今も萌えつづけるジレ愛とやら
秋が来ない。
ほんとうに、来ない。
今年の夏はしつこい酷暑がどれだけでも続いていて、10月半ばを過ぎたというのに、やっぱりエアコンは動いている。
連日の夏日に加え、
30度超の真夏日がここへ来てまだまだ。
いいかげんにしてよ、言いたくなる現実。
暑さが苦手な人間には、
長引く夏は心身共にこたえる。
と思いきや·····
今朝はとにかくさむーーい。
どうしちゃったの、地球。
衣替えの時期が読めない。
私個人的には、秋口は好きな洋服が多くなるので、少しでも涼しくなると衣替えがしたくてしたくてしかたない。
とにかくアウターが好きな私。
秋口には、羽織りたくてたまらない。
でも、暑い。
まだまだ半袖シャツが通用する街中。端境期に起こりがちな季節外れコーデなんて恐れることのないほどの夏日。
さあ、
ついに私の大好きな洋服アイテム、
ジレの出番です。
実はこのジレ愛の深さに自分でも少しひいているけれど。
でも、でも、
これは急速なジレ熱ではないことをご理解いただきたく。
この長年にわたるジレ愛をですよ、どうしても伝えたい唐突な思いを持て余しているため、ここで綴ることにしたのてす。
そもそもジレなんて呼ばなかった「ベスト」時代のお話。
子供の頃から、隠れファッショニスタの母親がニットベストを幼い私に着せていたところに始まります。
いえいえ、当時はジレどころかベストですらなく、確実にチョッキと呼ばれていて。
どうやら、ジレはフランス語で言うところのベストらしい。
ジャケットの中に着る衣服、のようなポジションで。ちなみに、セットアップ+ベスト=スリーピース。
当時、
チョッキは小さな子のお腹を冷やさないでくれるし、活動的な子供の手の動きを妨げないし、それでいて着るだけで可愛いので、とても有効なオシャレアイテムで。
うちの母親は、とにかく女の子に可愛い格好をさせたい一般的な母親。
そら着せますわね。
私は幼き頃からチョッキが大好きで。
赤い編地に白い毛糸でよくわからない模様が編み込まれたレトロダサかわなチョッキを、いつもお気に入りで着ていた記憶がある。
そこが原点であったのかも。
思い返せば、の後付けではあるけれど。
大学生の頃、
初めてロングブーツを買ったあたりで、私は初めてベストというものを買った。
ウエスタン調がかっこいい黒いスエードのコンパクトなベストは、当時細身だった私のまったく飾り気のないボディを華やかに小洒落て見せてくれ、たちまちお気に入りのアイテムになった。
着るだけで脚長に見えるし、ウエストが締まって見えるし、メリハリのあるオシャレなコーデになる。
当時の自分にはお姉さん過ぎるベスト、1枚で大人になれるクールな救世主。
それでも畑に囲まれたほのぼの田舎暮し、ベストとロングブーツなんて突然の異文化交流感、おしゃれ扱いにはほど遠かったけれど。
第1次チョッキブーム、
第2次ベストブームの到来はこんなふうだった。
それから私は、長きに渡りジレにはまることになるのだ。
セレモニーやイベントや大きな会議やディレクションの場面では、大抵ジレを着ていたなあ。
もちろん、そんな頻繁に世間のジレブームは訪れていなかったため、「独特のファッション」扱いだったけれど。
いつの時代も、好きなファッションは気持ちが上がるので自己満足という意味では、常に満たされていて。
あれはあれでよかったのか?
オケージョンシーンもカジュアルコーデも、どこにでも何にでも。
ここ数年のジレブームは、私には少しくすぐったい。
子供の頃からずっと、タンスやクローゼットに常にあったなじみのある洋服だ。呼び方変えるの、なんだかとてもくすぐったいのよ笑。
そして、何十年ものあいだブームが去ることのなかったジレ愛は、ますます加熱気味で。
きっと、おばあちゃんになっても何かしら袖のない洋服を愛用しているのだろうな、と思っている。
今日のように突然寒い日には、絶対にジレ。
シャツに羽織る。
Tシャツに羽織る。
楽ちんなワンピースにはらり。
胸元の開きすぎたトップスにはらり。
便利で気の利いたあの子は、今がジャストシーズンなのだ。
そして、
1年の半分が夏日だなんて言われる日本列島の多くの地域には、今着ておかないと、もう着る時期が過ぎてしまう。
急げ、いそげ。
肌寒い時こそジレだ。
アウターを着るか迷う時ににジレだ。
背中だけ冷える時も
腕だけ暑い時もジレだ。(そんな時あるのか?)
ちなみに私はたくさん持っているなかでも、ベーシックな黒いジレをよく着ている。
デニムにはらり。
どなた様にも簡単な合わせです。
ファッションの特集で、ジレは使いづらいとか、着るとオシャレにならないとか、目にしたのですついこの前。
特別なルールなんてなく、肌寒さを防ぐために羽織ればいいじゃないか。
単純だけど、私はそう思っている。
いさぎよく、さっと着るだけ。
洋服はオシャレだけじゃない。
季節を楽しんだり、気候や体調に合わせてチョイスしたり、どうやったってそこが基本ですからね。
むずかしさ、になんて目を向けず、
私はじゃんじゃん着ようと思う。
少し前に買ったお気に入りも、10年物も20年物も全部並べて同じように気に入っている。
あーあ。
今年は秋が短くて、ついつい先延ばしにしている衣替え。
大変だろうな。
この数十年の間、ジレ的アイテムはひじょうに数が増えていて、また断捨離だとか私の苦手な脅迫観念に揺さぶられるだろうけど、きっと強情なジレ愛はびくともしない気がする。
一気に冬が訪れるまであと少し。
秋服のオンシーズンの短命加減にゾッとしつつ、夕方の生温い風に吹かれる10月の終わり。
夏は、いったいいつ終わるんだろう。
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