信じる

23時53分。
私は後30分で『信じる』について文章を書く。

※フィクションです。

『信じる事』

小さい頃からプラレールという電池で走る電車のおもちゃが大好きだった。

母は、「もっとおんなのこらしい遊びをすればいいのに」という顔をしながらプラレールを買ってくれた。

青い線路を繋げていくと、ひとつの街が出来上がる。駅を行き交う人々、踏切を待つ車。私はプラレールの窓からそれらをフンフンと鼻歌を歌いながら自慢気に得意げに見ている。

大人になり、私はモノレールの運転手になった。毎日決まった時間にモノレールを走らせる。行き交う人々を見る。駅につくたびに人が車両から降り、また乗ってくる。
扉を閉め、指さし確認をし、運転席に座りレバーを握る。

乗客は私の事を知らない。
本を読んだり、スマホを見たり、寝たりしている。勝手に動いていると思っているのかもしれない。

誰も私を信じてはいない。

命を預けているとは思っていない。
だけど、信じて乗っている。
事故なんて起こらないだろうってね。

イチイチ毎回モノレールが橋げたから落ちませんようになんて考えていたら、気軽に乗れないもの。

だけどあの母の顔を思い出すだけで、時々モノレールで空を飛びたくなるんだ。

おわり。

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