ドラマ2話-5(試訳)
●麻雀(某会館の一室)
程鳳台:今日はホントについてない。ひどいな。白板か…
范涟:どうしたんです?察察が手伝わないとダメですか?さあ来い!糸鶏だ!見て、見て!
程鳳台:またダメだ。
范涟:できた!さあ、ちょうだい、ちょうだい!(掛け金回収)
程鳳台:こっちはサイアクだ。
范涟:ちょうだい、ちょうだい!
程鳳台:トイレに行ってくる。
范涟:兄さん、トイレに行く振りして逃げるつもり?私もよくやる手だけどさ。兄さん、逃がしませんよ!私の勝ちだけど、まだまだ…
程鳳台:出て行けよ、このテーブルに人は足りているだろう?自分のところの穴埋めをしないと。ホントに。
范涟:さあさあ。劉さん、劉さん。来て来て!いいところに。
客:ほら、掛け金だ。
●ホール 舞台
客:もう一曲、もう一曲。もっと聞きたい。もう一曲。もっと歌って。もう一曲。
程鳳台:はい、はい、はい。
商細蕊:程さん
程鳳台:だいたいもういいだろう。もっと聴きたい人は劇場に行って切符を買って聴くといい。
客:程さん、これは芝居のために、范涟が商さんを招いた会ですよ。聞いてないのですか?
客たち:そうです、そうですとも。程さん。義弟さんが設けた舞台をどうして壊すのですか?程さん。
商細蕊:程さん、構いません。京劇を聴くのが好きな人たちですから。
客:その通り!商さんは好きを仕事にしているのだから。仕事大事!
客3(小黄):そうですとも。仕事、仕事。
程鳳台:こちらは黄さんの若さま。もし記憶違いでなければ、お宅はたしかずいぶん風流なところにありましたよね。仕事をする、仕事を愛する。好きを仕事にする…ならば皆さんにストリップショーをお見せしたらいかがですか?無論、ご職業を敬っていますよ。
(客、絶句。程鳳台、商細蕊を連れて立ち去る)
客たち:どうして行くんだ?どこに行くんだ?商さん、もう一曲。行かないでよ、商さん。
●庭、テーブル
程鳳台:熱いお茶ですか?
給仕係:そうでございます。
程鳳台:熱いからゆっくり飲むといい。そうだ…あなた方、役者さんたちは外で勝手気ままに何か飲むことはできませんか?もし薬でも盛られていたら、怖いでしょう?
(カップを下げようとする程鳳台。それを止めて商細蕊、躊躇なく飲んでみせる)
商細蕊:私の喉は秋に入ると弱ってしまいます。
程鳳台:ここで商さんに会うとは思っていませんでした。今日は冷えるし(厚手のものを着ているわりには⁈)、ちょっと見たところあなたはずいぶんさっぱりとした身なりで、私はどこの若様かと思いましたよ。その花飾りもしゃれてて良い。
商細蕊:これは「梅龍鎮」を歌うのに因んで。彼らとの時間の戯れにですよ。普段は舞台で華やかな衣装を身につけています(戦闘服で身を包んで自分を守る?)が、私服ではそれもできませんから。
程鳳台:あなたの舞台衣装といえば、派手と言うのは軽過ぎるし、贅沢さを言えばたしかにそうだ。汇宾楼での騒ぎで湯をかけられて、数百大洋の損害を出したのではないですか?
商細蕊:それ以上ですよ。ついでの話と言っては何ですが、この仕事について幾星霜、家庭を持たず、定住もせず、飲み食いの他に、もてる銭金はすべて舞台のためにつぎ込む。稼ぎはより良い衣装に、より良い衣装は更なる稼ぎをもたらしてくれる、この繰り返し。終わることのない繰り返しです。程さんからみたら「なんて馬鹿な(傻・シャ)やつだろう」って、笑ってしまうでしょう?
程鳳台:それは傻・シャ(馬鹿な)じゃなく、瀟洒・ショウシャ(俗っぽくない)というところでしょう。今日はいいところであなたに会えましたよ。ところで、汇宾楼の件、結果をあなたに話しておきましょう。あの騒ぎの真相はあなたが芝居を変えたからじゃない。ほんの数人の荒っぽいのが主犯格で、あとはほとんど誘いにのっただけ。連中が言うに、あなた方の業界の会長の息子で…姜なんとか、姜なんとか宝の指図だったと。
商細蕊:姜登宝。
程鳳台:そう!
商細蕊:人気競争が激しいと言っても、私がいくら歌を替えたからってあんな騒ぎを起こすのには能わないこと。おおかた、私が彼の親のお祝いに行かなかったことを恨んでのことでしょう。それで、程さんはあの件をどう処置する心づもりなのですか?
程鳳台:これは警察局が決めることですが、まあ姜荣寿が袖の下をいくらか掴ませてうやむやにされるのではないかと思いますよ。警察はあえて私に意見を求めてはこないでしょう、私はむしろ被害者であるあなたの気持ちをお聞きしたい。
商細蕊:それなら、一発殴って解放すればいい。
程鳳台:簡単だ。
商細蕊:同業の揉め事はかつても色々ありました。その上、私はお祝にもいかなかったし。彼が怒るのも無理ないことです。ただ、彼らに傷を負わされたあなたは、このまま済まされてしまうのでは不快でしょうね、私はそのほうが気がかりです。
程鳳台:なら、二発殴って解放しますか?
商細蕊:寛大な人ですね。あなたにはどう感謝したらいいのかわかりません。(立ち上がり、梅のコサージュを程鳳台の服に着ける)寛大なあなたに贈ります。程さんも遊び心があって粋な方だから。
程鳳台:一枝の花を私に。そう言う商さんは私のところにいる。人助けから幾日か過ぎたけれど。
客:程さん、ここにいましたか。あなたのところの小舅が誰構わずあなたを連れてくるように言いつけてますよ。
程鳳台:戻らなければならないな。今日はおむつでも当ててないといけないな。戻ってくるのを待っていますか?それとも、私のそばに座っているのならば誰にもあなたに指図させないと、お約束しますが。
商細蕊:それは素晴らしいですね!