26.タダで教えてもらおうと近づいて来る人たち【47歳で独立した私が50歳で軌道に乗るまでに経験した99のこと】
開業1年目は、ひたすら人に会い、ヘトヘトになった私は、人に会わずに、どこででも仕事ができるようなろうと本気で考えた。
この考えが、今の仕事のスタイルの原点となった。
開業直前に、知り合いすべてに開業の挨拶状を送りました。
そのため、最初の仕事の依頼は知り合いからでしたし、仕事につながらない相談や問い合わせも、知り合いからもらいました。
行政書士として事務所を持って開業した私は、起業開業のサポートや相続に必要な遺産分割協議書、家族の安心のために残すエンディングノートを扱いたいと考えていました。
その後、メイン業務は変わっていきますが、まずは私と同世代の女性のために、活動したいと思いました。
開業する多くの人が、なぜか最初は売上は度外視のところがあります。
まずは経験を積みたいと考えるのかもしれません。
私は売上目標を高めに設定していましたが、どうしたら目標に近づけるのか、当時はモデルもなく、手探りの状態でした。
売上にはこだわりたいのに、どうしたらいいのかわかりません。
そんな中、「開業したんだって!」と、開業の挨拶を受け取った知り合いや、噂を聞きつけた前の職場の人から連絡が来ました。
ありがたいことです。
中には、相談や一度会いたいと言う人もいました。
もちろん、こちらは前のめりでOKしました。
少しでも仕事につながりそうなら、時間を惜しまず出かけていきました。
独立に興味がある人もいましたし、相続の相談もありました。
独立に興味がある人の場合、興味があるだけの段階が多く、多くはすぐには動きそうにありません。
「実際独立してみてどう?仕事はあるの?」
そこを確認したいようでした。
気持ちはわかりますし、実際にどうなのか、正直に答えました。
あっという間に時間は過ぎて、解散となることがほとんどです。
仕事になることなんてないんだなと、徐々に気づき始めました。
会社を作りたいという相談もありましたが、ただ単にやり方を聞きたいだけの時間でした。
ネットで調べればわかることを、一応仕事としてやっている私に確認したいだけのようでした。
もちろん、私に依頼しなくてもいいのですが、せっかく連絡をくれたので、できるだけしっかり答えましたが、仕事がある素振りで連絡をしてきて、まったくその気がないことがわかるのがショックでした。
知り合いの場合、気軽に声をかけてくれる分、仕事につながることは少ないのかもしれません。
相続についても、ちょっと聞きたいだけでした。
今ならわかりますが、財産については、知っている人には知られたくないものです。
知り合いから遺産分割協議書を依頼される場合は、少し離れた親族、例えば夫の両親が亡くなった場合などになります。
質問される場合は、まったくの他人についての場合もあります。
その場合、状況がわからないこともあり、お断りすることにしています。
質問に正確に答えることができないからです。
こちらに非はないのですが、何となく気まずくなります。
仕事にならないだけでなく、知り合いとの距離が遠くなりました。
「ちょっと教えて」というのは、飲食店で「タダで一口食べさせて」と言っているようなものですが、もちろんそんな意識はないのでしょう。
今振り返ると、開業したばかりなので、経験と思って無料で調べて答えて良かったとも思います。
自分の理解が曖昧な点もわかり、勉強にはなりました。
ただ、ちょっと悲しかったです。
開業したばかりの仕事がない時期だったからです。
心に余裕がなかったのでしょう。
周りの人の話からも、タダで教えてほしいと近づいて来る人は、少なからず存在するようです。
その場合はどう対応するのか、あらかじめ決めておくといいと思います。
経験を積むために、知り合いならタダで対応すると決めてもいいし、知り合いでもタダではやらないと決めてもいいでしょう。
決めておけば、対応に困ったり、ショックを受けることもないはずです。
ある程度経験を積み、売上が少しずつでも安定してくれば、タダで受ける必要はなくなります。
「ちょっと教えて」と言われても、すぐに料金の話をする余裕もできます。
依頼されなくてもいいと思えれば、余裕をもって対応できるものです。
仕事をしたのにお金をもらえなかったという話もよく聞きます。
そのようなことが起こらないよう、開業したからには、売上にこだわらないといけないと思います。
売上が作れれば、色々なことがうまく行きます。
精神的な余裕が生まれるのが、何よりも大事だと実感しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?