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娘が7歳、息子が5歳になった。
これはもう空前絶後の七五三チャンスである。
この機会を逃したら、今後の人生でいつ七五三をやればよいのかというくらいの絶好機だ。

もし見逃そうものなら、野球の解説者であれば「今の甘い七五三はとらえて欲しかったですねー」と心の底から残念がるだろう。

七五三スラッガーの私は、先日、七五三イベントを行ってきたのである。

当日は休日であり大安であるという、七五三を行うには最大の好機であったが外は雨だ。
大雨には出来るだけ気が付かないようにして、七五三の準備を粛々と進めていく。

私と妻の行きつけの美容室に子どもたちの着物の着付けを頼んでいたので、早朝から車を出して連れて行った。

ワイパーを最大出力にするくらいの雨であったが、その事実は頭から追いやり、七五三にうってつけの朝であると自分に言い聞かせる。

息子は家で着物を着せてみた時は、くすぐったがり嫌がっていたのだが、持ち前の外面のよさを発揮して、大人しく美容師さんに着付けられている。

美容師さんから「着物ちゃんと着られてかっこいいね!」と褒められて満更でもなさそうであるが、妻から家では着物を着たがらなかったことをばらされて、ばつの悪そうな表情も浮かべている。

娘は頭にたくさんのピンをつけ髪型を整えてもらったり、お化粧をしてもらったりして上機嫌である。

着付けが終わるとまずは写真館に行き、記念撮影を執り行う。
娘も息子も緊張のあまり、笑顔を見せない。
写真館の人がなんとか笑わせようとおどけたり、おもちゃを使ったりしてくれるのだが、娘と息子は、七五三は真面目でなければいけない、笑ってはいけないと思い込んでいるようでくすりともしない。

私や妻や一緒に来ていた祖父母も必死で笑わせようとするのだが、逆にそれが不自然だと娘と息子は思ったのか、表情はどんどん硬くなるばかりだ。

写真館の人もついに諦めて「凛々しい顔で撮れましたね」と、二人が笑わないというこの事態をなんとか前向きに捉えて、写真撮影は終了となった。

そしていよいよ七五三さんのメインイベントである、神社へのお参りに向かった。
神主さんが、厳かに七五三のご祈祷をしてくれた。

ほんのついこの間までは二人とも赤ちゃんみたいだったのに、こんなに大きくなってとなかなか感慨深いものがあった。

子どもがいると各種イベントが目白押しであるが、そのたびに子どもの成長を感じることができる。

自分が子どもの頃は七五三のようなイベントについて、めんどくさいという気持ちが強かったように記憶しているが、親になるとまた違った感想を抱くようになるものだと、イベントを迎えるたびに思う。

ご祈祷が終わるころには、娘が「着物が苦しい、もう脱ぎたい」とだいぶ疲れている様子だった。
これはもう早く帰宅して、楽な服に着替えさせてあげなきゃと思ったところ、息子が何かを見つけた。

この日は、空前絶後の七五三チャンスなので、神社には他にも七五三詣をしている人たちがたくさんいた。

そして、その中のどの子どもも、千歳飴を持っていたのだ。息子が「あれ何?欲しい!」と訴える。娘も着物が苦しいのはあるが、みんなが持っている千歳飴は欲しそうである。

もう今後、千歳飴を買うことはなさそうである。最後の七五三チャンスは同時に最後の千歳飴チャンスでもあるのだ。娘と息子に一つずつ千歳飴を買うことにした。

ただ、私は千歳飴を買ってみて驚いた。

それは「千歳飴、ちっちゃくなってない?」ということである。

私が記憶にある千歳飴は長くて、食べるのに持て余したほどであったように思う。

私が子どものころ、七五三をした時の千歳飴は、大きすぎて舐めているうちに手がベタベタになり、食べきれなかったような気がする。

それが今はコンパクトな食べきりサイズの千歳飴になっている。どこかのコンビニの「食べやすくなってリニューアル!」みたいな様相なのだ。

子どもの頃は大きく見えていた物が、大人になってみて小さく感じるという現象なのかと思ったが、それにしても短すぎるように思う。

娘も息子も、紅白2本の千歳飴をなんら持て余すことなくあっという間に食べてしまった。
これもSDGsの世の中の流れで、食品廃棄物を少なくするという風潮にあっているのだろうか。

千歳飴を二つも買って、食べきれなかったらどうしよう、と危惧したがそうならなかったのは良かった。こんなところにも、世相の変化があるのだなと感心してしまった。

それはともかく、無事にご祈祷を無事に終えて、着替えたのちに、千歳飴が控えめな大きさだったからか、昼食のお寿司もすっかり平らげることができた子どもたちがご機嫌で、良い七五三になり安心した。

娘は学校の宿題である日記に「七五三できものをきて、くるしかったけどたのしかったです」と書いていたので、一定の満足は得られたのであろう。

これからも、子どもたちの成長と共に待ち受ける、各種イベントを平和に行なっていけたらいいなと思った週末だった。

おしまい。

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