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林志炫TerryLinブログ20211001「空kong くう」試訳

微博掲載原文→https://weibo.com/ttarticle/p/show?id=2309404687537884233760

FB頁掲載原文→林志炫TerryLin(炫音音楽)

「空」。「淚一滴の哲学」を維持しきれず、歌い終わった後、しばらく感情の波がおさまるのを待つようでした。

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*「空」は五分という短い時間のなかで、枯れ木のような寒々しい侘しさから微動だにしない水面のような静まり返った心境までを歌いあげます。
*「空」は非常に難易度の高い曲で、B2からF5まで、19度の広い音域に及びます。
*「空」では「淚一滴の哲学」を維持しきれず、歌い終わった後、しばらく楽曲の世界に埋没したまま感情の波が鎮まるのを待つようでした。


披荊斬棘的哥哥も四回目の公演に至り、ルールも厳しさを増しました。各グループで3曲(3ステージ)独唱、Duo、グループ全体でのパフォーマンスを行い、競います。
メンバーとの話し合いの時、皆さんが私をソロに推挙しました。しかしDuoについては、私は始め黄征さんと熱狗さんで組むように提案しました。けれど黄征さんは私に出るように強く主張したので、全員でいろいろ意見を出しあい討論を重ね、最終的にはリーダーの趙文卓さんが決定しました。
それで私と熱狗さんがDuoに出ることになり、私は3ステージを掛け持ちすることになりました。
これがどういうことをもたらすかと言うと、公開日まで10日という時間制限のなか、3倍の練習時間を作り、3つのリハーサルに参加するということ。さらに困難なのは、本番時に私は短時間で3つの衣装替えをし、それと同時に次の曲へ心境も変え、その歌唱法に合わせて体も調整しなければなりません。
30年歌ってきて、大変だと初めて思いました。つまり私個人のコンサートではないし、自分のなかで熟成出来ているのはソロの一曲だけで、他の二曲は新しくこれから練り上げなければならない。加えて腰の傷も治癒の途上で体力的に完全に回復していないと自覚していたからです。
30年来で初めての事です。
本番はすぐに来ます。
心配になっていると、脳裏に二人の自分が現われました。一方の私は「ずっと高い目標を掲げて挑戦し続けてきたじゃないか!行くんだ!!」と言い、もう一方は極度の不安と焦燥に駆られ「脳の指揮に身体がついていけなくて、自分に求める及第点に達せないのでは…?」と不安がる。肩の荷は非常に重く、しかし、チームメイトから享ける信任とチームの栄誉をかけて、困難でも前進するしかありません。
体力的な問題はさておき、選曲を考え込みました。あれこれ思案した結果、レパートリーの中から「空」を選びました。この曲は2017年、映画・悟空伝の挿入歌として歌ったものです。
作曲者の朱芸編さんは初めこれを二胡を使って作りました。この時映画でメロディが使われるだけの予定だったのですが、旋律の美しさから監督は詞を加えて歌い手を探そうと決めました。作詞者の田丁さんが言うには、最初の三日間、何も書けなかったそうです。なぜならこの曲の音域はとても広く美しく実態のない“気”のようで、なかなかふさわしい言葉が降りてこなかった、と。締切日が目の前に迫ってとても焦り、まず落ち着こう、徹底的に安静になろうと考え、心のなかで般若心経(?)を三遍唱えたところ、胸の片隅が澄んだような心持ちになり、ペンをとって書きあげたそうです。
そのような経緯で、ラブソングでは稀な空性(仏教語・無我、無自、自己主張がない)をはらんだ曲が生まれました。
この曲を公開の場でまだ歌ったことがありませんでした。理由の一つはボーカルの音域がB2からC5と、かなり幅広く、難しいこと。また歌詞は(愛)情の傷で枯れ木のようになっているところから、静まりかえり微動だにしない水面のような心境への展開があり、そこに最大級の情感をこめなければなりません。この二点が相乗的に歌手にとってとても大きな挑戦を強いるのです。
録音スタジオであれば、少なくとも自分のコンディションの良し悪しで、完全に準備できた状態で歌うことが出来ますが、観客を前にした公演は都度都度変化し、予測不能なことがとても多いです。
しかしながら私は自分に挑戦するのが好きな性分で、ただでさえ難しい上に、曲の中間部分にある女性ボーカルによるハミングを自分で歌うことに決めました。これで音域はさらに拡大しB2~C5だったのが一歩進んでB2~F5の、19度の展開となりました。
ハミングの最も高い音F5に到った直後、一瞬で“前塵~”の最も低い音B2で歌います。

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参考図版>こちらからお借りしました>https://utatame.com/pitch-name-190701/

3ステージに参加するので毎日毎日早朝3時~4時までかかり、疲労で眩暈を起こしてしまい、自分に問いかけました。
「林志炫よ、何故そこまでこだわる?」
頑固な自分が、問いかける自分にこう答えました。
「君と私は知り合って55年になるのに、まだ知らないのですか?これが私なのです!」
幅広い音域と連綿と続くブレスの課題を克服することを除き、この曲をさらに難しくしているのは心境で、五分間のなかにひとつの愛情物語を語り尽くさなければなりません。互いにいかに愛したかは無論、前世も今生もすべからく守る術がない。その哀しみ、索漠。想いはあっても縁のない愛情は雲と風のようで、吹き付ける風により雲は砕け散ってしまう。ついには雲はただ漂うことを決め、風はつかず離れず、追っているようにも見えるし放棄しているようにも見える。枯淡から澄み切った水面のような心持ちで、最後の一句、“終是一場空無明”の無明の二文字は、心如止水に到達する直前、、、あたかも最後の悲鳴のようでもあります。
一人の歌手として、感情的な表現から緊張感の高い歌唱技術を要する~難易度の高い曲に取り組めることは幸運です。また、その難しさには観衆の情感が満々の飽和状態になるまで、長年私が保ってきた「涙一滴の哲学」を今回も維持できるかどうか・・・という事もあります。
30年来、数えきれないほどのラブソングを歌ってきました。一曲ごとに私の脳裏には自分のMVがあり、歌っているとき私はまさに主人公に成り代わっています。ですが、私は歌手であり役者ではありません。どんなに辛い痛みの場面でも涙を流して泣くことはできません。なぜならば歌わなければならないから。一旦、嗚咽に入ってしまうと歌は完成させられません。全くもって残念なパフォーマンスになってしまいます。それであれこれ悩んだ結果「淚一滴の哲学」を編み出しました。
楽曲の情景に心の裡がどんなに揺れ動いても舞台上ではどんなに多くても涙は一滴しか流さない。楽曲のドラマにどれほど波乱や葛藤を抱えても舞台から降りて自分のスペースに戻った後にのみ、それらを解放することができる。
30年歌ってきて、もちろん失敗もあります。自分の至らなさにうんざりした事もあります。だから再三再四自分に(歌唱に徹し)維持するように戒めてきました。
ただこの一回、歌のなかに巻き起こる情感の潮流に己を投入し、最後の二文字の「無明」を歌う時・・・かろうじて自分にとっては信仰のような「淚一滴の哲学」を守ることが出来ました。幸いなことにむせび泣きそうになったとき、歌い終え、ステージ上でながく感情の鎮まるのを待っていました。
私はあなたの心のなかに完璧に美しいものを届けられたかわかりません、けれど歌手として自分に対して悔いはありません。

【#哥哥FIRETIME】#林志炫 《#空》空灵又优雅!空寂的意境+空落落的心情 被唱破防了!​​​​《披荆斩棘的哥哥》 Call Me By Fire EP8丨MangoTV

空Kong(くう)

星は湖底に沈み
月は見えない
忘れがたい、去り行くあなたの後ろ姿
前世の面影
あのときの深い痛みは訴えずにいましょう
どうすれば夢で見た笑顔を忘れられるでしょうか
雲はちぎれ墜ち 風は止まず
つかんでは失い 
また つかんでは失う
忘れられない 消しきれない前世の約束
暗黒の夜から黎明にいたるひとすじの道
浮いては沈み 尋ね 求め続ける
これは夢のようなものと知りつつ、でも目覚めは訪れない

雲は漂い 風は寄り添う
心では抱きしめていても、離れています
酔って笑っても、いわゆるこれは宿命なのだと言わないで下さい
そもそも淡い夢の影
ずっとずっと、ずっとずっと想い続けています
ずっとずっと
ずっと
空(くう)




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