ゲーム、イケメン俳優、兎にも角にも流行りに飛び乗っては次の流行りに飛び移った。
しかし、はまらないのである。
推したくても、押しはいないのである。
納豆菌(押し)は、探して見つかる酵母ではなくて、むしろ自らの中に秘められし、フォースだったのではないかと思っている。
そして、少ないながら友人はいるがシスターフッドとまでは言えない。
大学の時に研究室で驚愕した内容がある。
「自分の話したくない暗い過去や黒い気持ちを晒して、みんなで分析する」といった、誰かに自分の底を露呈したくない私からすれば地獄のような心理学の研究室だ。別にそこにいる人を批判しているわけではない。見せたい傷もあるし、それを誰かに認められたいと思う気持ちもわかる。
しかし私は研究室という不特定多数に自分の底を見せる気持ちはなかった。
そして、それは友人関係にも若干当てはまる。
シスターフッドとは、「1、姉妹。また、姉妹のような間柄。 2、共通の目的をもった女性同士の連帯。」とのことである。今日も今日とて頼りになるコトバンク先輩からの引用だ。
一人っ子なのでいまいち兄弟姉妹のイメージがわかないが、少なくとも友人に対して、姉みたい!妹みたい!二卵性の双子みたい!と思ったことは皆無である。
そして、次に、共通の目的をもった女性同士の連帯、である。
シスターフッドを描く漫画などを読むと、深い相談をして仲を深めている描写が多い。
それできねえな、というのが正直な感想だ。
勿論相談することもあるけれど、結構、ネットの海で小瓶に詰めたメッセージを流すこともあるし、ただ日記のようなものに書き連ねたりするだけのことも多い。
いや、別に過去の傷を分かち合うだけがシスターフッドではないだろう。
では、「共通の目的をもった」とは?「女性同士の連帯」とは?
自分はどちらも出来ていないなと思う。少なくとも今の時点で共通の目的をもった女性同士の連帯をしていない。
生きる意味を求めるのは人間だけといったことも聞く。だから、そのまま何も目的無くて生きていっていいんだよ、と。
わかる。別に、生きる意味がなければ切腹しろ法案がまかり通っているわけではない。
しかし、逆に、人間に生まれたんだから、何か意味のある生を送りたいとも思うのだ。
それがわかりやすく押しとシスターフッドが取り上げられているものだから、それに飛びついてしまった。頑張って探せばそこらの川の石の裏とかにあるかもしれない。
ここで必要なのが、この二つができていないから私はダメなのでは?と思うことだろう。
できないものはできない。
小学校の逆上がりのように、できなければ居残りしなければいけないわけではないから、ないならないなりに、まあどこかに意味があるはずと思って生きるしかない。
言語化できていないけれど、私が生きている楽しさや意味や何かの関係はどこにあると信じている。
と言いつつ、やはりまだ押しは諦めきれていないので、沼があれば積極的に大分していこうと思う。
シスターフッドについては言うな。当方、そこまでコミュニケーション能力も高くなければ、何か目的がある生き方をしていない怠惰な生き物なのである。
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