真冬の北海道をサイクリングする装備をもう一度考えてみる
はじめに
今回の記事では真冬の北海道を自転車で走る装備について再び考えてみようと思います。2021-2022年の年末年始に私は年越し宗谷岬に挑戦しました。そのときは野宿しながら7日間で430キロを走りました。当時の備忘録としていくつか記事があるので興味がある方は覗いてみてください。その時は私の思いつく最良の装備を、アルバイト代をやりくりした限られた資金の中で準備して走ったわけですが、今思い返せばもっとこうすればよかったと思ったり正直選択を間違っていたなと思う装備もあるわけで、そして何よりもう一度冬の北海道を走りたい!という気持ちもあるわけでして…。前置きが長くなりましたが、この記事ではもう一度野宿で真冬の北海道を走るにあたり、私が再構成した装備などを記していこうと思います。
どんな道をどんな風に走る?
一言で冬の北海道を走ると言っても人によって様々だと思います。日帰りで走る、ホテルに泊まりながら数日かけて走る、テント泊しながら走る、雪が積もった道を自転車を担ぎながら移動するのか舗装路を除雪されている前提で走るのか…など色々なパターンが考えられます。私の場合はテント泊をしながら除雪がある程度行き届いている舗装路を1日100キロ前後のペースで走ることを前提に装備を選んでいきます。
服装について
真冬の北海道を走るうえで普段と大きく違うことは、雪・風・低温の3つの要素を考えた服装で走ることだと考えています。実際私が3年前に年越し宗谷岬を走った際には名寄にて電光掲示板にマイナス23度の表示がされている中走っていました。加えて強風も加わった場合、体感温度は極端に下がります。こうなると市販のサイクル用ウエアだとだいぶ厳しいと思われます。そのため私は冬山登山などでよく使われる「レイヤリング」を意識したうえでウエア類を選びます。具体的にはベースレイヤー(汗を肌から離す)、ミドルレイヤー(保温する層の役目)、アウター(風や雨を防ぐ)のように3種類のウエアでそれぞれに役割を持たせるというものです。詳しくはモンベルの記事をご覧ください。私は雪山登山やスノースポーツをやる時のレイヤリングを参考にしています。
執筆時時点の私が一番ベストだと思うウエア構成はこちらになります。
上半身のベースレイヤー、インナー
ベースレイヤーの下に着るのがこちら↓のミレーのドライナミックメッシュ3/4スリーブ。汗を即座にベースレイヤーまで吸い上げてくれてメッシュの空間部分があるおかげで濡れたベースレイヤーが直接肌に触れないという優れものです。汗冷えが大幅に減るのでこれは冬ライドでは手放せません。
ベースレイヤーはこちら↓。モンベルのジオラインEXPハイネックシャツです。前回の冬北海道ではジオラインM.W.ラウンドネックを使用していましたが、今回は一回り分厚い生地のEXPを導入。さらにハイネックにすることで首周りからの放熱を抑えようという算段です。
上半身のミドルレイヤー
続いてミドルレイヤー↓。こちらは前回同様にノースフェースのバーサミッドジャケットを使用します。モンベル製のフリースを新たに買っても良かったですが、そこまで新品に買い替える必要性を感じなかったので再び冬北海道装備のレギュラーメンバーに。
上半身のアウター
続いてアウターです。こちらは新調しました。モンベルのアルパインサーマシェルパーカです。視認性の確保のためオレンジ色を選択しました。またこのウエアは裏起毛の生地になっているのでだいぶ保温性が上がると予想します。さらに脇下にベンチレーションがあることとウインドスカートがついてるのも決め手です。
下半身のベースレイヤー、ミドルレイヤー
続いて足回りの装備です。ベースレイヤーにはモンベル ジオラインEXPのタイツを使い、その上にミドルレイヤーとしてモンベルのトレールアクションニーロングタイツを履きます。他の冬北海道走っている方のブログなどを見ると足回りにミドルレイヤーを使っている人は少ないように感じます。確かに脚は上半身ほど冷えに弱くはないですが、自分の場合脚を冷やしてしまうとひざに痛みを感じやすくなるのでミドルレイヤーを使います。
下半身アウター
次にアウターですこちらも3年前の年越し宗谷岬で使ったものと同じです。アークテリクスのゴアテックスプロの生地を使ったビブになります。ビブになるので冷たい暴風にさらされてもアウター上とアウター下の間から冷気が入りづらくなります。
保温着
つぎに紹介するのは保温着です。こちらは自転車に乗る時に着るのではなく、休んでる時や睡眠時に体温を保つために使用します。
上半身の保温着はモンベルのアルパインダウンジャケットです。こちらも年越し宗谷岬のために買いました。今思えばフード付きの物を買えばよかったかなと思ったり。
下半身の保温着はライトアルパインダウンパンツです。これは今回の遠征のために購入。今まではスペリオダウンパンツを使っていましたが、大分ヘタって来ていたのともう少しダウン量が多いものが欲しかったので買い換えました。
続いてダウンシューズです。商品名は分からないのですがこちらはモンベル製です。テント泊をするときに使用します。個人差はあると思いますがマイナス2桁にもなると足先はかなり冷えるのでダウンシューズは必需品です。
頭部の保温装備、ヘルメット
続いて頭の保温に関してです。今回の遠征では初めてキャップを導入しようと思います。単純に頭が寒くならないのもそうですが、帽子のつばの部分が降雪時に雪が目に入るのを防ぐ役割があるのではないかと思い購入しました。製品名はモンベルのクリマプロO.D.キャップ(アウトレット品)です。バラクラバはGOBIKEというメーカーの物です。(商品リンクはこちら)
口元がメッシュ状になっているため蒸れにくい構造になっています。
今回はヘルメットも新調しました。ペツルのメテオという登山用のヘルメットです。自転車用ではないですが240gと自転車のヘルメット並みに軽いです。自転車用のヘルメットだとベンチレーションに雪が入ってきたり、風通しが良いのでもろに頭を冷やしてしまいますが、こちらのヘルメットはスキーツーリングも想定して作られているので寒くも暑くもない適度なベンチレーション機能があるのではと期待しています。私はマイナス10度くらいになると自転車用ヘルメットでは頭痛がする症状が出てしまうのも今回このヘルメットを購入した理由の一つです。また、スキーも趣味の僕にとっては好都合なのでした。
シューズ
続いてシューズについてです。前回の年越し宗谷岬ではフィジークの冬用ビンディングシューズを使用しました(こちらの商品です)。結論から言うとその選択は失敗でした。ネオプレン製のシューズカバーと一緒に使っていたので凍傷になるほど寒いわけでもなかったですが、快適ではなかったです。ちなみにその時はビニール袋→厚手靴下の順で履くことで簡易的なVBLの状態で走っていました。そんな理由から今回は思い切ってモンベルのヴェイルブーツを購入しました。登山靴でも良かったのですが、なにせ登山なんてしない人間がこの時のためだけに高額な靴を買うよりは、保温性重視のブーツを買ったほうが手っ取り早い気がしたのでした。
このブーツの特徴としてスキーブーツのようにインナーを取り外すことができます。汗をかいてもインナーを取り外すことで速く乾かすことができるわけですね。ただ今回の遠征も簡易VBLを導入するのでインナーが汗で濡れることはないと思います。
靴下
次に靴下についてです。意外と靴下を選ぶのは重要なポイントだと思います。今回使用するのはモンベルのメリノウールエクスペディションハイソックスです。メリノウールの中で一番厚みがあるものですね。年越し宗谷岬の時は靴下を2枚重ねにしていたのですが、動いていると意外としわができたり、睡眠時に痒くなってしまったので今回は靴下は重ね履きせずに分厚いものを使おうという算段です。
グローブ
続いてグローブについてです。先に言っておくと手袋にもVBLを使おうと思っています。具体的にはニトリル手袋をした上にグローブを付けます。
今回持っていくグローブはテムレス02ウインターとモンベルのウィンドストッパー インシュレーテッド サイクルグローブです。テムレスは比較的気温の高い時(具体的には0度くらいで液体の水が存在する温度帯)に使用し、モンベルのグローブは寒い時に使用するつもりです。モンベルのグローブは試着した時にかなり暖かかったのと、アウトレット価格だったこともあり購入に至りました。念のためおたふく手袋のインナーグローブも持っていきます。
テント、シュラフ、エアマットなど
さて、次は寝る装備についてみていきます。基本的に装備は年越し宗谷岬の時と変わりは無いのですがところどころ変更した部分もあります。
テント
テントと言いつつ下の写真に写っているものは”シェルター”という部類に入ります。モンベルのULモノフレームシェルターという製品で私はこれを季節問わず使っています。レビュー記事はこちら。
現在はモデルチェンジした新しいバージョンがありますがこちらは旧製品
です。実際にマイナス2桁の気温の中使ってますが、普通に寝れます。このシェルターに関しては今までと変わらず使用するつもりです。
シュラフ
続いてシュラフについてです。私が持っているシュラフはプロモンテのダウン量600gの物と同じくプロモンテのダウン量150gの物です。遠征には2つのシュラフを持参して気温に応じて重ねて使おうと思っています。シュラフカバーはモンベルのブリーズドライテック ウォームアップスリーピングバッグカバーです。前回の年越し宗谷岬の時もシュラフは2つ持っていきましたが使用したのはダウン量600gの物のみです。ただ今回の冬北海道は道東の寒い地域へ行くため、おそらく2つとも使用すると思います。
エアマット
エアマットは睡眠をとるうえでシュラフと同じくらい重要なものだと思っています。前回の年越し宗谷岬ではクローズドセルマットとサーマレストのエアマットの2つを使用しましたが、今回はエアマット3枚重ねで挑みます。
使うエアマットは写真の上から
シートゥーサミット ウルトラS.I.マット
サーマレスト サーマレストプロライトプラス(120cm)
KLYMIT Inertia X Lite(クライミット) イナーシャX ライト
になります。
私個人の意見にはなりますが、クローズドセルマットを使うよりはエアマットを用いて地面と体との間に空気でもって空間を作るほうが断熱性が高いのではないかと思ってます。そして腰や背中を冷やさないようにするべく、上半身がかかる部分にエアマットを3つ使用するという選択を取りました。3枚とも全身をカバーできるサイズのほうが絶対安心ができるのですが、そうした場合荷物の容量が増えてしまいます。荷物を減らしつつ、快適性を損なわないギリギリのラインを見極めるのがこのようなツーリングでは難しくなってきます。逆に装備でその人の個性が出るので面白い部分でもありますね。
最後に
今回の記事では冬北海道を走るにあたっての服装やテント泊をする装備を私なりにまとめてみました。食事はどうするのかやパッキング方法はどうするのか、ライトやスマホの電源はどうするのか…などほかにも様々な要素があるのが自転車ツーリングですが、今回は最低限真冬の北海道を走って寝れる装備という視点からまとめてみました。パッキング方法やツーリング中の自炊方法などは年越し宗谷岬や長野県での真冬のキャンプツーリングの経験をベースに煮詰めて考えて時間があればまた記事にしてみようと思っています。また何かありましたら遠慮なくコメントや私のツイッターまで連絡してもらえればと思います。