1・会社を辞めると決めた理由【47歳で独立した私が50歳で軌道に乗るまでに経験した99のこと】
独立できたらいいなと思い、行政書士試験を受けたのは11月のこと。
合格発表は1月末で、自分の受験番号を見つけた時は、それはもう心臓バクバクで、飛び跳ねたい気持ちでした。
合格発表を見たのは会社の昼休みだったので、こっそりガッツポーズをして、家族にそっと連絡しました。
独立する選択肢を手に入れたことはもちろん嬉しかったですが、それ以上に、もう試験勉強をしなくていいんだという思いが、心を軽くしました。
会社にはそこまで不満はなかったものの、このままいても同じことの繰り返しだし、何より、このまま会社が存在する保証はないと感じていました。
当時、私の周りの社員たちは、リストラに遭っていました。
最初は50歳以上が対象になり、次に45歳以上が対象になり、その次は、部署ごとなくなるという、驚きの流れになりました。
すでに45歳を超えていた私は、自分もリストラに遭う可能性があること、そしてそれは突然やって来るんだと自分に言い聞かせました。
おかげで試験勉強にも力が入りました。
ところが現実は、私の部署は残ることになり、周りの部署の人たちが一斉にリストラされることに決まったのです。
「なんであなただけ残れるのよ」と、仲の良い同僚から言われた時は、返す言葉がありませんでした。
私の周りの200名が、一斉に会社からいなくなりました。
合格したからと言って、すぐに退職して独立しようとは思えませんでした。
独立するために何をしたらいいのかも、わかっていなかったからです。
合格者が集まる会などにも色々参加しましたが、そのたびに、「まだ開業するかどうかは決めていないんですけど」と、話していました。
すでに開業を決めている人を見つけると、何をするのか、どうやって稼ぐつもりなのか、興味津々に聞いていきましたが、何もわかっていない私には、どれもピンと来ない話ばかりでした。
また、せっかくならリストラされて辞めた方が得だと考えました。
周りでリストラされた人たちが、多めに退職金をもらったと聞いていたからです。
会社都合で辞めることで、失業手当もすぐに支給されるようです。
次のリストラはいつなんだろうと、探るようになりました。
季節が変わり、春になった頃、私は「もし事務所を借りて独立するとしたら」と考えながら、ワンルーム物件などの不動産情報を見るようになりました。
どの物件も狭く、窓も少なくて、ピンと来ません。
安いから仕方ないのですが、もし開業するのであれば、自分自身が毎日行きたくなるような事務所にしないと、お客様も来てくれないだろうと思いました。
安くて暗くて駅から距離がある物件は無理だなーと考えるようになりました。
そんなある日、日当たりの良い駅前物件を見つけました。
家賃は11万円弱です。
決して安くはありませんが、連休だったこともあり、見るだけ見てみたいと思い、不動産会社に連絡をしました。
オーナーにこだわりがあるようで、堅い事業にしか貸したくないため、長い間空いている物件でした。
物件を内覧したところ、想像以上に日当たりが良く、ここなら毎日通いたいと思いました。
オーナーにも気に入られ、家に戻った時には、かなり借りる気持ちが強くなっていました。
内覧には夫を連れて行きました。
女性はなめられるかもしれないと思ったのと、お金にシビアな夫の意見も聞きたかったからです。
驚いたことに、夫は乗り気でした。
高いけど、それ以上に稼げるならいいんじゃない、という意見でした。
まだ何も知らない私には、その言葉はプレッシャーになるどころか、そっか、稼げばいいだけかと、変に背中を押すことになりました。
物件を借りるということは、会社を辞めて独立するということです。
思いがけず、連休中に物件を見たことが引き金となり、私は会社を辞めることを決めていました。
連休明け、私は上司に退職を告げることになります。